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002⚫️possibility と provability

「おい聞いたか! 明日、魔王軍が攻めてくる“かもしれない”んだってよ!」

「昨日、北の森で“ドスン”って音がしたろ?あれ絶対、魔王軍の足音だって! 可能性はある、めっちゃある!」

「いやいや。“ドスン”は、あの慌てん坊が薪割り失敗した音だ。証拠ゼロじゃないか。魔王軍が来るって言うなら、“見た”とか“手紙が届いた”とか、証明できるものを出してくれ。」

「でもよ、来ないって証明もできないだろ?なら来る可能性は残ってる!ほら、あの黒い雲! 魔王軍の気配だ!」

「ただの雨雲。可能性だけなら、明日ドラゴンが村に引っ越してくる可能性だってある。可能性だけで村を混乱させるな。証拠を持ってこい。」

「じゃあ、あの鶏が朝から落ち着かないのは?動物は敏感なんだぞ!」

「その鶏、昨日お前が追いかけ回したせいでまだ怒ってるだけ。怒りの証明ならできる。魔王軍の証明はできない。」

「・・・でも、“可能性はある”よな?」

「あるよ。だからこそ、可能性と立証可能性を分けて考えるんだ。可能性だけで村中走り回るのは、やめてくれ。お前の叫び声の方が魔王軍より怖い。」


人は不安に備え、社会を守ろうとする。

だが不安は不安を呼び、過剰な恐怖も、根拠なき楽観も生む。

理性と本能──どちらも正しく、どちらも必要。

そのバランスをどこで取るかが、つねに試されている。


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