096⚫️大冒険談の始まり
「本当、無茶しちゃいかん。いくら若いからって、雪風の中、峠を女の子連れで越えようとするなんて。」
「・・・面目ありません。助けていただいて、本当にありがとうございました。」
ガウは温かなスープをすすりながら、救い主である老爺に頭を下げた。
「まあ、うちのばあさんが’今すぐ行け!’ってせっつくもんだからな。この猛烈な雪風の中じゃ、狼でないと無理だ。」
「狼?狼って雪の中でも平気なんですか?」
リンリンが不思議そうに尋ねると、老爺は笑って言った。
「お嬢ちゃん、人狼のワシが言うんだから、間違いない!だが、やっぱり雪の中より、あったかい小屋の方がいいに決まっとる。」
「えっ、おじいさん、人狼なの?魔物なの?」
「そうだよ。ワシはイヌガミ村の出身だ。ばあさんは、元々隣の村の社に仕えていた巫女だったんだ。」
「魔物と巫女。・・・つまり美女と野獣ってことだったの!おじいさん、どうやって出会ったんですか?聞かせてください!」
「そうか?いや、長くなるぞ。・・・おい、ばあさん、バーボン、飲んでいいか?」
「結局、飲む口実が欲しかったんでしょ?どうぞ、いいんじゃないの。」
「んじゃあ、始めようか。あれはワシがまだ若い時じゃったあ・・・。」
こうして、波乱万丈の冒険談が始まった。
しかし・・・ガウもリンリンも、あまりの心地よさに、
話が始まると座ったまま深い眠りに落ちてしまった。
床暖はとってもあったか、気持ちいい・・・のである。




