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異世界No.1―アテナ―25

 マジでびびったわ!



「何者だ…今は謁見の最中……エスデカ…お前か」


「先日ぶりです……父上」



 はい、どうもこんにちわ。謁見の間に居る殆どの人の顔が勇者(笑)と似た顔でした。それに父上って……親子かよ。驚いたのと王道でリアクション出来なかった紅蓮(コウレン)改めニーアです。


 前世女(三十路間近でした)の今男のちょっと訳ありな転生者でした。今は異世界を旅してます。



 混乱して説明をしてしまった。




「丁度いい……エスデカ、お前は証人だ。今一度お前に聞きたい。魔王の首を持ち帰ったのだな?そして王に渡し、返却を促す魔王側の要求を無視し、代わりを取ってこいと……そう、王に言い渡された……真か?」


「……はい」


「何故一言私に言わなかった?」


「………っ」




 親子のいざこざに巻き込まれたなこれは。



 勇者(笑)ことエスデカ氏はやっぱり貴族でした。その証拠に父親が公爵様です。顔がよく似た周りの貴族達を取り締まってでもいるのだろうか?それとも子分的な立ち位置ですか? 取り巻きと言うのでしょうか?



 あ、でも勇者(笑)のハーレム要員達よりは……というかずっとマトモな人達の様ですね。此方を訝しげに見てはいるものの、口出しはしてこない辺り……ねえ? 騒がないだけ良識があるんじゃない?




「その顔は真か……ん?そちらの方は……」


「………」



 喋るなと言われているため会釈だけにしておく。本当は膝を付くなり、平伏すなりするべきなんだろうけど、あの王にするのは何だか嫌だった。子供っぽい言い分だけど……ホントにこの王にひれ伏したくなかった。



 それにこの公爵様勝手に話進めてるし、王は蚊帳の外……にしては抗議せずに静かなのが気になる…?




「あっ…えっと、此方は…」



 何を言われるか分からないので勇者(笑)

紹介を遮ることにした。それにウジウジしてて話が進まなそうだし……無礼? 私ロボデスカラ不敬罪とか法的に関係ありませんしおすし?



「先の話に出てきた不運にも魔王の頭の代わりに首を飛ばされそうに(ホントは飛んだよ)なったニーアと言う者です。今後とも(関わりたくないんで親子共々)ドウゾヨシナニ……」




 愛想笑いもつけとくよ。それと、腰のホルスターに入ってる銃に弾が装填されてるのか確かめる。手を掛けはしない。攻撃されるかもしれないし……横に居る勇者(笑)の兄(推定)に切られかけない。


 斬られても何ともないけどねロボだし。斬れないで服だけ切れる……勿体ないよね。服が。




《城に放置された端末の分析結果です。》


(あ、終わったの?)


《はい。割りと防壁は脆かったので……。分析の結果、新なスキルのダウンロード可能です》



 おや、新たなスキルゲット?



 スキルのダウンロードはクラウドにすべて任せて私は目の前の親子喧嘩を見守ることにした。




 公爵と勇者(笑)は仲が悪いとかの次元ではなく、考えの違いからして合わないみたいだ。兄(推定)の騎士は我関せずを続けている……家庭環境は冷めきっているのだろうか? まぁ、他人の事情なんてどうでもいいけどね。




「他人を巻き込んだのか……」




 威圧感をだして勇者(笑)を睨む公爵様。


 怒るのも無理ないと私は思うよ。国に不利になるような事を仕出かすなら直の事怒るだろう。



 けどね……




「お前は……いつもそうだ。考えなしの――」


「父上、ここは謁見の間ですよ。躾は他所でお願い致します」


「……うむ…」




 騎士の兄(推定)がみっともないと止めるまでまるで汚物でも見るような目で見ていた公爵様を見て、少し考えを改めた。




 勇者(笑)―――いや、エスデカは前世も今も親に恵まれなかったのだと。




 親は子供の鏡だ。親の背中を見て人になる。見せるだけでなく善悪も教えなければならない。もしも何れか一つでも手を抜けば……子供の人生は悪くなるかもしれないのだ。子供の性格もあるが、皆生まれながらに悪いわけではない……そう、このエスデカも親に教わる人として大切な事を教えてもらってないのかもしれない。



 メリルの話では自分の良いようにエスデカをメリル家族に押し付けていた。そしてこの公爵様も頭ごなしにいつも叱りつけていたのではないか?




