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一方その頃のよしくん

「くっそう、男武将限定戦闘イベントなんて運営は馬鹿なの?死ぬの?

 チーレム目的なのに誰が男武将なんて育てるんだよう」


 ひろポンに対してはレベルで勝っていると上から目線のよしくんだったが、実際にはすでに色々行き詰まっていた。

まず、レベルに対して銭、食料、武器などが圧倒的に足りないので殆どの武将のレベルが全然上っていなかったのだ。

最初からいる貂蝉はかろうじてレベル40になって、武器や鎧も装備しているが、その他の女性武将はなんとか20レベル程度で武器も装備できていない。

男性武将になどは全く虎の巻を使う余裕はなかったため1レベルのままである。


「お前たちも名将とか云われるなら勝手に強くなったりしないの?

 お前たちに経験値や銭を分ける余裕なんてないんだよ?」


 馬車の中でうつろな目をして体育座りをしている男性武将に対してよしくんの罵声が飛ぶが誰も反応しない。


 そもそも最近のソーシャルゲームというのは主人公だけが強くなっていく単純なものはほとんど廃れてしまい、主人公に設定されている能力は行動力ぐらいのものが多く、複数のカードやユニットの中である程度集中して育てる必要はあるにせよ、それぞれに有利不利がある属性などがあったりするのでそれなりに手広く育成する必要があるものだ。

このゲームにおいてもたとえばイベント戦闘に参加できるのは男性武将だけ、女性武将だけ、騎兵だけ、歩兵だけなどの条件にも対応できるようにしておかなければならなかったりする。


 そしてたとえば君主レベルを1レベルあげるのに5日かかるとすれば武将のレベルを1上げたり武器を揃えるために必要な銭や米の村からの産出量やログインボーナスをあわせた量が1人分であるとして、5日あれば集中して育てている5人の武将は君主のレベルと同じレベルを維持できると言う理屈になる。

その程度であればまあそこそこバランスは取れてるといえるだろう。


 しかし、毎日任務などの達成報酬で君主レベルの上がる速度が5倍になってしまえば1日で1レベル上がっていてしまうが、その間に武将のレベルを1あげられるのは一人だけになってしまう。

それが何レベルもの間続けば一人以外はレベルがろくに上がらないという状態になる。

更に村施設のレベルアップについても同じことが言える。

君主レベルが上がることで村施設のレベル上限が上がっても施設のレベルアップに必要な銭がないので村の施設のレベルが上がらない、レベルが上がらないから算出する銭なども増えない、銭が増えないから施設をレベルアップできないの悪循環だ。


「ああ、村を襲ってもなんで全員撃退されるんだよ。

 これじゃ赤字じゃないか。」


 この世界での、PVP、つまりプレイヤー同士における対戦要素は村を襲い合うということだが、マッチングは君主レベルの同レベル帯で行われる。

当然君主レベルが40であれば攻撃できるのは相手プレイヤーもしくはNPCの君主レベルが40レベルの者から選ばれるが、これまたNPCであれば君主レベルが40相当、君主レベル10レベルで村施設は1レベル、そこから君主レベルが5上がるごとに村の施設レベルが1あげられるとかだと、NPC野村施設は全て5レベルまでに上がっていたりするのだが、ヨシくんの武将隊の戦闘力では撃退されてしまって資源などを全く奪えない。

しかし、村を攻撃するためには銭と食料が消費されるのでその分赤字になったりしている。


 運営としては”なら武将を強くするため現ナマを使えばいいんだよ”と露骨に課金をさせようとしていたが、運営からの課金要求がそこまであからさまだと逆に嫌になってプレイヤーはやめていってしまうということがわかっていなかったのだろう。

あっという間に過疎化してもそれを改めなかった運営は無能としか言いようがない。


 そういった状態で君主レベルが上ってレベルが上ったことによるイベントが起きても”そのレベルにたっしたときの君主レベルに対しての平均的な敵戦闘力のバランス”をそのまま持ってくれば当然イベントはクリアできない。

しかも最悪なことにこのゲームは君主レベルに到達した途端にスタートして終了までに日数制限がある。

そしてイベントがクリアできないので報酬燃えられないので更に成長できなくなると言う悪循環である。

新規プレイヤーを優遇する措置のための君主レベルブーストはむしろ新人プレイヤー殺しにしかならなかったのである。


「おかしいじゃないか!。

 僕が主人公でチーレムだろ?!

 なんで周りは足手まといばっかりなんだよ」


 そしてヨシくんはニヤリと笑った。


「そうか僕の能力は強奪系なんだな。

 他人が苦労して金と時間を掛けてレベルを上げた

 キャラを強奪できたりするんだ。

 そうだよ、この世界でも苦労するなんてありえないよ。

 この世界でも馬鹿にされるなんてホントありえないよ!」


 そういう彼の表情はすでに狂気をはらんだものになっていた。

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