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ドラネコ砲

西高祭が終わった翌日は日曜日だったが、この日はブロック全体の打ち上げで、我がブロックは名古屋市中区の百メートル通りにあった「ヘラルドシネプラザ」のローラースケートに行くことになった。


西高からもそう遠くはないが、この日は生憎雨だったので大多数の人は現地集合で地下鉄矢場町駅から歩く。


この日は僕とハジそしてミスターたちとベルヘラルドに向かっていた。そして、これをもって西高祭の行事はすべて終わりになるので最大の使命はハジと松田さんが今後もうまく行くように繋げながら、僕たちと一年生女子のいわゆる「花谷軍団の解散」をすること。

そして、個人的には明日からは受験生になることだった。


すると、後ろから由紀たちが「先輩~」と言いながら合流した。

この日はいつもの由紀でなく、何故かドラネコが仕切っていた。

一緒に歩いているとドラネコが


「小川(ハジ)先輩って・・・、(松田)沙織ちゃんのことが好きなんですよね」


ハジのことはもうミエミエだから隠すこともないかと思い、

「うん・・・まぁ、そうかなぁ・・・」

とやや本音で答えてしまった。変に否定して松田さんの気持ちを冷やしてはいけないと思って。最も、彼女の気持ちが暖まっていたかは分からないけれど。

今日のドラネコは容赦がない、次に。


「林(ミスター)先輩って・・・(杉浦)美香ちゃんのことが好きなんですか?」


これはちょっと驚いた。これはバレてないというかミスターは杉浦美香ことペコのことは気に入っているというか、可愛がっていた後輩だけど「好き」かと言われると「仲良し」で充分な感じだった。だから、ちょっと言葉を選んだ。


「う・・・ん・・・、まだ知り合って一週間だしね・・・。と言うかミスターのこと好きなんじゃないの?」

とドラネコに逆質問すると


「林先輩が美香ちゃんのことが好きなら・・・」

みたいな今までと違う殊勝な態度。

ここで、ふと嫌な予感が走った。ヤバい、次は俺に言ってくるって気付いた。

この瞬間にこちらに照準を合わせたドラネコ砲が火を噴いた。


「先輩は・・・由紀ちゃんのことが好きなんですよね」


これ絶対に一年生の間で下打ち合わせしてた気がした。だから、いつもの由紀でなくドラネコがMCみたいに場を回してきたのか。

『こりゃ、一本取られたな』ではない、結構ガチでやばいやつだった。

昨日、長瀬と気持ちが通じ合ってた気がしたばかりである、そして今日を無事乗り越えるのが最後の目標だったというのに。


すると、由紀は事前にドラネコがこう言うのを打ち合わせ済みだったのかホントに知らなかったのは分からないけど平然と言った。


「先輩はお姉さんのことが好きなんですよね」


これが助け舟なのかよく分からないけど、直撃弾は避けられた。


「えっと・・・うん、そうだよ・・・」

嘘バレバレだったけど、そう返した。これがこの時の最良の選択だった気がして。

由紀が更に続けた。


「先輩・・・ローラースケートやったことあります?」


「ううん、今日が初めて」


「じゃぁ・・・一緒にしましょ」


「あ・・・うん。はい」


さっきのが助け舟だったのか分からないけど、今まで由紀とは65点ぐらいの仲だから知らない人から見たら仲良さそうだけど、実はただお互いに合わせていただけ程度と思っていた。しかし、気のせいか今までと態度が変わっていた。

誰かが説得したのだろうか。

『あの先輩は由紀ちゃんのことが好きだから今日きっと告白するよ』とか『今日で最後だから由紀ちゃんから先輩に告白するきっかけを作ってあげたら』とか。

それか、昨日の僕と長瀬の姿を見て誰かが『あの人は同じクラスの人と仲良くしてたよ』とか。

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