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異世界No.1―アテナ―27

 新キャラ登場………でもあんまり出る予定なし。

 何故か一見するとただの貨物船(それもかなり旧式の帆船)に大層な名前のついたクイーン・マリア号は一路魔王領――通称魔国?――に向けて順調に帆を進めている。



 ま、こんな時は必ずと言って問題が起きるわけで……




「疫病だっ!!」

「イヤァァァ」


「こっちに来るな!」




 なんとまぁ、とある一人が倒れて……感染力の極めて強い病の疑いがあるとかないとか…。船内は大騒ぎだ。


 私の反応は「あぁ…厄介事が……」だ。



 私はというと、馬専用の貨物室にてネロに林檎を持ってきたところだ。初めての船旅に船酔いしているネロがあまりにも可哀想かつ、機嫌が悪くて暴れて係員を抹殺してないか心配になったのだ。まぁ、その様子見も兼ねて来たところ。




(ホントに疫病だって?)

《この船から発生したわけでは無いようです。この船は極めて清潔です。鼠も見掛けませんし……猫を放しているのが効果的な様です》

(やっぱり病気の媒介になるのは鼠か)

《倒れた人物をスキャンしないと判別出来ませんから……何でしたらある程度倒れた人物に近づいて確認しましょうか?》

(うん。まぁ、範囲が広ければね。近付きすぎて私まで巻き込まれたら終わりだし)

《ま、マスター……》


『助けると言う選択肢は無いのか?』



 助けるねぇ……それで自分までこの広い海のド真ん中で放り出されたら助けてくれるのかい?



『う゛っ……それは難しいな』


(大体ねぇ、ロボだから病云々移る心配無いけどさ、私、医者じゃないし。知識も無いのにどうやって助けんのよ。そういう誰でも助けようとするのは人として出来た人間だよ。けどさ、そう言うのは救える知識ないし力がある人だけの特権。一般人ならただの蛮勇さ )



 身を守りたいなら、余計なことには首を突っ込まない。これ生き抜く鉄則。




『間違ってない……が、アレは助けた方が良いぞ。何せ魔王の側近中の側近……あの症状も単なる魔力不足……』


(つまり、魔力補給すれば治ると?)


『あぁ。』


(…………それを早く言え!!)




 はぁ、何だよ。悩んで損した。



『ふん?(ー_ー;)』

「いや、何でもないよ……ちょっと耳の周りでコバエが飛んでて煩かっただけ」

『フルル……(ー_ー;)』



 疫病の心配も(私を悩ませる事は)解決した。今はどちらかと言うとネロの船酔いが心配だ。馬用の酔い止めがあればいいのだけど……私の持ってるエルフ印で良いのなら……大丈夫かな?




――――エルフ印のお薬は胃に優しい薬草とエルフの優しさ(魔力)で出来ています。人間から魔族、動物や魔物、なんと魔導人形等にも効きます。お求めご相談はエルフの里まで――――




 おい。ナンダコレ



「……あーっと…ネロ……酔い止め飲めるってさ……飲む?」

『!!!!( ̄∧ ̄;)!!』



 おっと、これは………ネロさん?君まさかの薬ダメなの?



『フルフルフルフル(T^T)』

「あれれ~?ネロさんともあろうおひとが薬が飲めないなんて……言わないよね」



 疑問じゃない。これは命令だよネロ。




 その後頑なに口を開かないネロに痺れを切らして持ってきた林檎を切り分けて薬(錠剤)に仕込み油断したネロの口に突っ込んだ。


 良い子も悪い子も真似しちゃダメだゾ。馬にも君たちにも危ないからね。




 薬を飲ませ一応観念して大人しくしなったネロはその後直ぐに薬の効果で船酔いが治ったらしい。元気になって動きたそうに……その場足踏みを繰り返している。アレだね、暴れないだけ偉いと思うよ。








 さてと、魔力不足の魔王側近には何が良いのだろう……オレンジ味のグミか?それともパイン味? エーテルもあるしエリクサーもあるけど……何れが良いかな?


