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番外編―馬の気持ち主知らず―

馬のネロから見た視点の番外編です。

 オレの飼い主は姿が変わってしまったがいつでもただ一人だ。何よりオレを恐がらないし、旨い餌と人間に接するような扱いを馬のオレにもしてくれるのが気に入っている。

 ま、限度ってものがあるが、友人の様に話しかけてくれるし、何が言いたいか大抵の事は察してくれる。


 そんな主だ。




 リンゴをくれるのも良いポイントだ。



 ―――この頃体調管理とかそんな理由でくれる数が減ってきたのはいただけないけどな。





 そしてこの世界にもオレは主を追いかけて来たのだ。ストーカー?それは人だけに付く罪状であって動物(魔物)のオレには適応しない。動物が、特に犬や猫(君は馬でしょ、それも巨大な)が自分の後を付いてくるのに不快な思いをするのはごく一部で後はほっこり和むんだろ?な?それと一緒だ。



 ※巨大な軍馬と思われる黒い馬にストーキングされてほっこり和める人はそうそう居ないと思うよbyノワール



 まあどこまでも付いて行くってことさ!




「・・・・・」



 そして今オレは連れ去られる主を乗せる馬車を追尾している。鈍い(奴ら)を追い越して進路妨害しても良いのだが、馬車に乗っている主に怪我でもさせたら恐いのでしないが・・・もっと速く走れやノロマ共!



「ガクブルッ((((;゜Д゜)))」

「ガクブル・・・・( ;∀;)」



 おっと、ちゃんと前見て走れよ。何かあったら地獄に叩き落とし―――いや、今はいい。さっさと走ることに集中しろ。


 ふぅ、危なく主に怪我をさせるところだった。



 それにしても主をどうするつもりなんだ? あの兄弟子って呼ばれてる奴は悪意は無さそうだけど、着いた先の奴らは信用できないかもしれないだろ?

 さて、本当に主はどうするつもりなんだ?




 ノロマな奴らに安全運転を念を押して言い聞かせ(速さも追求したが)数日後漸く目的地に着いたらしい。その間に兄弟子とかいう奴の財布に大打撃をもたらした主の機嫌は上々だ。オレもおこぼれでリンゴ大量買してもらったし、ホクホクだ(笑)


 が、主が馬車を下りて早々雲行きが怪しい。人間とは違う外見の獣人達だが、中身は大して変わらないな。主を値踏みしている。実に不愉快だな。オレもそうやって子馬の時に値段をつけられたもんだ。売れ残ってたけどな。売れ残っててよかったぜ。




 そしてオレの対応に多少揉めたので蹄で石畳を軽く割る。脆いなこの石畳。何の素材だよ。オレの渾身の後ろ蹴りでもビクともしない家の井戸を見習え。あれホントに壊れないぞ!



 おっと、リンゴくれるから大人しく馬屋に居ろって?


 ・・・・仕方無いなぁ。あ、青いのじゃなくて真っ赤なやつにしてくれよ。



 そうしていとも簡単に馬屋に待機することになったオレだった。



 その馬屋でのーんびりしていたら家の庭で見た魔物と同じ様な鬣(獅子系の魔物)を持った偉そうなガキ(外見も年齢も立派な大人)が生意気にもオレにニンジンを突き付けてそれを餌に触ってきた。

 ハッ!(嘲り)オレはニンジン派じゃなくてリンゴ派なんだよ。一昨日来やがれ!


 そんな意味を込めて後ろ足で立ち上がり威嚇すると腰を抜かしたか厄介にもオレの足元で蹲りやがった!

 いや、逃げろよ。離れろよ。何で近くで動かなくなるし。オレが苛めたみたいに思われるじゃん。


 ※でも実際脅したことに変わりないよね?


 それにコイツの家来かなんかが引き離そうとしてるのに往生際の悪いことにその場から動かねぇーし、オレの足にしがみ付こうともしてくるし・・・・何なんだよコイツ気持ちわりーな。



 おっと、主が変な匂いを付けて様子を見に来た。


 いや、すまん主。ちょっとコイツ気持ち悪い位ベタベタ触ってこようよするからよ・・・ついカッとなって脅しちまったんだ。 でもコイツ余計に触ってこようとるすんだぜ?足元から動かねーのは何もビビってるからじゃないぜこりゃ。


 それにしても主さぁ、何してたんだよ。変な甘ったるい、頭の芯がボーッとするような匂い付けてどうしたよ?

 もしかして人が入る“風呂”ってヤツに変な薬でも入れられてんじゃないのか?主変なところで鈍いからな。毒とかには敏感なくせに、自分に付けられた匂いとかには鈍感だもんな(呆れ)



 そしてオレはまたもやリンゴで落ち着かされ、大人しくリンゴを咀嚼していたり、兄弟子とかいうヤツにその辺の馬と同じ扱いされたから腹いせに頭を甘噛(痛くないとは言ってないぜ)をして兄弟子の頭に歯形をつけたり、主や周りのヤツに気付かれないように近寄ってきた変態(性懲りもなくまたニンジンかよ)を手先と化した(奴ら)を上手くけしかけて避けたり、と中々に忙しい日々を過ごした。



 その後オレのストレスも増えに増え爆発もやむ無しと思えた頃



 主は偉そうなオバサン(虎)に提案されて“貴族の保養地”とかいう場所にオレを連れていくことが決まったらしい。馬屋番も大手を振って喜んでたぜ。そんなにオレが恋しいかそうなのか(黒笑)


 ※その後、馬屋番の頭にトリプルアイスクリームのごときタンコブがあったとか。


 そしてその“貴族の保養地”に主とオマケの兄弟子を伴って来ている。ついて早々オレを広い草原に連れてきてくれた。だが腑に落ちないのは地平線の彼方、目では確認できない距離からの監視の目がチラホラと有ることだな。

 主は逃げねーって。そこまでバカじゃないぞ。


 それにしても、オレは猫が足元をうろつくのは容認してるが、犬、テメェーはダメだ。犬ってのは煩くて敵わん。そりゃ大人しいヤツも居るけどよ、騒がしくオレの足に噛みついて来るやつは尚更ダメだ。猫もじゃれてくるが・・・可愛いから許す。子犬も・・・まぁ許そう。


 だが、躾のなってない成犬は御免だな。アイツらこっちが嫌がってるのに遊んでるとか勘違いしてくるのがウザッていんだよ。






 んで、何が言いてぇーのかって言うとだな・・・



 猫人間共はまぁ、あの偉そうなオバサン関係の監視なんだろうけど、犬共の視線も感じるんだなこれが。嫌な予感がするぜ。



 主は気が付いているのか居ないのか、のんびりと草ッ原に寝転んでるし。本気出せば索敵能力がずば抜けているのにマジで呑気なもんだよ。

 ま、オレが何もさせないけどな。




 てちょっ!!


 テメ、この変態ヤローお前も付いてきたんかい!来んな触んな引っ付くなぁぁ!!


 主!主ぃぃ!たすけてぇぇぇ!!




 あ、目を反らされた・・・・グスン(T^T)








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