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異世界No.1―アテナ―26

 時間が少し飛びます

 どうも皆さま、ただいま愛馬ネロに乗って魔王の領地に爆進中のニーアです。


 え?いきなりそこからなのかって?



 端折りましたよ面倒ですもの。





 あらすじとしては、


 あ、軽快なBGMはセルフでどうぞ。



――謁見の間にて親子喧嘩に巻き込まれたニーア。しかし、白神の目眩ましで逃亡。逃亡途中如何にも魔法使いな奴の顔スレスレに銃弾を撃ち込み反撃の隙を与えなかった。そして謁見の間を出て白神のナビで無事隠されていた魔王の頭の奪還に成功。ニーアは急ぎ城門に戻りそこで見たものは愛馬ネロによって昏倒させられていた見張りの兵士たち。ネロの有能さに呆れつつも進路を魔王の領地へと進めるのだった――



 かな。色々と端折ったんだけどね。



 そんな逃走中ですがのんびりネロが走ってるわけがない。この世界の情報伝達技術なんて伝書鳩か鷹位だもんね。このネロさんの脚に追い付ける物はない。電話みたいな連絡手段があれば先回りして包囲網も張れるだろうけど……まぁ、そうなっても暴君ネロ様は止められるかな? 私の予想ではぶっ飛ばされて宙を舞う兵士と道を進んで譲る軍馬達が目に浮かぶよ。



 ちなみにネロさん、他の馬にモテモテです。でもストイックなのか人見知り(馬見知り?)なのか奥手なのか……ある程度距離を起きます。近頃は本当に中の人が居ないか疑ってしまうのです。



 と、ここで道を塞ぐ様に倒れている大木を飛び越えるネロ。私が腕を回しても手が届かない程太い大木も馬にはただの段差です。馬ってホントに軽々と飛ぶよね……障害レース見たことある? 競馬何だけど障害を飛び越えて走るレース……あれ凄いよね? 猛スピードで走ってるのに飛び越えるんだから……馬と騎手の凄さが分かるよね。



 まあ、人と同じで訓練こなさないと出来ないだろうけどね。




「ネロさんネロさん、疲れてないかい?」

『フン!( ̄^ ̄)』



 愚問だ!と鼻息で返事をするネロ。どうやら疲れなんて無いらしい。流石である。




「このまま魔王領まで走れるの?」

『ブルル(`^´*)』



 俺を誰だと思ってんだ、当たり前だ!と、多分言っていると思う。ニュアンス的にはあってるだろう。



 それでも水位は飲もうね?と返すとちょっと腑に落ちない様だが概ね賛成してくれた。



 ぶっちゃけると私が疲れるのです。主に精神的なモノで。落ちないかと力み過ぎてハラハラしてるのです……えぇ、私一般人ですから。紅蓮(コウレン)として生まれてからも馬にはなったことないですし……半年やそこらで慣れませんよ普通。


 アンドロイドという痛覚を操作できる身体なお陰で尻が痛くなる事が無いのが救いだね。あれって最悪皮が剥けるからね……考えただけで痛いわぁ。






「はぁ……何れくらいで着くのかねぇ…」

『( ̄^ ̄)?』

「海を越えないといけないし……あ、ネロも行く?船なら乗れるから……どうする?嫌なら帰っていいよ。ルシェ」面倒見てもらえばいいし…」




 ネロは心外だと言い(ニュアンス的に)船に乗って一緒に行くそうだ。



 あ、そうそう。ネロさん泳げるんだよね……河とか普通に渡ってたし。船が最悪沈んでも……大丈夫だよね?そのまま魔王領まで泳ぐことになるから。



 その時はよろしくね?





 さて、今向かっている魔王の治める領地。みんなは魔王領と呼んでいる。この大陸とは海を隔てている結構大きな大陸だ。人間も住んでいるらしい(白神情報)が、圧倒的に魔族が多い。だが、ゲームでよくある世界征服なんて毛ほども考えてないみたい。その反面、人間国の方がそういう考えがあるらしい……業が深いね人間は。


 で、そんな魔族の国だけど……至って平和。



 うん。人間の国よりも平和。争いなんて起こったことない。特に今の魔王の代は色々と取り組んでいるらしく生活水準が爆発的に上がったらしく、国民からの支持も高い。ドジな面もあるらしいが(白神情報)それも許容範囲のバカワイイ……らしい。


 うん。コイツ転生者じゃないかい?




