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闖入者

やはり由紀とも1時間ぐらい作業して休憩、その次に松田沙織という子と作業を始めた。

この子は美形といえば美形、ただ今も昔も美形にはどうも気持ちが行かない。

そして、真面目な雰囲気。同級生ならきっと厳しかっただろうけど、やはり年下魔術でそこそこは打ち解くことが出来る。


最後は中瀬佳代子、この子は何故か警戒心が強いのが分かる。なので、あまり雑談はせずに作業に没頭するけどそれまでの三人がそれなりに懐いてくれたことを思うとちょっとこちらもしんどいなぁと思っていた時のことだった。


「うふふ、何してるの?」

と同じ2年生で合唱の団長だった安藤明夫が声を掛けてきた。

安藤はカメラ部で同じクラス、難関大学志望組だったが、ドラえもんに出てくる「スネ夫」が眼鏡を掛けているような風貌でちょっと偉そうなところがあるので僕たちとそりが合わないく普段話すことはあまりなかった。


普段話すことがない安藤が話し掛けてきたことに違和感を感じつつ説明すると、安藤が「じゃぁ、僕が手伝うよ」と言って半ば強引に中瀬と代わった。


さっきまでの三人とは楽しく作業していたので、普段仲良くもない安藤が隣で手伝ってくれても違和感と不自然さと不気味さで気持ちが萎えて早々に止めてしまった。

まぁ、この安藤が乱入してきた理由は翌日には判明するのだけど、なんとなくふわっとそうではないかなとは気が付いた。


どちらにせよ、もう作業開始して4時間ほど経って夕方になっていた。

かなり疲れて教室でぐったりしていたけど、ふと気になって由紀に声を掛けた。


「今からなにか予定って入ってる?」


「うん、今日は18時から合唱の練習だよ」


「じゃぁ、それまでマスコットを手伝ってくれない?孫悟空だから場所は分かるよね?俺は疲れたからもうちょい休憩してるけど」


そう言って由紀たちのグループ5~6人にマスコットに行ってもらった。

八方美人の由紀なら初対面でも2年男子とうまくやれるだろう、由紀もペコも松田さんも見た目は悪くないし明るく好感は持てる。中瀬がちょっと心配だけど由紀がリードしてくれる気がする。


今日半日だけど、1年の子と一緒にいて楽しかった。団長の柘植は作業の遅れできっとピリピリしてるだろうけど、ハジやミスター達なら一年生の子が来たら歓迎するだろう。


由紀たちを見送って教室でぐったりしていた。手伝ってもらったけどまだ1/4ぐらいしか出来てない。一人になるとちょっと途方に暮れる。


『まぁ、いいや。明日も手伝ってもらえば』


なんて、思っていて暫く休憩して顔を上げると、何故か由紀たちがまだいる。


「行ってないの?」


と声を掛けたら


「誰もいなかった」

との返事。


体育祭まであと四日ほど、今日からは徹夜が予想されるぐらいだからもうマスコット班が帰ったとは思えない。


仕方なしに疲れた体に鞭打って運動場まで行ったが、マスコット班は作業の真っ最中。

近くにいた副団長の長谷川斉(通称せい)に「一年生の子って来なかった?」と聞くと、来てないとのこと。

由紀たちが嘘付いているのかなと思ったら、せいが「そう言えば、見慣れない女子が少し離れたとこにいたけどいなくなってた」とのこと。


そうか、よくよく考えたら「マスコットの誰々のとこに行って」みたいな具体的な指示じゃなかったから、確かに由紀も誰に声掛けて良いのか分からなかったんだろうな。

そう思って、再び1年の教室に行って

「明日の午前中に学校来れる?明日は俺がマスコットに連れてくよ」と由紀たちに伝えた。


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