異世界No.1―アテナ―23
やっと正常に戻ったので編集を再開できました。やっぱりスマホでケータイ版の編集をするのは大変ですね。
どうも。アンドロイド(戦闘用)に憑依しております。紅蓮もとい、ニーアです。ただ今愛馬ネロに乗ってひたすら王都を目指して爆進中です。
嬉しくないおまけに勇者(笑)が後ろに乗っています。相乗りです。心底嬉しくありません。断固拒否したかったです。
(ま、放っとくと今度は何を仕出かすか分からないからね……不本意だけど仕方無し)
《少しの辛抱ですね》
『まぁ、元々こいつの尻拭いがお前の役目でもあったしな』
(そうだったの?)
そう言えば、元はこいつとこいつの後ろに居るであろう神様がこの世界の均衡と秩序をゲーム的にしてしまった所為だっけか? ちょっと記憶が怪しくなってきたな……歳か?
ま、まぁ…いいとして。
馬に乗り慣れているのか私の後ろにしっかり乗っている勇者(笑)は絶妙なバランス感覚で暴君ネロ様の豪快な走りに振り落とされずにいる。未だに落ちてはいない……ま、道のど真ん中でたむろってたモンスター(凶悪と名高いゴブリン三匹)を何の気なしに蹴散らしたネロさんには驚いていたけど。
私達が住んでいる森はそこいらのモンスターなんか目じゃないほどレベルが高い。前も言ったねこれ。普通じゃ住めないってことよ。ネロはネロで独りで散歩に出掛けてレベルアップしてるし……多分中ボスも涙目な強さだよ……うん。頭もいいし……敵無しかも。
そんなわけで今のところモンスターとの戦闘は無し。でもそろそろネロの喉が渇く頃……休憩しても巻き返しは充分だ。私たちは家から出て丁度3時間後、タフすぎるネロの休憩のために道からそれて川辺にて休憩をしようとしていた……
「ネロだって喉は渇くよな?」
「フンッ!( ̄^ ̄)」
「だよね~」
「こんな魔物じみた馬が? 急ぐのならこのまま……」
「お前に拒否権なんてはじめから無いからな」
「う゛っ」
「勘違いしてるようだから言っとくけどな、いくらタフでもこのまま走り続けたら(そんなわけ無いけど)バテる。生き物だからな。俺みたいな機械とは違う」
「あ、(そうだ、コイツは機械だった。始終コイツのペースで進んでたら……休憩無いよな)」
何だか知らんが納得したようでネロが勢いよく頭を突っ込んで水を飲んでいた川辺に近付き手を洗おうとしたが……何故か敵判定された様でネロに足蹴りされていた。チートでタフだから大丈夫だろう。その証拠に直ぐに立ち上がってネロに抗議している……お前が前に勝手に乗ろうとしたのをまだ覚えてんだよネロは。頭もいいし記憶力も良いのよ。
さて、休憩なのだからお菓子でも食べようとして腰に取り付けてあるポーチから出そうとするが、勇者(笑)の手前取り出せず(バレたくないため)仕方無くネロにくくりつけている荷物の中から肉(豚モンスター)の薫製を取り出してかじる。
薫製は美味しい。肉の薫製も良いけど鮭の薫製も好きだなぁ……今度鮭が獲れる川にでも行って作ろうかな? うまくできれば良いけど……
「独りだけ狡くないか?」
「あぁ、忘れてた」
「orz」
飲み物は基本考えていなかった。ロボだし。飲む気はしないけど、最悪泥水でもお腹壊さないし。コイツだってチートだからとちょっと高を括っていた……さかこコイツが川の水も飲めない程お坊っちゃんだったとは……そうだな、お前はどこぞのお貴族様だもんな……多分そうなんだろ?
