異世界No.2―ノクターナル―17
さて、この街に工房を貰ってから二週間が経った。最初こそ色々とゴタゴタしていたがそれもギルド側に通報して少しずつ平和に……なっていったと思う。
誤解のないように言い訳すると私はモンスターと呼ばれるほどチクリ魔でもないので悪しからず。自分で対処出来るなら一々通報しないからね?
そうそう、今はお昼休みでのんびり……は休めないけど人気の工房とは違って昼食を取れないほど忙しい訳でもないので普通にただ今昼食中。
そして未だに問題児は無欠勤。働かない分の給料は無いからそのつもりで……と兄達伝いで言ってはあるけど……効果なし。これはいよいよ言い過ぎたと後悔するべきかと……いやでも、ホントの事だしな~。言い方をオブラートに包むべきだった?
ふぅ……最近の若者は軟弱者が多いのか? いや、そんな訳でもない。うん。
「モグモグ……」
「(゜ロ゜)」
「( ̄□ ̄;)」
私のご飯のボリュームにドン引きしているパニーニとパニーノ。仕方ないでしょ、いい加減慣れてください。お腹空くんだから仕方ないでしょ。これでも抑えてるのに……そんなにドン引きしないでよ…
「よく食べますね」
「オレも食べる方だけど……」
「だろうな。俺も――モグモグ――思うぞ…」
種族的な特徴なのだろうか? でも町に居た獣人達はそこまで大食いでもなかったけど?
何で私だけ……何かあるなら早く知りたいよ、原因。
「昔から……だったのかな? まぁ小さい時の事なんて引き取られる前の事は大して覚えてないし…」
「引き取られ……た?」
「ノワールさんはどうして……その、この国に?」
あぁそうだった。この国に人間族主上主義だったな。あれ?ナメられた原因もしかしてこれ?
「さぁ?物心ついた時からこの国に居たが……親に棄てられたんだろう…別に珍しいことでもない」
「ノワールさん……」
「大変だったのでは?」
「いや、確かに……町に保護されるまではひもじかった……が、保護される辺りツイていたぞ俺は」
話ながらお昼を食べていたので大盛りの私の昼食はもう終わった。ちなみに今日の昼食は骨付き肉の香草焼きと豆のスープと硬いパン。見習い二人の3倍は食べた。育ち盛りの少年の3倍はかなりの量だ。一応満足。
鍛冶の仕事はカロリー消費が激しいのでカロリー高めの物を摂らないと力がでない。直ぐにお腹が空く……だが途中で作業を投げ出して食べるわけにもいかない……だからこの頃のご飯は肉中心だ……そろそろ野菜も食べたい。持続力が……
「さて、食べ終わったら二人は道具の手入れよろしく」
「はい」
「展示品の手入れもしておきましょうか?」
「うん。出来るなら……それが終わったら各自1本鉄のダガーを作って良いぞ」
「「!!!!」」
そろそろ二人の腕前を見てみたい。ここ二週間ずっと下働きをしてもらってきたが、元々彼らは武具を作ることは出来るらしい。でもまだ作ることが出来るだけで製品としてはまだイマイチ……それがどの程度なのか早くみたいのだ。
二人の腕前が上がればある納品分の武具を任せられて私の負担も減る……あれ?私弟子とってるよねコレ……ま、別に言わなくてもいいか。
「ただし、鈩にイタズラしたら頭が永遠にその体とおさらばだからな」
「は、はい!」
「肝に命じときます!」
ま、問題児でもないので大丈夫だろう……
そして発覚した新事実……この二人私よりも上手くね? である。
「兄弟子レベル」
「お世辞でも嬉しいな」
「まだまだベテランの鍛冶屋には遠く及ばないよ」
私だって10年弱のぺーぺーですけど?
君ら私を親方マークIIかなにかとでも思ってるの?
だから私一人前だと認められはしたけど実績は無いからね!!
「(切れ味はまだまだ親方には遠く及ばないが、作りの確りしたダガー……親方の所に送り込んだらさぞや良い職人になりそう…)」
「商品には出せなくても自分達用には結構作ってましたし…」
「ま、まぁ……パニールだけは…空回りというか…何と言うか…なぁ?」
テスター用に冒険者に試してもらうのも良いかも。今度中級レベルの冒険者に相談してみよう。
うちの工房には他と比べればまだまだ顧客は少ないが、新人さんや割りと活動時間が早めの冒険者には贔屓にしてもらっている。どの程度か実力までは定かではないがベテランもチラホラた。
何でも親方の所の常連さんらしく、町に居たときも何度か会ったことがあった人も数人居た。
そんな人たちにテスターになってもらって意見を聞くのも二人のためになるだろう。何せ親方も私の作った武具を事情を知ってるベテラン冒険者に試してもらっていた……かなり後になってから知らされた事実だ。
さて、あの問題児はいつになったら来るのやら……
それにしてもマジで私要らないレベルに鍛冶技術高いなこの二人……
そしてその日もパニールは顔を出さなかった……