 あ、船が定期的に出てるのは何故だかは知らないけと……国民にとっては昔らかの事なのでさして不思議なことでもないらしい……怖いって教育される魔王なのに船は疑問に思われてないなんてね。変だと思わない?


 ま、海を泳いで渡る必要がないので私としてはありがたい限りなんだけどね。








 さて、王都よりも活気溢れる港町……ブルーベリーの街にやって参りました。



「兄さんよってかないかい?今日はデカイ魚があがったよ!」



 港町と言うに相応しく活気溢れ、魚屋が多い。さっきから声を掛けられては愛想笑いで振りきっている。うん。そんなにこの顔は目立つか?



 この港町ブルーベリーはこの国最大の港町街であり、最大の貿易拠点だ。様々な国から持ち込まれた色様々な品々に色んな人種が一堂に会している。魔王領行きの船が出る唯一の港町。そして海は深い蒼の名前がブルーベリーの由来らしい……ブルーベリーか。中国語で藍苺……はぁ~………。



 年甲斐もなくホームシックになりかけている。うん。だってこんなに離れていることなんて無かったもん。あぁ、帰りたい……



「( ̄^ ̄)?」



 グイッとネロに着ていたコートの袖を引っ張られ現実に戻された。現実は非情である。



「分かってるよネロ。船着き場で時間表見ろって言いたいんでしょ?」

「フン!( ̄^ ̄)」



 そうだ!と言っている……と思う。ハイハイと生返事をしてネロの手綱を引きながら足を船着き場とおぼしき方向へ向けた。



 ネロは見る人が見たらヨダレものな名馬(魔物だが)だ。さっきから色んな目線が突き刺さってくる。それにネロは大柄だ。悪目立ちしすぎる。


 目を話せば格好の餌食だろう……主に盗人がネロの蹄鉄の錆に…なるという意味でだが。



 お利口で且つ人見知り傾向の強いネロは気性も荒いので誰にでも着いていく良く訓練された馬とは違う。前にも言ったが、邪な目的で近付けば最後得意の足蹴りで吹っ飛ばされるだろう。



 つまり、私が気を付けずともネロが勝手に自分に群がる羽虫を叩き潰すので楽なのだ。


 まあ、これだけ目立つなら追っ手にも見つけやすいだろうけどね。



 追い付いてこれればの話だけど。何せこの港町には国直轄の兵士は居ないのだからね。ここはギルドが完全に仕切る街であり、国が勝手に兵士など置けない街なのだ。昔見捨てた街を取り戻そうと考えるほど王たちもバカじゃなかったのだ。


 ま、早い段階なら取り戻したかもね。ここまで大きな港町だ。さぞや金の成る木だろうに……。国は見捨てる判断を誤ったな。


 いや、見捨てられた意地も住民達にあったからここまで立て直せたのかもしれない。


「おい、ソコの深緑のコートを着た黒馬を連れているお前! ギルド長がお待ちだ……ギルド本部に来てもらおうか?」




 ありゃ? もしかしてギルドも敵に回したかな?



 幸いにも魔王の首は四次元ポーチの中に大事にしまっている。正直食べ物と一緒にするのは気が引けたが、大事なものなので仕方無くしまっている。


 あ、そうそう。魔王の頭何だけどね、魔王本体とは通信的なモノは出来ないみたいだ。出来れば「今からそっちに頭届けるから~」とか言伝てできるのにねぇ……ちっ、使えねぇな。



『いや、そもそも頭はそんなことできんだろ』

《マスターは可能ですが?》

『それはロボだからだ。生き物だぞ魔王は』

(そもそも私は生きてないしな)



 クラウドの常識を斜め上に行く回答にちょっと呆れつつも、ギルド長の使いの大男に着いていく。しかし、何処で情報を掴んだのやら……まさか馴染みのギルド長が情報をリークさせたか?まさか売られた?………いや、あのオヤジは頑固だが人は良いし、部下からの信頼もあついし、何より親方の旧友だ。私にも仕事を寄越してきたり(エルフやドワーフ関係)借りが彼方にある。


 多分だけど、ここのギルド長の独断……或いは私を売るためではなく、何かしらの思惑があってのこと?



