異世界No.2―ノクターナル―18
貯めた分を連日投稿予定。時間は未定。
やあ( *・ω・)ノ
どうも皆さん。獣人(ネコ科)鍛冶屋のノワールです。好きな武具は鉄槌、作るのが得意な武具は大剣。でも使うのが得意なのは軽装備に小回りが利くダガーと片手剣。それと投てき武器……
得意分野があまり自分に活かせてない私。今日も今日とて膨大な食費のためにせっせと働いています。
この街に工房を貰ってから今日で丁度一ヶ月……見習いの彼らに初めてのお給料を渡す日です。勿論、全く来ていないパニールには1Gも渡す気はないが……いや、二日分はやるべきかな……でも駄目にされた材料費は差し引くと……駄目だなマイナスだ。
そんなこんなで二人に初給料を渡す。金額は450G。凡そ平均的な鍛冶屋見習いの給料よりは若干多めだ。
「え……」
「バカなっ!?」
以上が二人の反応でした。勿論贔屓してるわけではないし、パニール分を入れた訳でもない。単純に彼らの腕が中級冒険者に認められてギルドの方から正式に公布された額を足した額なのだ実は。
そう、わずか一ヶ月でウチの見習い二人はギルドに認められたのだ。つまり、私と同じスタートラインに立ってしまったのだ。まぁ、彼らは今まで私よりも小さな頃からこの街で鍛冶に近い生活をしていたのだし、上手くても不思議ではない……が、正直どうしたら良いか分からない現状である。
つまり、私も彼らと同じ様に混乱しているのだ……少なからずは。
「え?ちょっ……コレは?」
「待ってくれよ…オレ何か悪事に手を染めたのか?なあ?」
落ち着け……まず素数を数えろ……あ、この世界に素数なんて知ってるの高名な学者位か。
うん、私も落ち着かないと……
「落ち着け。先ずは異界の扉を見つけないと…」
「あの、ノワールさんこそ落ち着いて」
「お、お、オレ……死ぬのか?」
「落ち着け!パニーノ!?」
た、タイムマシーンは何処だ!?
はい、落ち着きました。いや~まさかパニーニにハリセンで叩かれるとは思わなかったです。私が試しに作った試作品をここで使うなんて……君はツッコミの才能があるのかもしれないね!
あ、でも程ほどにしてね。結構痛かったから。
「で、この額は何なんですか?」
「全くだ……オレこんな額見たことないぞ」
「ご心配なく。正式にギルドから渡された二人の給料デス」
「あれ?ノワールさん打ち所悪かった?」
「何で敬吾? でか最後の“です”がなんか違う」
「細けー事はいーんだよ」
「あ、はい」
「細かくなくね?」
良いの良いの気にしなーい。
ちなみに男であることを自分自身で確認するために一人称は“俺”にしている。藍苺も一人称俺だろって? いいの、藍苺は自分が女になったことをまだ割りきってないし、割りきっても多分そのままだから。それに“私”と切り離しておかないと後々大変なことになりそうだし…
さて、落ち着いた所で問題を話し合わなければ。
「今回の給料は二人の鍛冶屋としての腕を認められた結果だ。俺は二人が今以上に腕のたつ鍛冶屋になると確信している……が、正直俺の元に居れば腕は延びないと思う」
「え?」
「ちょっ、チッと待て……じゃ…」
「二人は俺の師匠……親方の所で学んだ方が良いと思っている。俺はまだ工房を持ってから日が浅い新人だ。二人程の才能がある人間に教えられることなんてない。二人が望むなら親方に掛け合ってみるぞ? 了承してくれるかは分からないが」
「………」
「………」
二人は互いの顔を見合せお互い頷いてから私の方を真っ直ぐに見詰めた。どうやら覚悟は決まったらしい……どっちにしても。
「ノワールさん」
「オレ達は…」
「……」
「まだここでお世話になります」
「俺たちだって頑固一徹のガンツ氏に弟子入り出来るなら嬉しいけど…」
「中途半端に仕事を置いていけないです」
「勿論、推薦してくれるなら有り難い……けど、もう少しだけここに置いてください!」
あれから二人と話し合った結果、親方には将来性のある見習いとして紹介はするが親方が首を縦に振らない場合も考えてここにまだ居ることになった。
私としても有り難い。
そして二人の一番の心残り……そう、末っ子パニールの事だ。正直私も申し訳ないと思っている。言い過ぎたのは分かっている……でも、商売道具を遊びの一貫の様な使い方をされると頭に来てしまうのだ……短気だと重々承知してる。
言い訳だが、考えても見てくれ……日が浅くとも自分の聖域――人によっては台所、仕事場、大切な物(あえて何かは言わない)の隠し場所――を土足で踏み荒らされるのは許せるか?
私は無理だった。大人気ないが無理だった。
で、話し合いの結果パニールを含めて四人で集まって話し合うことにした。パニールが来ないと駄々を捏ねるなら私が彼らの家に行くことになった。願わくば彼女が駄々を捏ねませんように……
ま、どうせ私が家庭訪問することになるんだろうけどな!
しかし、その話し合いもとある人物の所為で拗れることはこの時予想もしていなかった。




