【連載版】五年間尽くした公爵家を静かに出ていきます。お義母様の薬も領地の収穫も私が回していたと気づく頃には、辺境伯様の隣で笑っていますので
最新エピソード掲載日:2026/02/19
誰にも感謝されない五年間だった。
嫁ぎ先の公爵家で帳簿を立て直し、領地の収穫を倍にし、病に伏す義母の薬を自分の手だけで調合し続けた。それでも夫は一度もこちらを見なかった。
彼が見ていたのは別の女だった。
愛人が屋敷に足を踏み入れた日、セラフィーナは離縁状を一枚だけ残して公爵家を去る。怒りではない。悲しみでもない。ただ五年かけてようやく気づいたのだ。この家に自分の居場所は最初からなかったのだと。
彼女が抜けた屋敷で何が起きるのか、夫はまだ知らない。
商会との契約が誰の名義だったのか。灌漑路の水門を誰が調整していたのか。義母の薬を調合できる人間がこの国に何人いるのか。
一方で北の辺境には、三年間ずっと取引書面の末尾に一行だけ私信を添え続けた男がいる。彼の書斎の壁には、セラフィーナ自身も忘れかけていたあるものが飾られていた。
手を汚さない復讐と、言葉にされなかった想い。
その両方の答えを知っているのは彼女だけだ。
嫁ぎ先の公爵家で帳簿を立て直し、領地の収穫を倍にし、病に伏す義母の薬を自分の手だけで調合し続けた。それでも夫は一度もこちらを見なかった。
彼が見ていたのは別の女だった。
愛人が屋敷に足を踏み入れた日、セラフィーナは離縁状を一枚だけ残して公爵家を去る。怒りではない。悲しみでもない。ただ五年かけてようやく気づいたのだ。この家に自分の居場所は最初からなかったのだと。
彼女が抜けた屋敷で何が起きるのか、夫はまだ知らない。
商会との契約が誰の名義だったのか。灌漑路の水門を誰が調整していたのか。義母の薬を調合できる人間がこの国に何人いるのか。
一方で北の辺境には、三年間ずっと取引書面の末尾に一行だけ私信を添え続けた男がいる。彼の書斎の壁には、セラフィーナ自身も忘れかけていたあるものが飾られていた。
手を汚さない復讐と、言葉にされなかった想い。
その両方の答えを知っているのは彼女だけだ。
第1話 愛するつもりはない
2026/02/17 12:01
第2話 帳簿は嘘をつかない
2026/02/17 12:01
第3話 伯爵家のお嬢様にできること
2026/02/17 12:02
第4話 黒字
2026/02/17 12:02
第5話 匙を投げる
2026/02/17 12:02
第6話 ありがとう
2026/02/17 12:02
第7話 水路を引く
2026/02/17 12:02
第8話 設計者の名前
2026/02/17 12:03
第9話 私の名前
2026/02/17 12:03
第10話 貴女の言葉で
2026/02/17 12:03
第11話 帳簿の穴
2026/02/18 12:02
第12話 左様ですか
2026/02/19 12:02