ヒジョーに疲れる!
「あの~仲村さん、ここの伝票間違ってますよ?」
彩音に言われ、オレは伝票をチェックした。
「えっ?どれどれ…あっ!ホントだ!ゴメン、ちょっと確認してくる!」
はぁ…ポチョムキンの結婚式をまざまざと見せつけられたオレは色々とショックで何もヤル気が起きない。
今も彩音に間違いを指摘されるし。
あぁ、もうイヤだ!何であんなキモデブに嫁が出来るんだよ!
間違ってるぞ、この世の中は!
それにひきかえオレなんて、沙織には注意されるし、彩音には間違いを…
ん?沙織に彩音…
何だ何だ、いるじゃないか、ここに!キモデブの嫁なんか目じゃないって逸材が!
沙織は年上で美人タイプだが、気が強い。まぁ男を尻に敷くような女だろう。
そして彩音は年下でロリ顔で巨乳!
あの何か支えたくなりそうな、か弱く、可愛い娘だ!
オレならどっちを選ぶ?
沙織も捨てがたいが、ここはやっぱり彩音だろう!
決め手はFカップの巨乳だ!
こりゃ何としても彩音を彼女獲得大作戦として練らればならん。
どうやって彼女にすればいいものか。
頼もしいパイセンとして振る舞えばいいのかな、やっぱり!
うん、男はドッシリと構えてなきゃな!
そうすれば彩音はオレに…
ウワハハハハハハハハハハ!
完璧だ!完璧過ぎてパーフェクトなシナリオだ!
よし、これからは頼もしく、ドッシリ構えた良きパイセンとして彩音に接しよう!
オレはすぐさま伝票を確認した。
やっぱり間違っていたか!
いや、まずここは間違いを見つけた彩音を誉めるべきだ、うん。
「いやー、酒井さんが見つけてくれたおかげで助かったよ。ありがとう、酒井さん。」
よし、今のオレはハイコー社員を誉めるパイセン社員として頼もしく見えるはずだ!
「は、はい、ありがとうございます…」
おぉ、彩音、少し照れてるのか?んもぅ、可愛い!もう何しても可愛いっ!
オレはキミのミスならいくらでも許す!
大いにミスしてくれ!
「あの、でもこの伝票書いたの仲村さんですよね?」
んー?何々?どれどれ?
…ゲッ!
オレじゃないか!
…いや、ここは落ち着こう。
ドッシリと構えなくては。
「あー、そうだね、どうやらボクが間違えたみたいだ。酒井さん、何年もやってる人だって間違いはあるから、ちょっとやそっとの間違いでへこたれちゃいけないよ。大いにミスしても大丈夫、後はボクがフォローするから!」
決まった!これで彩音はオレをウルウルした目でオレを見つめるに違いない!
「あの…でもこれ、仲村さんの間違いですよね?」
…ん?まぁそうなんだけどね…
「ハハハッ、いやー申し訳ない。酒井さんがいたから助かった。ありがとう、間違いを見つけてくれて。」
「あ、はい。」
おぉっ!今、キラキラしたお目目でオレを見たな!
いや、間違いなくオレを見る目がキラキラと輝いていたぞ!
よし、いつでも頼もしくドッシリと構えたパイセン、仲村慶彦として彩音をサポートしなきゃならないな、うん!
こうやって彩音を誉めて持ち上げて気分よく仕事が出来るようにオレは気を配った。
……………だがヒジョーに疲れる!
何だこの疲労感は?
ジムに行ってハードなトレーニングしてもこんなに疲れないぞ!
入社してこんなに疲れたの初めてじゃないか?
気を使うってのはこうも疲れるのか?
これじゃ1週間もたないよ、身体が…
家に帰っても何もする気が起きず、ソッコーで寝た。
何せ飯を食う気力も無い。
帰ってきたらすぐに眠気が襲ってくる。
「仲村くん、顔色悪いわよ、大丈夫?」
沙織に言われ、思わずトイレで鏡に映る自分の顔を見た。確かに顔色が心なしか青いような…
「何か最近ゲッソリしたように見えるけど。ちゃんと食べてるの?」
沙織に言われるまで気づかなかったが、ここ最近、夕飯を食った記憶がない。
何せ、彩音には良きパイセンを演じないといけないからな。
でも、今日は何だか身体がフラフラする~っ!




