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「これは皆さんお揃いで、お待たせして申し訳ない」
部屋に入ってきたのは、議員の黒い礼服に身を包んだ、中年の男性だった。
「まあ!!」
神官の女が、感動の声をあげる。
その男は、中肉中背で、ごわごわとした黒髪を後ろに流し、口のまわりにはよく手入れされた髭がたくわえられている。何より特徴的なのはその目で、非常に澄んだ光をたたえ、彼が清廉な人物であることを印象づけていた。男の後ろから、ヒルダとハートストンが入室する。
「このような昼時に集まる段取りとなってしまい、大変申し訳ない。議会の方も様々な議題で紛糾しているため、今の休憩時間しか抜け出せなさそうだったのでね」
そのまま、男はすべるように椅子に腰かける。ハートストン魔道士がその隣にかけ、ヒルダは、男の後ろに立ってひかえている。
「まずは、自己紹介をさせてもらおうか。ジョン・ウォルター、フィン評議会の評議員をしており、今は副議長の職をつとめさせていただいてる。今日は、お集まりいただき、本当に感謝する」
演説にも栄えそうな、低くよく通る声であった。相手を惹きつける魔力が、声の中に混じりこんでいるかのようである。自分の息子が誘拐されたからといって、やたらとうろたえる様子もない。ブランは、この人物に好感を持った。
「さて、本題に入る前に、皆様に自己紹介をしていただこうか。高名な方々ゆえ、すでに多少知己を得ている方たちもいるかもしれんが、私などは、魔法の世界には疎いゆえ、どうかよろしくお願いしたい」
そう言うと、ウォルターはグルっと円卓の一同を見回した。




