2020年11月10日 もうだめ
2020年11月10日
衣玖「ふんふんふーん♪」
夕飯も済んでのんびりとする夜の時間、衣玖は一階廊下の隠し通路から鼻歌混じり出てきた。そこに居合わせた留音がおやおやと声をかける。
留音「なんか最近ごきげんだなー。楽しそうじゃん」
衣玖「まぁね、新しいことを考えるってやっぱり楽しいものだなって。刺激よ刺激」
衣玖はどうやらその3億のIQをもって、何やら刺激的な思考を楽しんでいるらしい。留音はその内容を特に気にするでもなく、ふーんとどこかへいってしまった。
それからリビングに出て、楽しそうに席につく。だらけきった体勢でテレビをつけっぱなしにしてスマホで遊んでいる西香と、別の席で携帯ゲーム機でどうぶつの村を開拓している真凛がいるのだが、衣玖は真凛の向かいに座ると弾むように「ふぅ」と息をつく。
真凛「あっ、衣玖さんお疲れ様です~、作業は順調ですかぁ?」
衣玖「うん。ハイパー順調に進んでるわ。しかし始めると楽しいものね、転売屋残虐滅殺計画」
ということで、衣玖は今特定一部の人間をピンポイントで攻撃する装置を絶賛開発中である。
真凛「今はどういう感じなんですかぁ?」
真凛はゲーム内でひたすらに木を斧で叩きつけて木材を回収している最中のようだ。衣玖に視線を向けるでもなく、普通の世間話でもするように対応している。
衣玖「ツイッター、各種ECサイト、ブログに売買に絡むサイトすべてで転売屋の洗い出しは終わったわ。ここから程度に合わせて滅殺方法を設定しているところ。PS5に絡んだ人間は特に重くしてるんだけど……」
真凛「どうしたんですかぁ?」
衣玖「うーん。やっぱりほら、ただ死刑にするだけじゃ勿体ないでしょ。だから、まずは思考感度を強制的に引き上げて、その上で数々の苦しみを与えようと思ってるんだけど、その内容に苦戦してるのよね」
今最も敵視しているのはPS5複数確保組の転売屋である。それに対しての設定項目は、行き着くところは死刑であるものの、その過程をもっと濃密に描きたいらしい。
真凛「うーん、そうですねぇ。とりあえず孤立させるのがいいですよね。頼る人がいない状況を作り出すというか……」
衣玖「あぁまぁそうなんだけど、割と他人との関わりがない人間が多いのよ、転売屋。転売屋のネットワークはあるんだけどね、それのおかげでかなり炙り出しは楽だったんだけど……もっと深いつながりを残酷に断ち切りたいっていうか」
真凛「そっかぁ……うーん」
衣玖「もちろん子供がいる転売屋とかもいるからね。とりあえず人そっくりのドロイドを創り出してもう誘拐は手配してる。でもそんなんじゃ生ぬるいし」
真凛「新しい愛情を与えて、それを徹底的に壊すというのはどうですか? 衣玖さんはドロイドが作れるんですから、その転売屋の嗜好にあったドロイドをデザインして、メロメロにさせてー、それをもう、転売したせいで失った、みたいな」
衣玖「なるほど……PS5の発売まであと2日か……ドロイドの量産はギリ行けるわね……でもメロメロまでのシナリオが少し難しそうね。でも確かに、今あるものも新しいものもすべて失うように仕向けるのは良い考えだわ……」
こうして衣玖は連日のように真凛に相談して転売屋残虐滅殺方法を練っているらしい。
真凛「しかし丸くなりましたねぇ。世界を13回炙って、人が死なない程度に苦しませた上で魔王を君臨させて『この世はPS5転売屋のせいで滅ぶことになった。嫌なら転売屋をなぶり殺しにしろ』と世界を週末の混沌に落とすはずだったのに、わざわざ面倒なピンポイント攻撃に切り替えるなんて」
衣玖「まっ、色々あったのよ……ネット見てても買えなくて悩んでいる人すごく多いし、みんな転売屋は滅びろって言ってるし、唯一死刑が許される犯罪ってタレントも言ってたしね。そういう理解ある人達まで一緒くたに苦しませるのはって、冷静になって考えたのよ」
真凛「偉いなー。わたしだったらもう、えい!って。一瞬で終わらせちゃうのにー」
衣玖「まぁその分濃密に転売屋を苦しむことに決めたから、いいの。……さて、今日も徹夜で計画を進めないとっ」
真凛「偉いなー」
西香「なんてキンモい会話してんですの」
というわけで11月12日、PS5発売。これまでの抽選にすべて落選した衣玖にはもう「発売日に手にする」希望はなく、今はただ転売屋を如何にして世界から駆逐し抹消するか、それだけを希望にして毎日楽しく生きている。
ほぼ1ヶ月、なろうを開いていませんでした。
でも音声ドラマ計画進行中なのと、RPGツクールで五人少女が展開できないかなと思って買ってみました。現在勉強中でございます。(まだチュートリアル終わってない)
なので忘れないで覚えててくださいね……。




