お使いは帰るまでがお使いである
まだ続くよ……
地獄有名スポットの針山を横切り盛大なショートカットを図ったら白神に怒られました。どうやら刺さったら只じゃすまない様ですあの針山……。
どうも、ニーアです。もう地獄はとっくに抜けてただいま天界の最下層をテクテク歩いてます。
『どうしてあの人が……』
「…………」
小瓶に入っている魂の彼女がポツポツと何かを呟いているのだが……普通なら怖いよねコレ。私は怖くないのかって? 怖くないよ。だって珍しくもないから。昔っから霊の類いは見てきたし……ビックリしたよ……普通に見えるもんだと思ってたもん。
それなのに母親は見えてないみたいだし、回りの人たちも見えてなくて。それで、見えない人もいて、私の周りには見えない人が多いだけだと思ってた。自分が変だとは思ってなかったよ。
中二病とか言うなかれ……それが異常なことなんて気がつかなかったんだもの。テレビも子供の頃はあまり見なかったし(見れなかったの間違い)ね。
私の常識は非常識が混ざってるって言われたよ……ミケ(マオ)に。それから私の周囲には不思議なことが起きるとか……
避けられてた理由も今ならわかる気がするわ。虐めたら次の日悪いことが自分に起きるとか…子供にとってはそら恐ろしかっただろうね。大人も恐がってたけど。田舎って迷信じみた事を今でも信じてる節があるからねぇ……まあ、避けられてた理由の大半はあり得ないカラーリングと無愛想な態度たったんだろうけど。反省はしている、でも別に後悔なんてしてない。
そんな私にも友達はちゃんと居たから……ま、引っ越してからだけどね。
『………だ。私の所為だ』
それにしても……この子さっきから自分の所為だと言ってるけど、もしかすると親友の女性の事で塞ぎこんでる?
違うと言ってあげたいけど、人伝に聞いた事だし、伝えるにしても私の声が届くかどうか……この子には悪いけど白神の所に着くまで話しかけるのはよそう。かえって悪化させたくわないし。
そして天界の最下層から抜けて下層も抜けた。下層までは人(神)の姿はなく寂れた感じがした。建物はギリシア神話に出てきそうな建物が多いが、平安時代の宮や中世の城風の建物もよく見ればある。
ごちゃ混ぜ……統一感の無い町並みだ。
何事もなく中層に辿り着くとさっきまでの静寂さが嘘のように人(神や天使?ぽい人たち)がひしめき合っている。
神様にも階級があって、最上階(何でコレだけ階なのか分からないが)に住みかを持つのは本の一握り……、その下の上層に神とその眷族が住まうらしい。
中層は主に商店が建ち並ぶ商業区でだだっ広い公園とか会議に使うらしい大きな建物とかがある。
私はお使いの途中なので寄り道せずに帰ります。
面白くない? いえ、私はお使いの途中なので結構です。寄り道すれば絶対何かに巻き込まれる事は把握済みだ。だから大人しく帰る。
それに、今こうして苦しみ続けている人を送り届けないとね。それも一刻も早く。
まあ、時間掛かればそれだけ藍苺の元に帰れないんだから……ねえ?