『まぁ、その通り……なんだが……』




 そうなのか? なら、どうせあの公爵様は他人に子供の世話をさせて自分はあまり関わらない……なんて子育てしてたのかい?



『ああ、どうしてわかった?』


(そこまで王道かい)




 うわぁ……いくら貴族で仕事とかしきたりとかもろもろあるにしても、子供の世話を他人に任せて、育ったら育ったでケチ付けるとは。確かに間違いを正すのは間違ったちゃいないが……あそこまで高圧的に悪意も入れると子供はグレるよ。



 その点エスデカは素直だけど……あ、そうか、メリルと同じで転生者だから精神年齢は上なんだよね…見た目よりは。



『で、どうする? 目眩ましならいつでもいいぞ』

(アイツらの動向が分からない……王は正気を保ってるかも怪しいし……生きてるよね?)

『生きてはいるが……』



 正気かは怪しいな……そう白神の声を王が鎮座する玉座を見ながら考える。


 いや、考えなくても白神に聞けばいいじゃん。



 で?



(どうなのさ?)

『端的に言えば生きているようだな。あの王の右に立っている人物が見えるな?』

(あぁ、あの如何にも魔法使いな杖に黒いマントの格好の顔色悪い奴ね)

『あぁ。奴に操られている……王道で面白味も無いがな』



 うん。薄々気がついてました。うん。





(で、見るからに怪しい魔法使いから王を離すの?放置なの?)

『別段放置でも良いだろう。この場に居る公爵だが……あれで正義感は人並みにはある。自国の事は自分達で出来るだろう……子供でもあるまい』

(……ちょっと白神にしては辛辣だね……何かあった?)




 少しの間の後、ため息が聴こえてきたので多分また問題児が問題を起こして白神が尻拭いをさせられたのだろう……不憫だ。



(えっと、じゃあぁ……王は放置で魔王の頭だけ奪還。直ぐに脱出でいいよね?)

『あぁ。そうしてくれ』





 その後疲れた声で『作戦を開始するなら呼んでくれ』と言って脳内通信を切った……ホントにお疲れ様です。




 未だにエスデカ親子は言い争い(父親の一方的、兄(推定)が止めるの繰返し)を続けていた三人は私には全く気が向いていない。公爵の取り巻き達も公爵の只ならぬ剣幕にワタワタしているようだ……おいおい、それくらいの修羅場でオタオタするなよ貴族だろ。



 修羅場くらい顔色ひとつ変えずに乗り切れよ。





(面倒だなぁ……クラウド、ダウンロード終わった?)

《後、10%で終わります……データ量が多いので時間が掛かってしまいました。》

(データ量が多い………頭痛くならない?)



 キャパ超えて容量不足にならないか心配だ。自慢じゃないが私は頭良くないし……大丈夫か?




《心配御座いません。マスターの容量はこれしきの事ではパンクしません》

(……マジで?)



 そんなに……あ、そうか。この“身体”が特別なのか。特に頭の辺りが凄いのね作りだけは。



 良かったなこの世界の人間たち。私みたいなマトモに使いこなせず、もて余してヤバイ考え「世界をどうこうする」とか考えずに食べ物の事ばかりに活用しようとしてるんだもの。藍苺(嫁さん)のいないこの世界で私の関心は食べ物と如何にしてさっさともとの世界に帰れるか……その事だけしか頭にないのよ。



 ま、今みたいに私の帰還に影響する事態なら―――――――――




――――力を使うことに躊躇なんかないよ――――













 ちょっと黒い考えが最後の方に見えましたね。



 彼(?)は帰る為なら手段を選ばないでしょう。でも、浮気になることだけは死んでもしないです。


 しないのではなく、出来るほどの器用さが無いだけですが。




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