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三話②



 外には何人かがわたわたと準備をしているようだった。馬に混じって数匹の驢馬と、荷馬車がいくつもある。どこか、遠くへ行くのだろうか。

 先生はそこを仕切っていたポニーテールの女性に声をかける。


「カンナ。新メンバー」


「あ、君はこの前の」


「あ、あの、あの時はありがとうございました」


「いいよいいよ。人がいたら助ける、それが私たちにできることだから」


 カンナはそう言って少し寂しげに微笑んだ。やはり誰にでもそれなりの想いがあるのだろう。この世界は一見美しく見えて、とても残酷だ。

 まるたちのことを思い出しぼーっと地面を見つめているとポンと肩を叩かれた。


「さっそく入団テストに入ろうか」


「入団テストって言っても口だけだけどな」


 カンナの言葉に先生が口を挟む。


「そうだね。ただ三日間、私たちと生活をしてその適性を見る、ただそれだけ」


 思ったよりも簡単な内容に心を撫で下ろす。難しいものだったら、と内心とても不安だった。


「でも外は危険だから、外のことについてはガットに色教えてもらって」


「はい」


「じゃあ私は支度に戻るよ。……ガット、このタイミングで連れてきたってことはいいんだよね」


 カンナの問いかけに先生は「あぁ」と短く返事を返す。その返事に彼女は表情を曇らせながら荷馬車の方へ戻っていく。なんの話だろう、私は気にはなったがそれを問うタイミングを逃してしまった。


「ほならさっそくはじめるか」


 準備はいいか?と意気揚々と語り出す先生に私は慌てて返事をする。


「まずは外での基本のキ! 気張らないこと!」


「気張らない……」


「適度な緊張感は大事だが過度な緊張はあかん。肩の力を抜いてりらーっくす。周りをよくみて行動するんやで」


「はい」


 軽くジャンプし肩を揺ったり深呼吸をしてみせる先生。人呼吸吐いて再び語り出す。


「次は基本のホ! ほうれんそうをしっかりすること。ほうれんそうってのは報告連絡相談のことな」


「わかりました」


 うんうん、と頷く先生。


「最後は基本のン!」


「ん?」


「ン!」


「んー?」


「ンンンン!」


「ん、ん? んん?」


「ン! は特にない」


 ンを連呼する先生につられてンを連呼してみたがただ遊ばれていたみたいだ。


「ここは笑うところや」


「な、るほど」


「まぁ基本はこんなもんやな。んじゃ次や次」


 そう言って先生は荷馬車のほうへ走っていくのでその背中を追って走る。




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