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今日は私の誕生日。

タルトを焼こう。ルシウスの好きな木苺のタルトを。

彼を完全に諦められるように・・・


「ドンドンドン」

まだ朝が早いというのに何かあったのだろうか。

兄夫婦は昨晩「リリを嫁に出さなくていい記念」だとか「リリちゃんとずっと一緒記念」だとかよくわからない記念を祝っていたためまだ起きてこない。自分でも対応できることかはわからないが自分では対応できなければ兄を起こして来ればいいと思いドアを開けた。

「朝早くすみません、リッターさんにお話しが・・・」

ドアを開けるとそこには息をきらしたルシウスがいた。

「あれ、リリ? あのリッターさんは?」

「お兄ちゃんならまだ寝ているわ。こんなに朝早くどうしたのよ」

「どうしても早くリッターさんに伝えたいことがあって・・・」

何をそんなに焦っているのだろう。ものすごい汗だし、この様子ではたぶんまだ朝食も食べていないのだろう。

「お兄ちゃん起こしてくるから。どうせご飯まだなんでしょ、とりあえずこれでも食べてて」

ルシウスを諦めるために作ったタルト。まさか彼に食べてもらうなんて想像つかなかった。



すやすやと気持ちよさそうに寝ていた兄を起こし、ルシウスの待つリビングへ連れて行った。

「いまさら何の用だ」

まだ眠いからなのか、兄はいつもよりも機嫌が悪いように見えた。

「リッターさんの誤解を解きたくて」

「誤解だと・・・?」

「俺はまだリリに告白していません」

ルシウスは何を言っているのだろうか。

「なんだと? リリ、それは本当か?」

「変なこと聞くのね。本当も何もルシウスは私のこと好きじゃないんだから告白なんてするわけないじゃないの」

「「は?」」

何故か2人とも固まってしまった。

「?」

 しばらくして、兄が笑い出した。

「そっからだとは・・・。ルシウス、お前には同情するよ」



まさかルシウスも私のことを好きだなんて思わなかった。

それに、町中の人がそのことを知っていたなんて。



半年後、リリとルシウスの結婚式が行われた。


 この村では結婚式で新郎新婦の好きなケーキがふるまわれる。

勿論、2人のふるまうケーキは木苺のタルトだ。


読んでいただきありがとうございました。

感想をいただけると嬉しいです。

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