(うぅぅぅ…分かんなぁぁい。元々頭使うのは柄じゃないのに~…)




「こっちだ」



「分かったから……愛馬も一緒でいいか?盗まれたら(犯人の安否が)心配だからさ。」



「良いだろう。しかし、室内までは流石にダメだ」


「だろうね……じゃネロ、行こうか」

「………(-_-#)」



 うわぁ……怒ってるよ…。目的地に行こうとして邪魔されたから怒ってる。




 悩んでいる間に目的地に着いたようだ。早いな……それともここまで上の空で時間感覚が鈍ったか?それが濃厚な気がする。



 案内された場所はギルドブルーベリー支部と言ったところか。街が大きいからか本部と言っても差し支えない規模だ。



「馬はここの厩舎で預かる……ん。」



「(#`皿´)フン!」



 さっさと手綱よこせと言わんばかりの男の態度に我らが暴君ネロ様はご機嫌が更に降下した…。ネロ様?暴れるのは最終手段だよ?堪えてください、お願いします。




「気が強いから下手に刺激しない方がいい。特に無闇に引っ張ると……」


「(#`皿´)!!!!」



 ネロは引っ張られると首を上下左右に振り回して男を引っ張り回して翻弄する。男もイッパシの傭兵だろうに、すっかりネロに翻弄されている。


「お、おい!引っ張るな!おわわわっ!?」


「(`△´)フン!」

「ネーロ。止めなさい」

「(ー_ー;)」

「すいません。ほら、な?(もういいよ……クラウド、準備バッチリ?)」


《バッチリですマスター。全て設置完了です》




 ネロは一先ず落ち着きを取り戻した。とは言え、ネロは決して取り乱した訳ではない……何て言うの……


 実は先ほどの城で色々と…『新たな力』的なものをダウンロードしてまして……ネロが暴れたのは私が不振な動きをしても悟られないためにしてくれたことなのです。偉いよねネロ。



『どんどん容赦しなくなってきたな』


(容赦しなくなってきたなって、それ位しないとこっちが死ぬって……)



 犬死になんてゴメンだ。そんな死にかたは例え仮初めの人生でもしませんよ。



 説明すると、新たな力――生中継(ライブ)――という指定した場所をクラウドさんがいつでも監視出来るという一歩間違えればストーカーなスキルをこの度使えるようになりました。ついでだから城にも逃走途中に色々仕掛けてきました♪



 外道?容赦ない?………生きるためには鬼になりますよ。





『すまん』


(まぁ、覚悟はしてるから)

《設定が面倒なのでギルド支部そのものをライブします。これにより支部全体を随時監視出来るようになりました。……マスター…》

(ん?)



 クラウドは報告を終えると何か言いたくないような、そんな感じでもうひとつ報告があると告げた。



 どうやら城では大規模なクーデターが起きて王は投獄……大多数の貴族が爵位を失った。勿論皆さん生きてるみたいだけど……。

 国民達は感付いていたのか大して混乱もせず、いつも通りにしている。


 私が城を出て直ぐの出来事らしい……まだ半日も経ってないよ?城を出てから。



 そうそう、どうやって監視するのかって言うとね……。


 私のチート能力『知ってれば再現可能』な術で他には見えない小さな端末(発信器みたいなマイクロサイズの物)を仕掛けてるのです。ホントに何でもありなのね。



 因みに我が家の周りは私の髪の毛を媒介にして随時監視されてます。しかしここには髪の毛を置いておくことはできないので……この手を使いました。



 ま、提案したのはクラウドなんだけどね。私、クラウドがいないとなにもできないよね。無能か私は……。あ、否定できない。



 きっとクラウドも白神も居なければ私なんてそこらのモブと変わらないんだよ……その方がどれだけ生きやすかっただろう。生き物じゃなくてアンドロイド(無機物?)だけどね。





