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Prologue
どこにでもある、そんな畦道を散歩したくなった木曜日。
有給休暇の申請メールを上司に送信すれば、突然すぎると叱られて、翌週の金曜日へと先延ばし。
でも、素晴らしきかな三連休ですもの。地方の温泉場に営む老舗旅館へ、さっそくの電話予約をしてみる彼女。
ご予約様は“二名様”
はて、さて?
どうするつもりだ。
「……」
本日は、後半戦のウィークデー。出発まではあと八日。二名の宿泊予約に、現在の人員枠は未だに彼女の一人だけ。
果たして、その意図するものとはいかなるや。
(困ったな)
実のところ、意味などない。
本人さえ、単なる思いつき。勢い赴くままの行動に、困惑をしているような有様で。
この妙齢女子は、遠藤ゆずな。
小心者ではあるけれど、中小企業での正規雇用を勝ち得た、ありふれたOA機器操作の事務員である。




