表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/331

それぞれの戦い(ティアリエ) 4

(うーん、出来るだけミラフィア君を恐がらせないようにしたつもりだったけど意味無かったかな?)


一応ではあるがティアリエとしては精一杯の配慮はしていた。


焼き殺すとか、結界を圧縮して空間ごと潰すとか、切り刻んで挽肉にするとか見た目がエグイ殺し方は避けていた。


敢えて、瞬間凍結することで氷の透明度を極限まで下げて生々しさを消した上で綺麗に粉砕するという非常に分かり難い配慮ではあったが。


(でも、殺すのに関しては確定事項だったからどう足掻いてもあまり変わらないか……)


「ミラフィア君、君のように心優しい()にこういう事は言いたくは無いんだけどね。これから先を生きるには必要になってくるだろうから言っておくよ。君や私みたいな外の世界では狙われる定めにある希少種族はさっきの騎士達みたいにその身柄を狙って来るような輩に見付かった時は、可能なら殺しておかないといけない。存在の情報が伝わってしまうと嫌になってくるぐらいの追手を差し向けられる事になるからね」


情報を伝えられる前に全員消す。


そうしてきたからこそティアリエは今まで生きてこられた。


ティアリエが自分の年齢について言及していた時に騎士達は気付くべきだったのだ。


その歳まで存在を殆ど知られずに生きている希少種族が普通ではないという事に。


騎士達は翠翼種の希少性に目が眩んでしまいその事に気付けなかった。


騎士達が油断していたのはティアリエが魔力制御によって内在魔力を誤認させていたからというのもある。


最初のミラフィアを襲っていた騎士の両腕を凍結させたことで魔力がほぼ空になったように見せかけたのだ。


ティアリエがそのような事をしていたのは本来の魔力量を悟られた場合、一目散に逃げる選択を取られる可能性を否定できなかったからである。


逃げられたとしても、ティアリエの探知から逃れるのは不可能ではあるが、早々且つ確実に消す為にも水面下で一芝居打っていた。


普段は何かと抜けた部分も多いティアリエではあるがそういう部分では実に老獪であった。


「まあ、無理な場合もあるからその時は居場所を悟られない様に移動して身を隠すしかないね。私達が望む望まないに関わらず、私達を狙う者達はそれこそ世界中に居る。ホント嫌になる事だけどね」


本当にティアリエはこのような事を言いたくはない。


だが、それでも必要な授業なのだ。


「だからこそ、希少種族が生き残るにはそれ相応の強さと自らの手を汚す事を厭わない覚悟が求められる。心優しい君にこんな事を求めるのは酷だというのは分かっている。だけど、それでも言うよ。自らの身に危機が迫ったその時は相手の命を奪う事を躊躇わないで欲しい。それは君自身の為でもあるし、君を大事に思っている人達の為でもある」


本当に酷な事を言っている自覚はある。


だけど、世界はそれ程優しくは無い。


それを身に染みて知っているからこその言葉であった。


「ティアリエ……」


その悲しさと憂いを交えた真剣な視線からミラフィアは目を離せなかった。


普段、あれほど明るい彼女が抱えている現実の一端をミラフィアは垣間見た気がした。


「辛気臭い話はこれまでにしよう!それよりも怪我の手当てをしないとね!綺麗な肌があちこち傷だらけじゃないか」


ティアリエはそう言いながら空間袋からポーションを取り出して、ミラフィアの体に振り掛ける。


ミラフィアの顔や手足に刻まれた小さな傷全てが無かったかのように治る。


「最初も言ったけど、よく頑張ったね。君が無事で本当に良かったよ」


ミラフィアを労い、頭を撫でるティアリエは優しく温かだった。


頭を撫でられるミラフィアの目尻から涙が零れ落ちる。


「うわぁぁぁん!!ティアリエ、怖かった!怖かったよ!」


その慈愛に満ちた空気に包まれてミラフィアはようやく緊張の糸が切れたようで、ティアリエに抱き着いて、その胸に顔を埋めて憚らず号泣を始めた。


「うん。遅くなってゴメンね。もっと大量に逃走用アイテムを君に持たせておいたら良かったよ」


ティアリエは泣きじゃくる彼女を優しく抱き締め返して、ポンポンと柔らかくその背中を叩きながら後悔を告げる。


「ううん。わたしが助かったのはティアリエのおかげだもん。ティアリエは悪くないから謝らないで欲しいの。ティアリエ、助けてくれてありがとう」


「どういたしまして。うん、ミラフィア君が無事でホント……本当に良かったよ」


もし、間に合っていなかったらティアリエは大きな後悔を抱える事になっただろう。


それが分かっていたからこその本心からの言葉であった。


「ん?」


しばらくの間、2人は抱き合っていたのだが、その最中ティアリエがある事に気付いて顔を上げる。


「ミラフィア君、どうやら再会をゆっくりと喜んでいる暇は無いみたいだ」


「どうしたの?」


「どうやら魔物の群れがこちらに真っ直ぐ向かって来ているみたいなんだよね」


様々な探知によって色んな方角から魔物達が向かって来ているのをティアリエは察知していた。


「魔物の群れ!?」


「大丈夫!私が居るからにはミラフィア君には怪我1つ負わせないと約束するよ!数が多くて面倒そうだけど、それ以外は問題なさそうな感じしかしないし、片っ端から殲滅するから安心して良いよ!」


魔物の群れと聞いてミラフィアの体が強張るが、ティアリエが笑いかけるとそれは収まった。


(何で魔物の群れがこっちに向かって来ているのか、原因を突き止める必要がありそうだね)


逃走用アイテムの使用地点を辿っていたティアリエはミラフィアが騎士達に追われる前は狼の魔物の群れに追われていた事を知っている。


一連の魔物達の動向には何かある。


それを感じずにはいられないティアリエであった。


(ゴメン、ゴドリック君!君に合流するのは少し遅れそうだ)


心の中でゴドリックに対して謝りつつ、ティアリエは迎撃の準備を進め始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