027⚫️そらみみ & 028⚫️聞こえんなあ!
027⚫️そらみみ
あれ、ガウ、なんか大きな音しなかった?
空で、大きなものがバラバラになるような・・・。
な〜んにも見えないよねえ。
気のせいかあ。
もうすぐ森を抜けるね。
これからどんなこと、あるのかなあ。
028⚫️聞こえんなあ!
エアロックが閉じ、密閉灯が緑に変わる。
担架が運び込まれ、バーバラ大佐がむくりと起き上がった。
空中分解の直後とは思えない顔つきだ。
目は完全にイッテしまってる。
久しぶりだな、トーマスって、その言い方、昔のまんまだ。
軍学校の時の先輩の姿と、鮮やかに重なる。
大佐、ようこそ。まずはメディカル・チェックを・・・。
不要だって?指揮席はどこだ、って?
頼みますよ、落ち着いてください・・・。
規程上、艦の指揮権は艦長のわたしに専属します。
上位階級者であっても、一方的な移管はイカンです。
貸しがあったな、トーマス、って、いやなこと言うなあ、あいかわらず。
軍学校の’あの授業’、誰が代返してやった、って。
あの時は、安直だったよなあ。
誰が’例の件’をもみ消してやったって?
だって、あれは先輩がそうしろ、って。
メディックが困った目で私を見る。
艦橋のクルーは、視線を同時にモニターへ戻す。
見事なまでの知らん顔・・・。
先輩、いや、大佐あ。
この艦はあと三日でドックに入れないと持ちません。
外板トップコートの残厚が限界です。無理な行動はできないんですよお。
三日あれば十分ですって?いや、帰港するのもコミで、三日ですよ。
言うことを聞かないと、あることないこと、
ぜーんぶ、艦内に大声で触れ回るっていうんですかあ!
それ、脅迫じゃないですかあ?!
や、やめてください!!! それは洒落になりません!!!
「全レーダー・ソナー、感度一段上げ。海面直下は酸性霧で反射が乱れる。熱躍層下に潜る’黄色’を受動で拾うぞ。ノッチを使う習性がある。うん?何か言ったか、トーマス中佐?」
バーバラには、都合の悪いことは聞こえないのだ。




