表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ダンジョン配信のトップ層、まともな奴が一人もいない件』 〜規格外のソロ配信者5人が集まったら、同接1億の伝説パーティになりました〜    作者: うちの猫
序章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/67

プロローグ  『【同接1億】世界最強ソロ配信者、集結。』

 ──『警告。視聴者の皆様、これより先はショッキングな映像が含まれます。』 


画面の隅で点滅する、無機質なシステム警告。 その下を流れるのは、数百万人の大衆が放つ下卑たコメントの弾幕だ。


 現代、人類最高の娯楽。

 それは、命がけの『ダンジョン生配信』。 


元々は探索者の安全と防犯のために導入されたドローンカメラだったが、いつしか地上の大衆は、命がけのデスゲームを安全な特等席から消費する「狂気的な巨大スタジオ」へと、この世界を作り変えていた。


 命の重さすら、画面の数字とスパチャの弾幕に変換される歪んだ世界。

 その頂点トップランカーに君臨するのは、個性が尖りすぎて誰ともパーティを組めない、圧倒的に“まともじゃない”ソロ配信者たちだった。


 電子音と共に、巨大な配信画面モニターが切り替わる。 

世界を熱狂させる、第1位の『声』が響き渡った。


 ◇


【1人目】(視聴者数世界1位) モスト


チャンネル名:『モストの重戦車パトロール配信』

 

薄いダンジョンの通路。重戦車のような圧倒的な後ろ姿が佇む画面の向こうで、黒光りする巨躯がいきなりのっそりと振り返った。


「ハローガイズ! 今日も筋肉の導くままに、ダンジョン探索を始めようでわないか!! はーはっはっはっ!!」 


――バシィィィンッ!!!


 彼が両腕を胸の前で深く交差させ、完璧な『モストマスキュラーポーズ』を決めた瞬間、漲るオーラの圧があまりにも強烈すぎて、随行ドローンのカメラレンズにピキッとリアルな亀裂が走る!



『キタアアアアア! 開幕レンズ割れたすかる笑』

『挨拶の圧でカメラ壊すのやめろ笑』

『画面が今日も黒光りしてて最高だぜ兄貴!!』

『ナイスバルク! 今日もプロテイン片手に見守るわ!!』

『スパチャ¥10,000:兄貴の健康を祈ってプロテイン代です!』



【2人目】(視聴者世界2位) 愛染(あいぜん) (れん)


チャンネル名:『れんたんのダンジョンお散歩配信⭐︎』 


流れるようなカットで、画面はピンクの魔力光エフェクトにジャックされる。

派手なピンクツインテールを揺らすバチバチの地雷系ギャルが、ドローンのカメラを両手でグッと掴んで超至近距離で見つめてくる。

 「おつかれん〜っ⭐︎ ねぇねぇ、今日もれんのこと一番に考えててくれた? れんね、みんなの『大好き』の声がないと死んじゃうんだからね?」 


脳が溶けるほどの超絶可愛いデレから、一瞬で瞳のハートマークを妖しく明滅させて真顔の病み(束縛)へと急転直下する、完璧なヤンデレギャルムーブ。

 その感情の昂ぶりだけで、周囲の空間をミシミシと何百倍の重力で圧潰していく世界2位の危険分子。



『おつかれん! 挨拶の温度差で風邪ひくわ笑』

『浮気したら爆破の脅迫キタアアアア!!』

『れんたん今日も激重で最高だよ!! 1秒も目なんかそらさない!』

『本当に重い人は自分が重いって気づかないのガチすぎて好き』

『スパチャ¥50,000:今日もれんたんことだけを妄想して待ってます!!』



【リレー3人目】(視聴者世界3位) 

白雪(しらゆき) 琴音(ことね)

チャンネル名:『白雪琴音の優雅なる探索記録』 続いて息つく暇もなく画面を奪ったのは、きらびやかで美しい白いドレスを身に纏った、絶世の聖女の美貌を持つお嬢様。


画面の中央で上品に微笑みながら、彼女はドレスの裾をそっと摘み、完璧な作法で一礼を披露する。


「ご機嫌よう、皆様。本日も優雅に破壊と再生の探索を始めましょう」 


次の瞬間、彼女はお上品な笑みを浮かべたまま、自らの拳を固く握りしめ、 


――「バキィッ!!!!!」


 と、ダンジョン全体に響き渡るような、凄まじい生々しい音を立てて自分の指の骨をセルフでへし折った。過剰バフのせいで軽くガッツポーズを取っただけで指が折れる。



『ギャアアアアアア骨折音エグすぎる笑』

『お上品に自分の骨を折るなバーサーカー笑』

『「破壊と再生」の破壊(自傷)から始まる配信スタイル狂ってて好き』

『お顔は世界一の聖女なのにやってることが人類最凶の脳筋なのよ』

『骨折った次の瞬間にはもう0.1秒の高速ヒールで再生してて草』

『出たな!血塗れの白雪!!』


【4人目】(視聴者世界4位)

