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「うわぁ!!なんだあれは!?」
負傷者を肩に抱え、こちらまでやって来た騎士の一人が、後ろを振り返り叫び声をあげる。
ブン・ラッハの周囲の地面は、いつの間にかぽっかりと黒い穴と化していた。今や彼は、巨大な穴の中央にあぐらをかいて浮かんでいる状態だ。
オオオオオー、オオオオオー
穴の中から、世にも悲しげな声があたりに響きわたる。
それを聞くと、ブン・ラッハはおもむろに立ち上がり、詠唱を続けながら穴の上をまるで何者かに浮かされてでもいるかのように悠然と渡り切った。
オオオオオー、オオオオオー
不気味な声は先ほどより確実に大きくなっている。あたりを苦しそうに飛び回っていたワイバーンゾンビは、その声が聞こえるとさらに激しく狂ったように動きまわりはじめた。それは、何者かに怯えているようにブランには見えた。
「来るぞ」
不意に、ブン・ラッハが歌を止め、声をあげて穴の方を見据えた。
オオオオオー、オオオオオー
今や絶叫にまで高まった悲痛な声の波とともに、穴の中から「それ」が現れた。
「うわぁぁ!!」
思わずブランの口から悲鳴がもれる。
それは…そのブン・ラッハの呪術により穴の中から出現したのは、「無数の手」であった。
青白く、よく目を凝らすと半透明に透けている数百にもおよぶ、その「手」の群生は、触手のように上へ上へと伸びたかと思うと、一気にワイバーンゾンビの方へと角度を変え殺到していった。




