表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
31/88

035⚫️pH8.1

「マゼラン海域に到達。イスカンダル島まで、巡航速度で1時間です。」

「よし。艦長、全速で最短距離を取ってよろしいですか。」

「うむ。海中環境はどうか。」

「凪いでいます。観測班、酸性度を報告!」

「副長、それが・・・pH約8.1。弱アルカリ性です。生存可能適正惑星の‘標準海水’と同じ値です。」

一瞬、艦橋の空気が止まった。

ここは‘見捨てられた酸の惑星ギャラン’。本来ならpH3〜4の強酸性の海である。

「な・・んだと? 酸性ではないのか?」

驚愕が艦橋を駆け抜ける。

ただ一人、マチルダだけが表情を変えない。だが、その目だけが鋭く光った。

「潜望鏡深度へ。実際に見る。」


‘ナガト’は静かに浮上を始めた。いつも漂う酸霧がない。

まるで、海そのものの肌理が変わったような。‘境界’を越えた感覚があった。

潜望鏡が海面を破る。そこには・・・

紺碧の海が広がっていた。

濁りも、霧も、白化もない。

古い記録で見た“酸化前の時代”の海と同じ、静かな青。

マチルダが低く呟く。

「・・・イスカンダルは、海の色からして違うらしい。」

モニターで共有映像が映し出された艦橋。誰も声を出せない時間が流れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