 一ノ瀬 零 (いちのせ れい)

チャンネル名:『零の気だるげな暇つぶし』 


画面は切り替わり、薄暗いダンジョンの回廊へ。 

灰色のジャケットに身を包み、腕当てと脛当てをガチッと装着した無骨な軽装鎧スタイル。退屈そうに銀髪を揺らす絶世のイケメンが、2本のククリナイフを携え、腰に手を当てて心底ダルそうに突っ立っていた 。


彼はカメラドローンへ向けてどこか面倒くさそうな、少し粗暴なダウナー気味の視線を投げかける。 

首筋をガリガリとダルそうに掻きながら、ぶっきらぼうにカメラを睨みつける。


「……よぉ。お前ら、今日もそのうるせぇコメントで、俺のことゾクゾクさせろよ?」 


そのぶっきらぼうで、けれど抗えないほどにセクシーな低音が響いた瞬間、現地の防壁の向こうで見学していた女性冒険者たちがリアルに鼻血を出して倒れ、全体の8割を女性が占めるコメント欄は、ピンク色の悲鳴スパチャで一瞬にして埋め尽くされていく。



『零様、本日もその気だるげな佇まいが最高に麗しゅうございます……!』

『一ノ瀬様! 「お前ら」と切り捨ててくださるその冷たいお声、本当にゾクゾクして興奮が止まりません……っ!』

『画面越しなのに格好よすぎて本当に鼻血が出そうですわ……!』

『やってることは性欲バフですのに、戦い方がスタイリッシュの極みなのは反則だと思います』

『スパチャ¥50,000:一ノ瀬様! お願いですから今夜こそ、わたくしを抱いてくださいまし!!』

『零様のベッドの空き、まだありますでしょうか!? 今すぐそちらに向かいたいです!!』



【5人目】(視聴者世界5位)神代(たなか) (さち)


チャンネル名:『さっちゃんのダンジョン探険日記』 


最後にジャックされた画面。

学校の名前が書かれた青いジャージ姿。およそダンジョンには似つかわしくない格好をした少女が、画面の向こうでトコトコとお散歩を始めた。


「フンフフ〜ン♪今日も探険日記はっじめっるよ〜♪」 


彼女は危険な場所にいる自覚が1ミリもない。ただのご近所感覚で鼻歌を歌いながら歩く。 


「500円玉落ちてる!ラッキー!!」


屈んだその時さっきまで幸が踏んでいた床が沈み罠が作動する。

目の前床から矢がとんでくるが500円玉を拾うためにしゃがんだ幸の頭上を飛んでいき、後ろから忍び寄っていたモンスターにあたり絶命する。



『さっちゃんのおダンジョン探険日記配信キタアアアア!!』

『ジャージ姿で深層歩くのやめろ心臓に悪い笑』『あ、魔物が襲おうとした瞬間に当たって絶命した笑』

『罠の仕込み矢が「偶然」全部さっちゃんから外れてモンスターに当たるの神がかってて怖い』

『500円玉に救われる命、500円玉に奪われる命笑』

『今日も世界(因果律)が必死にさっちゃんを強制介護してて草。癒やされるわ』



――モストの筋肉、れんの愛、白雪の破壊と再生、零の掌握、さっちゃんの幸運。


5人それぞれの尖りすぎた『様式美』の挨拶が、読者の脳を揺さぶるような圧倒的な疾走感のリレーで炸裂し、コメント欄は世界中の人々の熱狂的な弾幕で大爆発を起こす。


交わるはずのなかった4つのチャンネル(大画面)。それぞれの孤独を抱えた4人の天才ソロ配信者達が、この後――。


世界1位の男『モスト』という絶対的な主人公ヒーローの背中に救われ、彼を精神的支柱として世界最強のパーティへと成り上がっていくことなど、画面の向こうの冷酷な観客リスナーたちは、まだ誰一人として知る由もなかった。


それぞれの歪んだ熱狂を乗せて、世紀の生放送が、今まさに地の底へと潜入していく――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
Xから来ました。 プロローグは上位ランカーたちの紹介からのスタートなんですね。 文章も読みやすくてとても良かったです。 ブックマークしたので、これから続きを読ませてもらいますね!
 Xの企画で来ました。トップ5の配信者さんみんな濃いですねw  挨拶のマッスルポーズだけでカメラを破壊しそうになるモストの兄貴に笑ってしまいました。  あとはジャージ姿で危険なダンジョンを歩き、幸運…
Xから伺いました。 命がけのデスゲームを安全な特等席から消費する大衆。 本文で触れられていますが、まさにそうだと思いました。 人気配信者はともかくとして、一般的な配信者は結構な死傷者いるよなと。 そ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