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異世界No.1―アテナ―29

 もう慣れてきたニーアさん。

 どうも皆様、最近体がパージすることが一ヶ月以内に二回もありました、アンドロイドなので痛みも無いのが救いだとつくづく思いますニーアです。



 そして愛馬のネロはキレて暴れております。犯人の人には御愁傷様と心のなかで同情しておくとして、さてどうしようか。




 私が胴から真っ二つにされたのには理由がある。ただボーッとして攻撃を交わせなかった訳ではない。そんなことにはならない……同じ鉄は踏まないとクラウドがいち早く教えたくれた。

 ではどうして回避しなかったかと言うと……



 うん。デスクワーク派と思われた側近さん――シアンさんはやはり荒事には向いてなかったと言っておこう。

 犯人が斬りかかってきた時、私はいち早く反応したのは良いものの……彼は気が付いたが体が反応に追い付かなかったのか避けきれなくて転んだのだ。そして私が庇って斬られた……と。



 その時のクラウドさんの怒りときたら…恐ろしいの一言に限る。攻撃を肩代わりしたことに対してじゃない。私の体が真っ二つに斬られた事にたいしてだ。


 なまくらでは斬らないし掠り傷もつかない頑丈な体が真っ二つに斬られた。あの勇者(笑)の聖剣(笑)でも斬れなかった体がいとも簡単に斬れたのだ。今回はパージしたのではない……本当に真っ二つに斬られたのだ。



 人間ならとっくに出血多量と痛みのショックで死んでることだろう。生憎と生き物でもないので痛覚は切ることも出来る。戦闘中はヤバくなれば切るようにはしている……今回は斬られた瞬間クラウドの機転により痛覚は斬られたので精神的なダメージは抑えれた。

 それでも精神的にちょっとこれはキツい。




 犯人の狙いは多分魔王の頭なんじゃないかと仮説をたてる。それかシアンさんに個人的な怨み、もしくは魔王の命を狙って邪魔物を消そうとしたのかもしれない。正直護衛には役に立たないシアンさんを殺しても……いや、統治している魔王からしたら精神的にいなくなるとキツいか……主に胃に悪そうだね。ストレスで胃に穴が開くかも。




「何故ここに神官が………」


(神官?)

《この世界に多く布教しているとある神を奉っている教会の神官です。》

『勇者を遣わしたのもこの神官が所属する宗教だ』



 ああ。あの勇者(笑)とその愉快なハーレム達にチートな力を授けたって言うあの教会神官ね。通りでいけ好かない気配がするわけだ。どうせコイツも神様(笑)から神の御業とか言うチートを授けられてるんでしょ。

 もいいよ、分かったからその足を退けてくれない?踏まれて喜ぶ趣味はないから。



 そう、その犯人改め私を斬った神官はあろうことか私の体(上半身)を踏んで高らかに如何に自分達の神は偉大か、その神に従わない私たち悪かくどくどと説きはじめた。


 ちなみにネロの餌食になっているのは多分コイツの御付きの人たち……こっちにネロが来ないように何とか阻止している。それももうすぐ決壊しそうだけどね。





「我らが仕えし神は――(中略)――であるからして、貴様たち神に従わぬ者は皆総じて悪だ!」


「―――はあ(呆れ+混乱)」


「あっそう(日本語でOK)」




 要約すると、「お前ら私たちの話を聞かない野蛮人、だから貴様殺しも何のお咎めもない」らしい。どんな理屈だよ。




「な!ななな何故未だに生きている!!もしや貴様妖魔の類いか!?」


「妖魔ねぇ……ただの魔導人形ですけど何か?


