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異世界No.1―アテナ―30

 急展開?

 奇襲騒動も何とか収拾がついて静かになったあ呆れ顔を戻した魔王側近のシアンさんに案内されてやって来たました魔王の御座すお城……通称魔王城。名前に反してマトモな……というのは失礼だが、魔王が居るとは思えない白を基調にした小綺麗な城だった。何だろう、見たことあるような……夢の国のシンボルのお城に……見えないでもないような?



 マジで魔王側に私と同じ地球の“日本”から来たトリップないし転生者が居るんじゃないか?



 それともこの世界の基になったゲームからこのデザインだったのか……。どちらにしろ命知らずな……。




「どうかましたか?」


「あ、いや、……魔王と言うには可愛らしい……素敵な城だなぁ…と。」


「ああ、コレは陛下の趣味でして……」


「・・・男性ですよね?」


「はい。貴方と瓜二つですから……」




 それって見ようによっては女にも見えますよってことでいいんですよね。私、自分でいうのも嫌だけど女みたいに細いし、中性的だからなぁ。



 ま、それは別にいいか。



 にしても、人間の国の城よりも……綺麗な城だよなぁ。あっちの方が邪悪なモノが潜んでそうだったし。実際とっても邪悪なモノが潜んでたしな。



 それに、平和的な魔王でもこれぞ魔王の城って感じの城に住んでたら誤解されそうだよね。それでなくても誤解されてるのに……まあ、どちらにしても誤解されてるよね。魔王の胃が心配だ。穴空いてたりして……胃に。




「陛下は最近体調を崩されて……あの人何だかんだで体弱いからなぁ(ボソッ)」



 今、部下の本音が聞こえたけど気にしない。てか、やっぱり胃でも壊したかな……ストレスで。



「正面から入るんですか?」


「そうですが……何か不都合でも?」


「目立ちたくないです。特に門番の不審者を見る目が痛いです」


「あぁ……陛下に似ているので……その、陛下の逃走を疑っているのですよ。よく城を抜けられるので」


「(みんな)苦労しているんですね」


「はい」




 シアンさんの説明で門番に捕まった宇宙人よろしくご用心になることは免れた。私の身長もそれなりにある(180㎝程)のにこの門番……門番の名に相応しく2m超えの巨漢が二人。そして頭に牛のように鋭い角が。ここだけなら魔王の城だと納得。


 眼光も鋭いが……何だろう、苦労人のオーラがひしひしと伝わってくるよう……な?




「シアン殿!」

「よくぞお戻りで!」

「陛下もこの数日大人しく…城下に降りることなく」

「大人しくはしておりましたよ」


「そうですか。それは良かった」


「はい。シアン殿が居ないと止めるものが居ませんから……陛下も理解していたのかもしれませんねぇ」


「して、そちらが……」


「ああ、彼が先程連絡した“運び手”だ。遠路はるばる届けてくださったんだ……失礼のないように」


「「はっ」」


「……どうも」




 2m超えの人に(どちらかと言えば悪魔っぽい)人に見下ろされながらお辞儀されても怖いだけだね。ギロッと目を向けられるのも怖いわ……。

 流石門番。



「……そっくりですな」

「本当に」


「私もそれには驚きましたよ」


「あー…まぁ、そうみたいですね。(その所為で首が飛んだけどね)」




 まあ、魔王側には落ち度はないと……思う。誤解されてるにしても何かしら訳がありそう。とは言え、巻き込まれて命狙われるのは勘弁だ。早々に対処してもらいたい。



 城の内装はこれぞ城って感じの白い大理石(推定)に赤い絨毯の敷かれた廊下に成金に見せないほどの調度品に絵画……内装も人間の国の城よりもそれらしい……ホントに魔王って感じが一切しない。



「あちらに飾られている絵が魔王陛下です。あなたに似ているでしょ?」


「……あぁ…ですね」



 飾られた絵は大きいが、どこか頼りなさげに描かれた人物に見えた。私にいていると言うよりも、父さんの方に似ている気がする。何て言うかな……滲み出るヘタレっぷり……魔王もヘタレか?



「この絵を描かせる時、陛下は乗り気ではなかったのです」


「顔が苦笑いで固いですね」


「ええ、画家も忠実に描いたものです…」




 よく教科書に載っている偉人の絵は誇張して描かれてたり、美人(描かれた当時では)に描かれてたり……色々と真実をねじ曲げられてたりして描くが、この魔王の肖像画は真実をきちんと描いたらしい。ヘタレ感が滲み出る絵でした。


 何となく父さんよりもヘタレに見えるのは身内贔屓だからだろうか?





「こちらで少々お待ちください……」



 側近のシアンさんはメイド……だと思う女性にお茶の用意を(正確にはもてなせと命じた)言いつけて出ていった。多分、魔王を呼びにいったか、報告にいったのだろう。


 シアンさんは去り際魔王の頭をここに置いていってしまった……。あの、どうして持っていかなかったの?もしかして彼はドジなのか?そうなのか?


 ガラスケースの中に鎮座する魔王の頭。実はこのガラスケースはエルフとドワーフが共同で製作したものらしくて……試作品を貰ったのがあって、ちょうどいいからと使っていたのだった。もう魔王の頭入れちゃったから他に使い道無いと思うし……あげてしまおう。このガラスケース、どんな攻撃も弾く魔法が掛けられているからどんなに高いところから落としても大丈夫!


 多分……中身までは保護してるか分からない……多分大丈夫……なハズ。





「………(あ、無事みたい)」



 傷はついていないのでホッとした。




 それにしても……お茶よ用意にしては……時間がかかるねぇ……まぁ、何の用意かは……




「悪党!覚悟っ!!」


「………」





 ……ほらね。大体こういう風に返しに来たりすると、こっちが良心でやってても彼らからしたら……主の雁首携えた悪党にしか見えないよね。



 そうして私は意識を手放した。それも強制的に……ね。




 急展開だね。






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