卒業アルバム
この模試は当時あった共通一次テストの模試で五教科七科目あるので二日間に渡る。
模試だからペラペラ喋る訳にはいかないけれど、合間合間に少し隣りの席の子と話しが出来た。
関西弁風だったので三重県の人かなと思ったら一宮高校だった、その高校は愛知でもトップレベルの進学校。そんな進学校にも関わらず隣りの席の子はタレ目で結構可愛い。二年生の時に同じクラスに柔道部の先輩の彼女で鈴木伸江さんがいたが彼女に似ている。
模試にも関わらず、ちょうどモリクミのことを思い出して少し凹んでいたから心が暖まる。そのおかげかどうか、その模試は好調で全国ランキングにも名前が載るほどだった。
きっと、長瀬やモリクミともこんな感じでいれたらもっとモチベーションが上がっていたかもしれないのになとは思う。
ところが、翌月行われた本番の共通一次テストでは従来は簡単な数学がその年は何故か急に難易度が上がり、みんなが泣いていた。もちろん、僕もその一人だった。
その後は滑り止めの京都の私立大学には合格したが、早稲田や旧帝大の志望校には落ちてしまった。
難関校組の友達の大半は滑り止め含めて全滅が多いので浪人を選んだが、幸か不幸か滑り止めには受かったので結局そこに行くことにした。この判断が正か否なのかは未だに分からないけれど。
そして、国立の二次試験が終わってからは今までの反動で毎晩のように友達の家で徹夜マージャンや飲み会三昧となっている。
この日は12月の模試で席が隣りだった一宮高校の女の子を捜すため友達の友達が一宮高校に在籍していたので卒業アルバムを借りることに成功した。
4~5人ぐらいで集まって、その卒業アルバムを探していてタレ目の女の子を見付けた。名前は門前美穂、友達にも見てもらったけど鈴木さんに雰囲気が似ていると言う。この子に違いないと思った。
高校を卒業してもうハイ状態になっている。僕は京都に行くし、この場にいる丹羽もまさかの現役で早稲田に受かったから間もなく東京に行く。
そこで、僕は門前さんに丹羽は三年の時のクラスメイトの原田真理子が好きだというからみんなの前で電話することになった。
丹羽がまず原田真理子に電話する、彼女には同じ高校に彼がいるから難しいと思ったけれど、なんとか会う約束を取り付ける。
そして、僕も門前さんに電話する。向こうはもちろん僕の名前も知らない。最初はびっくりしていた、よく分かったねって。
でも、流石に模試で会っただけなので向こうも会うのは渋っている、そもそもそれほど遠くはないが僕は名古屋で彼女は尾西市だから車があればともかく高校生にはちょっとハードルが高くて、結局ダメだった。
みんなの前だから恥ずかしい反面なんかやり切った感はある。
少なくとも、あの西高祭の後に自分の意志とは裏腹に穏便に収めるために由紀に『告白』したよりずっと気持ちがすっきりしている。
結果はともかく高校の最後でちゃんと好きな人に気持ちを伝えられたから、それだけは満足だった。
そして、丹羽は原田真理子と会ったあとにみんなに報告会をすることにして、その日は解散した。




