式当日
あのクソデブが結婚だと?
…奈央に聞いてみるか。
オレは奈央に電話をかけた。
「モシモシ、奈央?あのクソデブから結婚式の招待状きたか?」
【うん、山田くんでしょ?きたわよ。ヨッちゃんも来るんでしょ?】
「ホントに結婚するのか、あのデブは?」
【そりゃそうでしょ?だからこうやって招待状送ってきたんじゃん】
「そうなのか…結婚はホントだったのか」
何だこの敗北感は?
【で、ヨッちゃん式には出るわよね?】
「今はショックで何も考えられない」
【えーっ、何でよ?】
「だってあのキモデブだぜ!あんなヤツが結婚なんて何かの間違いに決まってるだろ」
【ヨッちゃん!いい加減にしなさい!何で友達の結婚を素直に祝ってやらないの?】
「だって…だってあのポチョムキンが結婚だぞ?間違ってねえか、この世の中?」
【素直じゃないんだから!とにかく友達の結婚なんだから素直に祝福しなさい!】
そう言って奈央は電話を切った。
あのデブが結婚かよ…
この世の終わりだ!
ん?待てよ。
オレは上半身裸になって鏡の前に立った。
見よ、このバッキバキなバディよ!ジムで鍛えたシックスパッドの腹筋よ!
この精悍なオレの顔つきで女子どもはキャーキャー騒ぐに違いない。
よし、当日はデブじゃなく、オレが主役になってやる!
そして結婚式当日を迎えた。
………………何故だ!
何故オレに見向きもしない!
あぁ、そういえばオレは高校時代ほとんど話をしなかったからなぁ…
こうなりゃご祝儀袋だけ置いて帰ろう…
奮発して500円玉包んだけど致し方ない。
「ヨッちゃん!もう帰るの?」
奈央がオレの引き留めようとした。
「こんなとこにいても仕方ないだろ。オレ帰るゎ。」
「何言ってんのよ、これから新郎新婦の登場なのよ!」
オレには関係のねぇ事っす…
それにヤツの嫁ってのは見たいような見たくないような…
まぁいい、女子からキャーキャー言われないならオレは帰ろう。




