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給湯室前で

2018年頃のこと。


その後、岐阜営業所は廃止となり出勤も名古屋に戻ってきた。


会社は伏見にあるビルのワンフロアを占めている。

エレベーターから事務所入り口まで30メートルぐらい有るのだけど、僕と河内さんは定時ギリギリに来るのでたまにエレベーターで一緒になった。


事務所に入るのに入館証をカードリーダーに読み込ませるのだけど、先に河内さんが入り、その後から入ろうとするとわざと扉を閉めてきたり、こちらが先に入る時は河内さんのカードがカードリーダーにかざされないように手で邪魔したり・・・

まぁ、河内さんは他の人にも同じようなことはしていたかもしれないし、実際にはそれは分からない。


二人で廊下を軽く話しながら事務所に向かうこともよくあるようになっていった。


仕事から帰る時間はだいたいこちらが20時ぐらいまで残業して、河内さんは定時の18時とかせいぜい19時頃のイメージだったけど、たまたま早く会社を出て、エレベーターに向かっていたら後ろから河内さんが

「急げ〜ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘」

って走ってきた。


一緒にエレベーターに乗ると

「今から、飲みに行くんだ」と河内さん。


思わず、

「誰と?」とか「デート?」「新しい彼?」って聞こうと思ったけど、うちの会社はセクハラに敏感かつ厳しいので。これってセクハラになるかなぁと思って一瞬何を言っていいのか戸惑っていたら


「洞(ホラ)さんとね」と聞いてもないのに河内さんは答えた。


洞(ホラ)さんとは同じ部でかなさんといつも一緒にお昼を食べる河内さんと同年代の女性の洞本(ホラモト)さんのこと。


聞こうとしたことを答えてくるから、『この人ってオイラの心を読めるのかなあ。それとも、そんな態度丸出しだったかなぁ』

なんてその時は思わず思っていた。


もちろん、涼葉とはその後も順調だけど、相変わらずたまに連絡不能状態になったり、会えるのも月に数回なので、会えない時が続くと河内さんを見るとちょっと気持ちが落ち着くようになっている。


そんなある日・・・


社内にはドリンクの自販機やコーヒーの紙コップ式自販機以外に無料のウォーターサーバーがありそれは原則水筒などのマイカップ対応。


夕方の18時頃に水筒の水を新しく注ぎなおそうと廊下にある給湯室にそれまでの水を捨てに行こうとしたら、たまたま帰る河内さんと従業員出入口で一緒になった。


「余計な残業してたらあかんよ」と、どの立場で言うとるのか分からない少し絡んでくるいつもの感じの河内さん。


その時、ふと地元の国立大学に入学していた次男が理系と言うこともあって、なかなか女性との出会いがないから、河内さんに

「ねぇ、河内さんに似た大学生ぐらいの女の子って親戚とかにいない?

次男が理系の大学だから、なかなか女の子と知り合う機会がなくてさ」と聞いていた。


「うん、お姉ちゃんの娘が二人いて、私と一緒によく三人姉妹って言われてるよ」って河内さん。


これって、『貴女が可愛いから、親戚の子もきっと可愛いだろうから紹介してよ』って言ってるようなものなんだけど。

そして、その言葉をどう受け取ったかは分からない。そもそも、鈍いのか鋭いのかも分からない。


そんなこと言っていたら、あっという間に給湯室前に着いたけど、気が付いたら給湯室で立ち止まり暫く二人で話していた。


帰る人やトイレに行く社内の人にジロジロ見られながら・・・

まぁ、きっと珍しい組み合わせだったかもしれない。実際、執務室内では話したことないから。


で、その時にふと思いました。

『このまま、もう少し話していたいな』って




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