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フリーフォール

数日後のこと。

【この一週間は長いような短いような不思議な気持だった。まるでジェットコースターに乗っているような感覚だったんだ。ところで来週の月曜日って大丈夫?】

と沙良にメールを打つ。もちろん大丈夫だろうと確信はあったが。

暫くして返事が来た。


≪来週の月曜日はちょっと・・・用事があって (*_*)≫


“アレッ”

何か気のせいか、この前までと雰囲気が違う感じがメールながら伝わってくる。

“どういうことだろう・・・でも沙良だって何か用事があるのだろう”

それ以上は詮索することもせずに

【うん、分かった】

と簡単な返信をしておいた。


なにやら暗雲が垂れ込めてきたような気がしたが、なるべく考えないように努めた。

そして、この数日ですっかり恋人のようになった沙良を信じようと自分自身に言い聞かせるように。


それからも数回メールのやり取りはしていたのだが、どうもなにやら違和感を感じる。

そして前に逢ってから1週間ぐらいした時に送ったメールに対しての返事が


≪こんにちわ~、そうかもう一週間が経ったんだ。なかなか外で会えなくてごめんなさい。平日はお店なので時間が取れなくて・・・

お店の人と話して来週から月曜日もお店に行くことになりました。

良かったらお店に来て下さいね、待っています。♡


“えっ、どう言う事なんだろう??しかも、今まで土日月と休みだったのが月曜日も働くんだ・・・”

しかも、途中からはまるで誰にでも出しているような営業用メールみたいな中味である。

もしかしたら他の人に出した営業メールを流用したのだろうか?

つい先日までは

“いつでも来て良いよ”とか“一緒にいたい”と言っていたのに・・・


“もうお客と風俗嬢の関係に戻るって言うことなのかなぁ”


しかし、今更店に行くのは抵抗がある。

沙良の自宅に行かなければそうは思わなかったのだろうが。

このメールに対してヘナヘナと膝が崩れそうになり、とても返信する気力が無くなってしまった。


それでも、数日後にこのままではダメだなと気を取り直し、思い切って沙良のいるお店に行ってみることにした。今更店に行くのもなんだかなと思いながら。


「あっ、来たの・・・」と小声で沙良は少しうつむきながら囁いた。

でも、少し時間が経つと

「一緒にいると・・・落ち着く」そう漏らした。

そして「ねぇ、どんな人がタイプなの?」と聞いてくる。


すかさず「沙良!!」と答えた。


「そんなこと・・・言われたことない・・・。初めて言われた・・・」と沙良は呟いた。


沙良の店では1か月で1週間ほど連続休暇を取る人が多い。

沙良と食事に行ったのは前回のその休み期間中だった。


「もう連続休暇って無くなった?」と聞くと


「ううん、来週休みの番なんだ」


「また会えない?」


「うん、いいよ」

そう言って恥じらうように微笑んだ。

沙良の笑顔を見てホッとした。やはり心が落ち着く。


「ねぇ、メールして良い時間って何時だっけ?」

そう沙良が尋ねてきた。


「大体仕事中の9時から19時ぐらいまでかなぁ」


「うん、じゃぁ休みになったらメールするね」


こうして再び会う約束を交わした。

先日まではジェットコースターに乗っていた気分だったが、ここ数日は一瞬真っ逆さまに落ちるフリーフォールに乗っていたかのような気分だった。


でも、きちんと逢って話せば大丈夫、そう思うとようやく気持ちの動揺は収まった。

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