「………いや、なんというか……想像してたのよりも…細いな」

「ボス…それは言っちゃダメでしょ」



 ――えーっと……細いは認めよう。均等はとれてるけど男のわりにゴツくないし。傭兵の男達と比べたら細いわな、そりゃ。下手したら女性の傭兵よりも細いかも。ロボだし、今さら鍛えても変わらないしなぁ……それに私ゴツいの嫌いだし。細マッチョならいいけど……。


 ま、だから男性らしさがちょっと足りない見かけのジンを好きになった訳で……うん。恥ずかしいね。




「おお、すまんな……。ワシは見ての通りここのギルドの支部長…とでも言うところか。」

「――とでも、ではなく、立派な正真正銘の支部長です。私はしがない秘書です。よろしく



 私を細いと言った如何にも某狩猟ゲームのギルドの酒場に居そうな小さいお爺ちゃんがこのギルドの支部長らしいです。その隣の眼鏡をかけたTHE真面目に見える(中身は腹黒かヘタレか苦労人かも)秘書。失礼だけど二人とも私よりも細いし身長も小さいでしょ…。



「すまんなぁ…表で何やら騒いでたようだが……遣いにやった者がやらかしたようで」

「やはり彼には役不足でしたね」

「深刻な人手不足でなぁ……このところモンスターの出現が多くてかなわん……。伝令でその原因は知らされたが……よもやこんなことになっとっ他とわ……あの小僧を魔国に行くのを阻止できなかったせいでもあるしなぁ」



 支部長は勝手に事情を話始め、如何に深刻な状況か、如何に自分達は止められなかったかをくどくどと語っている。秘書は秘書で苦笑いで済まなそうに此方を見ていた。見てるなら止めろよな。アンタの所の支部長だろうがよ。



「こっちが自己紹介しても?」


「支部長。もう宜しいでしょう?」

「~~……まぁ、いいじゃろう…」


「お言葉に甘えて……自称正義の為と勇者をたてて魔王討伐の命を出した王とその自称勇者と愉快な仲間達の尻拭いに田舎の森の中から遠路はるばるこんな都会に出てきたお上りさんの、魔王の頭をご本人に届けるメッセンジャー…ニーアです。別に宜しくするつもりも、責めるつもりも無いので早めに船を出してくれるとありがたいです(笑)」



 礼儀?ゴメン家に置いてきたわ。




 ま、そんなわけで私の自己紹介に目が点になった支部長を半ば放置して秘書さんが船の手配を早々にしてくれた。アンタ苦労人だね。胃薬を1スタック渡すと涙を流して感謝された……ああ、エルフの胃薬って高価なのね……薬品は全てメイドイン・エルフしか今まで使ってなかったから知らなかったわ……私自身は使わなかったし……街で売ればよかった。



 原価はあってないようなものだし、物々交換で貰ったもんだし。





 えっと、ちょっと後悔しながら嬉しがる秘書さんに手を降られ、未だに立ち直ってない支部長を尻目に私はさっさとネロの待つ厩舎に向かい、そこでまた案内人をおちょくっているネロを回収して船着き場のある港に向かうのだった。



 丁度今から船が出航するらしかったので待つ手間が省けた。秘書さんの説明では船旅は二日は掛かるらしい……ネロ、船酔いしないかなぁ……大丈夫だよね?




 モンスターの部類に入るとタカを括っていた私の予想をネロはまさかのフラグ回収で裏切ってくれたのは言うまでもなかった。



「ネロさん、後二日我慢してね?」

『(T^T)フーー……』





 しかし、船旅と言うのは何かと事件が起きるわけで……。


 ネロの機嫌は降下していくのであった。













 実は船酔いしやすかったネロさん。二日は耐えてもらいます。合掌




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