どうやったら川の水を飲めるようになるのか知らずによくもまぁ…魔王討伐の旅に出したものだな……所詮考えたのは王侯貴族と言うことか……下々の…いや、自分でどうやったらこうなるとか、この時はこうするとか常識を知らないのね。
誰か一人でも常識人が居ないと直ぐに壊滅するパーティーだったのねアンタらは。ご愁傷さま……いや、生きてたのならどうにかなったのか。
どうでも良いけどね。そんなことは……
さて。チートで転生者なのに川の水を煮沸して飲むなんて知らなかった勇者(笑)の為に要らない手間をとることになった。
一応ヤカン(鉄製のポット)に見た目は清んだ川の水を汲む。病原菌とか怖いからね。普通は……特に衛生環境が整っている所で育った(例えば一般的な日本人)人は絶対に飲まないこと。お腹下しても仕方ないかなね。流れている水は綺麗だとかよく言うけど、上流で何があるのか分からないからね……言いたくないけどさ。
多分メリルやラルフは井戸水で育ったと思うから多少の耐性はついてると思う。大腸菌は怖いよ。国外を旅行するときは水には気を付けてね。日本よりきちんとして無い所とかあったりするから……特に水道水とか井戸水は飲まないこと。エライ目にあうよ。
「(鼻をひくひく……)何の匂いだい?」
「毒薬」
「!!!(こ、殺される!?)」
「――っと言うのは嘘で…」
「ハァ~(よ、よかった…)」
「まぁ、調合を間違えると猛毒だけど」
「!!!(やっぱり俺殺されるかも(泣))」
私が取り出した瓶を不思議そうに見ていた勇者(笑)は瓶から香ってくる匂いに疑問をいだいたのか質問してきた。正直に答えた私にまるで人殺しでも見るような目で見てきた+涙目。
おいおい、お前は私の首を容赦なく飛ばそうとしただろうに……どの面下げてその目で見るんだよ。
この瓶の中身は確かに猛毒だけど、加熱すると全くの無毒になって消毒までしてくれる優れものだぞ。恐ろしくて巷では「旅人の最終兵器」と呼ばれている。お金もなく宿に泊まれないときの野宿での飲み水確保、最悪の場面での武器に塗る毒に、自害用……等々。最後のは本当に最終手段だよね。どんな場面だ……やめた、想像したくない。
さて、沸かしてやったんだしさっさと飲めよと熱々のお湯を注いだ鉄製のコップを勇者(笑)に手渡す……勿論金属は熱伝導がとっても良い……熱々なコップはとっても無いので大変だろう。私? 私ロボですがなにか? 痛さも熱さも冷たさも感じなくすることも容易い。元は無機物ですから。
「熱々っ!!」
「煮沸消毒して、おまけに消毒薬まで使ったんだ。さっさと飲んで出発するぞ。ネロ様がお待ちかねだ」
「(熱々なお湯を一気に飲めと?殺しにかかってきてる!Σ(×_×;)!」
「まぁ、火傷しない程度に急げや。ネロ様が足踏みして今か今かと待ってはいるが…蹴られるのはお前だし、ゆっくり飲めよ?」
「・・・(;´Д`)」
我ながら酷いと思うけど、首を飛ばされそうになった(実際はパージして飛んだけど)のだからからかうのも……良くはないけど私の腹が収まらないのよ。それと、その顔やめい! そんな顔芸しても許されるのは嫁さんだけだ。他は許さない。私が許さなくてもやるだろうけどさ。その代わり怒りのボルテージは上がっていくからね。
さて、熱々のお湯を戦々恐々と飲んでいるのは何も熱いだけではないだろう。消毒に使った薬液が本当に無害か疑っているのかもしれない。てか、疑ってなかったら、それはそれで危ないと思うぞ。よくそれで魔王討伐の旅に出れたな……あぁ、従者か誰かを連れていったのかもね。それならさぞかしその従者殿は胃にストレスが掛かっただろうね。慢性化してないことを祈ろう。
飲みはじめて少し経ち、お湯も多少温くなったのか勇者(笑)は一気に飲んだ。そしてまたネロに乗り王都を目指すのだった。
《マスター。この先後三時間程で王都に着く予定です。前方に敵影なし。》
どうやら予定よりも早く王都に着きそうだ。
ニーアさんが川水を浄化するために入れた薬液は煮沸すれば全くの無害になる設定です。
あえて言いませんでしたニーアさん。相当頭にきているみたいですね。
ま、首を飛ばされそうになれば……そうなりますよね。




