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「すごい数だな」
ブン・ラッハがつぶやく。彼もアリッサも全く動揺していないところを見ると、この襲撃は予測済みだったのかもしれない。
「転送してきたのはワイバーンゾンビだけじゃなかったってこった。こんだけ本気で来るってことは、やはり敵さんの狙いはあたしらの魔力みたいだね」
ブランは、もちろん人型のゾンビを見るのは初めてであった。かつて自分たちと同じ姿で笑ったり泣いたり怒ったりしていたであろう人々が、恐るべき闇魔術の手先となってしまうのは、正視に耐えがたかったし、許せなくもあった。
「あれを見ろ」
その時、ブン・ラッハがゾンビの群れの一カ所を指さした。
「ああっ!!」
近づいてくる死人の群れの中にいたのは…
「ダラスさんが…」
ブランの震える唇から声がもれる。
ゾンビの群れの中にローブ姿の男がいた。それは確かに魔道王国ドルクロスの魔道士、ダラスであった。しかし、今の彼はブランたちの知る姿からは変わり果ててしまっていた。
フードは後ろに引きおろされ、むき出しになった顔は土色に変色しており、目は濁り、なんの感情も宿してはいなかった。腰のあたりが、なにか強力な打撃を受けたのか不自然な形に曲がっている。
「アリッサ、気づいたか」
「ああ…ダラスの魔力、完全に抜きとられてるね」
しかし、二人のプロは、そんな事態にも恐ろしく冷静であった。
「おそらく、ここで殺され魔力を抜かれ、さらにその後ゾンビにされたんだろう」
「うう…」
それを想像するだけで、ブランは耳をふさぎたくなった。




