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093.精霊術士、聖塔への挑戦権を得る

 特級ダンジョン"天空の架橋"の攻略を終えた僕達。

 ボス撃破ライブは、まさに天空のライブステージと言った様子で、360度のパノラマな風景の中、僕達は攻略の疲れさえ忘れて、踊り、歌った。

 雨上がりで、全身水浸し、地面にも水が張っていたが、それが鏡面反射の効果をもたらし、天空にかかる七色の虹の美しさも相まって、まさにそのライブは伝説とも言えるほどの絶景ライブとなった。

 惜しむらくは、ボスの雷攻撃のせいで、メインの魔動カメラが損傷してしまっていたため、ボス戦の後半部分がほとんど映っていなかったことだろうか。

 とはいえ、ファンにとっては、最後の撃破ライブだけでも十分すぎるほど価値のあるものであり、僕らの話題は、街中どころか王都までもを駆け巡っていた。

 そして……。


「思とったよりも、随分早かったな」


 事務所のリビングに集合した仲間達の前で、腕を組みながら、こちらを見て笑うのは、大賢者メロキュアさんだ。


「ええ、あなたとの約束通り、天空の架橋を攻略してきたわよ」

「正直、驚いた。普通は特級ダンジョンの攻略っちゅうもんは、トライ&エラーを繰り返しながら、何度も挑戦して、少しずつ攻略していくもんや。道中しかり、フロアボスしかり、な」


 そうだ。

 僕とエリゼも、暁の翼時代の特級ダンジョン攻略は、実に4回の機会を必要とした。

 それほど、特級の難易度と言うのは甘くない。

 だが、僕らは、たった1回の攻略で、それを成し遂げてみせた。


「天空の架橋は特級ダンジョンの中でも上位に位置するダンジョンや。それを一発クリアしたあんさんらの実力には、もう、疑う余地は欠片もない。約束通り、うちは、あんたらの聖塔攻略に全力で手を貸したる」

「やった。ありがとうございます!!」


 大賢者であり、聖塔を50層まで攻略した経験のあるメロキュアさんの協力を得られることは、僕らにとって、これ以上ない僥倖だ。


「チェルシー。特級ダンジョンの攻略を達成したということは、じきに、ギルドからSランク昇格の通知が来るだろう」

「そっか。今回の攻略で私達、ついに聖塔への挑戦権を得られた、ということなんですね!」


 コロモの言う通り、僕達はこれまでの冒険を通して、聖塔攻略に必要な3つの条件を全て満たした。

 つまり、もう、いつでも聖塔に挑戦できるという状況になったということだ。

 チェルの制限時間までは、おおよそ残り6か月。思っていた以上に、時間的な余裕を持って、僕達は、聖塔への挑戦権を獲得できた、というわけだ。


「これで、いつでも、聖塔に挑戦できる、ってわけね」

「待ち待ち。挑戦する権利が得られたからといって、挑戦の準備が整ったわけやあらへん」


 ちっちっちっと、メロキュアさんが指を振る。


「"女神からの試し"も含めて、聖塔の攻略には、綿密な計画と準備が必要や」

「当然ね。世界最強の神級ダンジョンに挑むんだもの。準備は、いくらしても、しすぎるなんてことはないわ」

「ようわかったとるな。挑戦は3か月後。それまでに、やれるだけのことはやる」


 メロキュアさんが徐に立ち上がった。


「うちやカングゥが叶えられんかった夢、全部、あんたらに託す。それを受け止める覚悟はあるか?」

「当然よ」


 チェルも立ち上がると、彼女は、にやりと笑って見せた。


「私達、極光の歌姫ディヴァインディーヴァは、絶対に、聖塔を攻略してみせる。あなたこそ、最後まできっちり見届けなさい」


 その言葉に、微笑を浮かべながらも、メロキュアさんは頷いた。

 そうして、現役最強パーティーのアイドル勇者と、かつての最強パーティーの大賢者は、力強く、その手を握り合ったのだった。

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