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その数は百近くだろうか。
ようやくブン・ラッハに慣れてきたブランであったが、首から下にも骨がある骸骨たちの群れが、骨をカタカタと鳴らしながら近づいてくる様子は、決して気味のいいものではなかった。
「ま、まさか、この墓地に眠っていた我が国の人々を、蘇らせたんじゃ…」
ハートストンが骸骨たちを指さしながら震える声でつぶやく。
「いや、こいつらはたった今、冥界から召喚されたスケルトンどもだよ」
確かにアリッサの言う通りのようだ。スケルトン達の中には、剣や盾を身につけたり、鎧を着込んでいるものまでいる。
どうみても、この地に埋葬されている人々が蘇ったものではないようだ。
「闇魔術師め。上空から遠隔召喚しやがったか」
アリッサが悪態をついていると、シスター・サリサが一歩前へと進み出た。
「守りはわたくしにまかせてください」
そう言うと彼女は祈りの聖句を唱え、彼ら全員を包み込む程の「聖域の術」を展開した。スケルトン達は、シスターの作った光の領域に近づくことができず、周囲を恨めしそうにうろついている。
「うぉ、すげ〜な」
シスターの術を初めて見るナップが感嘆の声をあげる。
「しかぁし!!防御だけではらちがあか〜ん!!」
吠え声を上げたのはガンダルガだ。そう言うなり大剣を引き抜き
「続けぇ!!小僧ぉ!!」
と叫びながら、聖域の外へ飛び出して行った。
「あの…俺、あの人と初対面なんだけど」
ガンダルガの迫力にさすがのナップも一瞬ポカンとなったが
「ま、いいや。行ってきまーす」
護民騎士に配給されている剣を腰から抜き、ガンダルガの後についていった。