 私としてはグミで手を打ちたいところだけど……主に金銭的な意味で。



《回復量がグミでは足りないのでエリクサーにしてください。どうやら体力も大分減っているようですし……》

『うむ、魔力が枯渇すれば体にも異常をきたす。エリクサーにしてやってくれ…』


(………何だよ二人とも……分かりました!ったく…私はそこまで知ったら鬼じゃないんだからエリクサー使いますって……)




 まったく。そこまで私は守銭奴かっての……あ、いや、


 確かに守銭奴なところはあるけどさ……否定しないけどさ……時と場合は選ぶよ?





《マスター、側近は貨物室まで追いやられた様です……この貨物室から2部屋程離れた場所です。》

(………そう。案内頼むよ)

《了解しました》



「じゃ、ネロは陸に着くまで大人しくしててね」

『ふん……(ー_ー;)』



 まだ着かないのかと気落ちするネロに一言かけて私はクラウドの案内でその魔王側近とやらに会いに行くことにした。



 それにしても、世知辛いねぇ…。病に対して何の予防も治療法も無いから気持ちは分かるけど……貨物室に閉じ込めるのは頂けないなぁ。貨物室ってのはジメジメして病人を置いておくような場所では決してない。どう考えても悪化する……人から遠ざけたいのは分かるが、それなら誰も寄り付かない場所に閉じ込めた方が……。


 おっと、この辺にしておかないとどんどん私の株が地に落ちるわぁ。




 2部屋離れていると言っても流石は貨物船。荷物を運ぶ船なだけあって貨物室はとても広い。そんな貨物室の2部屋隣なんてのは……まぁ、察しの通りかなり遠い。疲れ知らずだがここまでは代わり映えしない通路を歩くと言うのもなつまらないし、何だか疲れるような錯覚をするのは私だけだろうか…。


 ま、直ぐに解決する程度で良かったよ。とはいえ、騒いだ乗客たちを説得なんて事は出来ないだろうからその辺は魔王側近の方に任せよう。丸投げとも言うね。




「失礼しまーす」



 大きめの扉を開けて一応中に呼び掛けるも、反応なし……ありゃ?大丈夫か?




 魔王側近の方が返事をしなかった訳は、単純にそんな元気が無かった他に誰かに見つかって物でも投げられたら避けられないので奥の奥に隠れていたそうです。うん、危険を前にすると人間は何をするか分からないからね。真っ当な行動だと思うよ。



「いや、助かりました…(何だよコイツ…何者だ?)」


「まぁ、目的地に着いても今回の件を見過ごしたら意味がないからな。(ホントは無視したいんだけどね)」



 相手は一応腹の内を見せないようにはしているけど今だに体調が良くないのか眉間にシワを寄せ険しい顔でこちらを見ていた。気持ちは分からないでもないな。具合が悪いだけであんな扱いをされればやさぐれるよね。




『体力の方も回復してやれ』

《スキャン結果を報告します。危惧されていた魔力は全快しています。他の結果は画面に表示します》



 クラウドによると……




――――――――――――――――――――――――――



 名前  シアン・スノーホワイト


 種族  魔族・雪族


 称号  魔王側近


 状態 : 混乱、瀕死



 HP :  500/2500


 MP :  3000/ 3000





―――――――――――――――――――――――――――




 頭の左側にポップアップ画面?が出てきた。スゴいねクラウド、スキャン万能なんじゃないの?


 ポップアップ画面によると瀕死らしい。半分以下になると瀕死らしい。多分だけどこの人前衛タイプじゃないね。後ろから術をバンバン撃つタイプかな。打たれ弱そうだもん。


 このステータスがチートじみてるのか見分けがつかない……周りの人たちは普通に部類してはいけないと思うんだよね……勇者(笑)しかり、その取り巻きしかり。



 あのメリルたちも普通より数段強かったし……普通ってどこくらいのことを言うのでしょう?





 ま、それはそれとして………取り合えず睨んでくる側近さんの口にハイポーションを突っ込み、体力回復をしておく。更に睨まれたのは当たり前だけど、こうしないと飲まなかったとここに書いておこう。





「……………(怒)」



「…………(^_^)」




 辛い……この沈黙と無言の怒りが突き刺さって辛い。





 ホワイト名のに名前がシアン……まぁ、気にしない気にしない。適当です。




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