「……大丈夫なんですか?」


「まぁ、ね。生憎と血は通ってないから出血多量で死ぬことはないかな……悪いけどそこに転がった下半身こっちに運んでくれない?這ってでもいいんだけど……人手があるなら手を貸してくれるとありがたい」


「えぇ、これくらいなら構いませんよ」


「――ってオイ、貴様!私を無視するなぁ!!」




 あぁ……断面がグロテスクじゃなくてホントよかった。そんなの見た日には食べ物が喉を通らなくなるところだったよ。


 そんなのほほんな気持ちで考えているとちょっと近くで悲鳴が上がったが、多分ネロが蹴散らしているからだと直ぐに意識の外に追いやった。


 ネロ、怪我だけはしないでね。



『食い意地がはってるな』

(こんな非日常なファンタジーな世界に順応するためには食べ物に慣れるのが一番手っ取り早いの。だから食べ物の執着が無くなったら……ちょっと精神的な支えでもあるの)

『そうか。しかし奴も相当頭に来てるようだな』

(奴ってだれ?)




 白神の言う奴とは敵の神様のことで、あの頭のおかしい神官が仕える神の事らしい。どうも話からして私に過去の嫌な記憶を見せた神様ではないようだ。



『アイツは奴に仕方無く従っているに過ぎない。本来はこんな馬鹿げた事はしない。だが直属の上司の遊びに付き合わされているだけだ。




 神様も上司に悩むことがあるのか……大変だね。




 あれ?白神って上司いないの?いつも話しかけたら返事するけど。え?暇なの?



『私には上司はいない。部下はいるが普段は勝手に仕事をしている』

(つまり白神は引きニート一歩手前ってこと?)


『……失礼な……今こうして仕事をしているだろう』

(……へぇ)




 ちょっと楽な仕事ですこと。それに四六時中私を監視してるわけでもないのに。暇なときはゲームしたり動画サイトでゲーム実況見てるだろ。この前見せてもらったし別にいいけど……基本暇だよね神様ってのは。



 暇だから世界を勝手に作り替えたり、おもちゃみたいに人を操ったり、馬鹿なこと仕出かすんじゃない?


 神々の監視体制もう少し強化した方がいいんでない?



 

 そして無視されて喚いている神官……なにがしたいんだか分からん。お前はどこぞの鼻垂れだ。雪山に放置されたいか?



『紅蓮そのネタは分からない者が多いのでは?』

(あぁ、いいのいいの。ただの独り言だから)



 今更ながらこの場所は港だ。そんな場所で人が真っ二つに斬られれば……警備をしている兵士が来るわけで。

 こここは魔王のお膝元。こっちは側近のシアンさんが味方にいる。どう考えても頭がおかしいと判断されるのは神官の方だ。……と、思いたい。

 魔族って実力主義でシアンはデスクワーク派で威厳がなかった…なんて落ちはないよね?



「シアン様!お迎えにあがったのですが……この騒ぎは?」


「あの神官と名乗るうつけが客人に斬り付けてきたのです。客人は魔王陛下に恩のある方……無礼なその神官気取りを即刻捕らえなさい!」


「は!」



 ゾロゾロと兵士等を連れてきた――たぶん隊長さんが指示して神官はあえなく御用となった。何でもあの良く切れる武器はチャージに時間がかかるタイプの武器らしい。そういう武器ってのはここぞって時に使うものだよ。こんな序盤から使ったら……無駄うちじゃないか。



「ぶ、無礼な!!私は――」


「話は牢の中で聞いてやる。さっさと歩け!」



 乱暴な物言いだけど予々紳士的な対応な隊長さんであった。罪人に酷い罵声も体罰も与えてない。ま、今は連行してるだけで後々あるだろうけどね。人が集まってる場所で醜態をさらすほどバカじゃないだけかも。



「すいませんでした……最近あの手の者が多くて…」



 まさか一般人を切り捨てるとは思わなかった。そんな言葉から今までにも怪我人はでないにしろひと悶着あったようだ。

 ま、私が斬り付けられた理由は何となく分かるよ。あれでしょ多分。……白神関係で。








 頭でも胴体でも斬られることに慣れてきたニーアさん。痛みがないから自覚も薄いようです。

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