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『ダンジョン配信のトップ層、まともな奴が一人もいない件』 〜規格外のソロ配信者5人が集まったら、同接1億の伝説パーティになりました〜    作者: うちの猫
序章

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新・第4話『支えようとした少女を、この身体は傷つけた』 ――優しさを拒絶する絶対筋肉障壁――


 ──バチィィィンッ!!!


 桃色の魔力が、モストの背中へ触れた瞬間だった。


 温かな光は一瞬で鋭い閃光へと変わり、そのまま術者であるリリィへ向かって弾き返される。


「きゃあああああっ!!」


 華奢な身体が宙を舞った。

 何度も石畳を転がり、杖が乾いた音を立てて遠くへ滑っていく。


「リリィッ!!」


 アレンが血相を変えて駆け寄る。

リリィは胸を押さえ、苦しそうに呼吸を繰り返していた。


「な……なんで……」


 モストは呆然と自分の両手を見つめた。

 殴っていない。

 魔法も使っていない。

それなのに、自分を助けようとしてくれた仲間が傷ついた。


「違う……私は何も……!」


「何もじゃねぇだろ!!」


 アレンの怒声がボス部屋に響き渡る。


「今リリィは、お前を助けようとしたんだぞ!!」


「違うんだ! 私の身体が勝手に――」


「身体が勝手に仲間を吹き飛ばすかよ!!」


言い返せなかった。

自分でも何が起きたのか分からない。

すると、倒れたままのリリィが震える手で杖を持ち上げる。


「だ……大丈夫……。これくらい……」


涙をこらえながら、回復魔法を詠唱する。

淡い緑色の光がモストへ伸びた。

その瞬間。


 ──パァンッ!!


 またしても魔力は弾け飛び、光は跡形もなく霧散した。


「えっ……」


 リリィが固まる。


回復魔法まで届かない。

助けたいという想いすら拒絶されてしまう。

アレンも後衛たちも言葉を失った。


「……お前。」


 アレンがゆっくりと後ずさる。


「支援も回復も受けられないのか……。」


 その一歩が、モストの胸を深く抉った。


「怖い……。」


 誰かが小さく呟く。


「こんなの、一緒に戦えない……。」


その言葉に誰も反論できなかった。

モスト自身でさえも、分からなかったが仲間を守るはずの身体が、仲間を傷つけた。


「…………。」


 モストは静かに前へ出る。


「ここは私が抑える。」


「モスト……?」


「リリィを頼む。」


振り返らない。

振り返る資格がないと思った。


「早く行け。」


魔物たちが再び牙を剥く。

モストは一人、群れの中へ歩いていく。

誰の支援も、誰の回復もなく。

ただ一人巨大な拳を握り締めた。


◇


 三日後。


 ギルド併設病院。


白い壁が続く静かな廊下で、モストは病室の前に立ち尽くしていた。

大きな手には花束とリリィが好きだった焼き菓子。

世界最強の魔物を前にしても恐れない男が。

たった一枚の扉を開ける勇気だけは出せなかった。


「……。」


何度も深呼吸を繰り返し震える拳を握り締める。

ようやく覚悟を決め、静かに扉を叩いた。


「……リリィ。」


「……モスト?」


 ベッドの上で身体を起こしたリリィは、少し驚いたように目を丸くする。


 その姿を見た瞬間モストは深く頭を下げた。


「……本当に、すまなかった。」


 長い沈黙が流れる。


 モストは顔を上げられない。


「私のせいで……君を傷つけた。」


「……。」


「私は仲間を守るために強くなったはずなのに……。」


「……。」


「助けようとしてくれた君まで、この身体は傷つけてしまった。」


 世界最強と呼ばれる男の声は、小さく震えていた。

リリィは花束をそっと受け取り、優しく微笑む。


「ありがとう。」


 その笑顔が、モストには余計につらかった。


「こんな私に、そんな顔を向けないでくれ……。」


リリィはゆっくりとベッドから手を伸ばす。

大きなモストの手に、そっと自分の手を重ねた。

その温もりに、モストの肩が小さく震える。

リリィは泣きそうな笑顔のまま、小さく呟いた。


「……モストだって、つらいくせに。」

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― 新着の感想 ―
まさかモストは支援も回復も受けつけないとは……。 モストが自分を責める流れも自然です……。そして、それをちゃんと許してくれるリリィが素敵です(´艸`*)
読みに来させていただきました! 感想書かせていただきます。 ダンジョン生配信という派手な題材の中で、剛力モストの圧倒的な筋肉ギャグと、その裏に隠された孤独の落差がとても印象的でした。蜘蛛の牙を折り、矢…
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