それぞれの戦い(シュラ) 3
「止まれ!」
ゆらりと立ち上がりながら声を張り上げる。
「何者だッ!?」
一団の真ん中の辺りから、如何にも豪勢な御輿のような物に担がれて乗っている男もまた声を張り上げて来た。
多分、アレがこの一団のリーダー格だな。
目立っているので狙撃するのは簡単そうである。
「流れの騎士、シュラ・ヴァンドゥ」
何だかんだと聞かれたら、答えてあげるのが世の情けってな。
地味にロ○ット団の登場時の口上は嫌いじゃなかったりするのだが、真面目にやると決めたばかりなので頭の中で思うだけに留めておく。
確実に消すと決めている相手だからこそ正直に名乗りを上げた訳でもある。
自分達を殺す相手が何者か分からないまま終わるというのも酷だろうからな。
冥途の土産だ。
まあ、前世ではそっちの方が普通だった訳だが言っても今更だろう。
「この先の森には俺の友人が住んでいる。そっちの所属と大体の目的は分かっている。前達をここから先に通す訳にはいかない。カルディア傭兵国の騎士達よ」
「ほう?突然現れて何事かと思ったが、我々が何者か分かった上で、単騎で堂々と姿を現すとは余程の阿呆と見た」
「まあ、あまり頭の良い方では無いのは事実だな」
自分でもよく分かっていますとも。
「それでそれで、その流れの騎士様は何をしにやって来たのだ?1人で我々を止めようとでも言うのか?それとも伏兵でもいるのか?」
「まさか、見ての通りの平原だ。伏兵なんてとても使えない。無論、俺1人だ。そして、俺はお前達を殺しに来た」
順番は逆になったが全ての問いに答えておいた。
うん、律儀だよね、俺。
「これはお笑い草だ、貴様1人で何が出来ると言うのだ?」
圧倒的な人数差を見て余裕だと思っているのだろう。
表情にありありと出ている。
さて、その余裕がいつまで持つのか見物である。
「そうだな。お前達を全滅させるぐらいじゃないか?」
「フハハハハハハッ!!面白い冗談を言う男だ!騎士などよりも道化師の方が向いているのではないか?」
「お前達を殺す前に幾つか聞いておきたい事がある」
「ほう?何だと言うのだ?笑わせてくれた礼だ、今は機嫌が良いので答えてやろうではないか」
「それは助かる。先ず、これだけ大規模な動員をしたからには確信があった筈だろうが、どうしてこの先にエルフの集落があると判断した?偵察は全て消されていた筈なのだが?」
「フッ……その偵察が全て消されたからこそ強く確信したのだよ、間抜け。森の狩猟民族であるエルフが本当に存在すればあの程度の者達など帰れる道理が無い。まあ、確度の高い情報源があったのは事実だが、決め手になったのはやはりそれだな」
経験則の事実から判断したという訳か。
敵ながら優秀だ。
ゴドリックやエーゼルの努力は逆効果だったという訳だ。
情報が持ち帰られない事もまた情報となり得る。
「成程。鉱山のカナリアという訳か」
「そういう事だ。それで他には何を聞きたい?」
「何故、奴隷狩りを行う?」
「はぁ?馬鹿か貴様?勿論、金の為に決まっているであろう。今は小競り合いばかりで大きな戦争もなくて本業の稼ぎが乏しいのでな、こうして情報を集めて副業に勤しんでいるという訳だ。エルフはそれはもう高く売れるのでな、これだけの人数を動員しても100人以上居るとなれば十分儲ける事が出来る」
ま、そうだろうな。
でないとわざわざこんなド辺境まで大体規模の部隊編成して作戦を練って来ないだろうしな。
「それに我々は住処を焼かれて逃げ惑い、捉えられ、絶望したまま売られていく顔や悲痛な声が堪らなく好きなのだ。想像しただけでゾクゾクする。それに商品価値が著しく落ちるので処女を楽しむことはできないのだが……非処女であろうともエルフは美しいのでそちらでも楽しめるしな」
蹂躙と凌辱。
エロゲ的にはよく見かける正しい騎士とエルフの在り方だ。
集団を見回すとほぼ全員が同意見のようであった。
「アッハッハッハ!そうかそうか。それは良かった」
その言葉を聞いて俺は笑う。
「何が良かったというのかね?」
「どちらにせよ消すのには変わりは無いんだが、どうせ消すなら屑の方が気楽で良い」
消しても気に病まなくて済む連中だと分かり、俺は早速行動を起こす事にした。
今は全身が鎧姿なので表情というものはないのだが、仮に表情があったとしたら凶悪な笑みを浮かべていたであろう。




