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「アリッサちゃん、どっか出かけるのかい?」


「え?」


「さっきお部屋へ行ったら、何かガサゴソ準備していたからね」


「ああ、なるほど」


「また、悪い奴をやっつけに行くのね?」


「そうなんです。偉い人に頼まれて、悪者を倒しに行くんですよ」


ヒルダから、この件については、決して口外しないようにと強く言われていたので、事件の内容について話す事は当然できない。結果、ブランの言い回しは、童話じみたものになってしまった。


「また、ブランちゃんも一緒に行くんだろ?」


「え?そう…ですけど。何でわかったんですか?」


「そりゃ、アリッサちゃんがルンルンしてたからよ」


ブランには、あのふてぶてしい女性と「ルンルン」が、どうしても結びつかない。


「いや、僕が行こうが行くまいが、アリッサさんにとっては、たいした問題ではないと思いますよ」


「そんなことないわ」


ドロシーは、おだやかに微笑んだ。


「一見…って言っても、あたしは見えないんだけど。一見、ぶっきらぼうな態度をとるけど、アリッサちゃんは、とってもブランちゃんのことを頼りにしていると思うわよ」


「そうでしょうか?アリッサさん、とても元気だから、食事介助や入浴介助も必要ないですし、収入まで安定してるから、新人の僕の出る幕なんて完全にない気がするんですが」


ブランの悩みというのは、アリッサに迷惑をかけられることよりもむしろ、自分など、アリッサにとって必要ないのではないか、というものなのかもしれない。


「そうじゃなくて、気持ちの話よ」


「気持ちですか…」


それはなおさら、ブランには理解できなかった。 あの唯我独尊の道を行くアリッサに、自分はもとより、誰かに頼る、などということがあるのだろうか。

そんなブランの気持ちを察したかのように、ドロシーが言葉を紡ぐ。


「ブランちゃん。年をとるとね、どんなに強がっていても、心のどこかで、誰かにしがみつきたくなってしまうものなの。例え、どれだけ偉くても、お金があったとしてもね」


「う〜ん」


ブランは何とも言えない顔になる。ドロシーの言葉を飲み込みたいが、飲み込み方がわからないというかのようだ。


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