2020年11月11日 ポッキーの日
2020年11月11日
五人少女宅。大きな音を立てて玄関のドアが開かれると、リビングに飛び込んできたアンジーは大きな声で言った。
アンジー「みんな!! 逃げてーー!」
その真剣な様子に目を丸くする五人少女たち。どうやら入ってきたのはアンジーのみで、いつものように聖美とイリスが一緒ではないらしい。
留音「……あっ? なんだぁ?」
西香「騒がしいですわね」
真凛「アンジーさん、どうしたんですかぁ?」
衣玖「ボソボソ(ナノマシンを注入して転売で儲けを出す度に苦痛を与えて脳を削り取り……)」
アンジー「大変なんだ!! でも説明をしてる暇はないから……とにかく、今すぐみんなでここから離れよう!! さぁ早く!!」
留音「なんか一大事みたいだな……」
西香「アンジーさんがこんな風になるのもなかなか珍しいですわね。わたくしちょっと危機感」
真凛「とりあえずついていこーっと☆」
衣玖「ボソボソ(……この際、お隣のスコア制を導入して、転売をしたら大幅にスコアを下げるように社会構造を作り、PS5が人々の手に確実に行き渡るように支配するという手も……)」
こうしてアンジーは五人を家から連れ出し、意図的に聖美らの家から逆方向に走り始めた。
留音はボソボソ言っている衣玖をお姫様で連れ出し、いつの間にか留音の体にソリをくくりつけ、それに乗った西香を引っ張りながら走っている。
留音「しかしアンジー、一体どうしたんだ? 急に尋ねてきたと思ったら」
息を一つも切らさない留音が尋ねると、アンジーも一定のリズムの呼吸で走りながら、回想と共にワケを説明しはじめた。
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聖美「ふふふふ~。2人とも、今日は買い物付き合ってくれてありがとう」
イリス「どうしたの突然。カレンダーみたと思ったらお菓子がほしいだなんて」
聖美「うーん? ちょっと思い出したの、今日はポッキーゲ、じゃなくてポッキーの日だって」
アンジー「……まさか……聖美ちゃん?」
イリス「あの細長いお菓子ね。そうか、記念日だから食べようと思ったのね。最近あいつらも完全にサボってるし、そろそろあたし達がちゃんと日めくりを始めようってことね」
聖美「え? あ、うんえっと……」
アンジー「ポッキーゲーム……しようとしてない……?」
聖美「……^^」
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アンジー「と、そんな事があって……ボクはみんなにその危機を伝えに来たんだ」
留音「それは……まぁ、あたしも嫌だけど……でもそんなことかよー……アンジーが形相変えて飛び込んでくるからびっくりしたぞ……そんなの、ちょっと食べて離しちゃえばいいだけじゃん……」
真凛「ポッキーゲームってなんだろぉ」
西香「不純異性交遊などで使われる下劣な行為でしょう、多分」
アンジー「わかってないよ……聖美ちゃんはきっと口は離さないし、なんだったらポッキー丸呑みでみんなの唇を……だめなんだ……事を起こしたら……この作品が全年齢向けじゃなくなってしまうから……」
留音「それはちょっと怖いな……」
衣玖「ボソボソ(そうよ、この国には支配がいる……番号で管理し、PS5は一家に一台、そして金銭についてもスコアによって決められた額が毎月支給されるのみにして、ネットを使ったお金の動きも徹底的に監視すれば転売など起こらない……くくくく)」
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一方その頃
聖美「ということでね、私は多分、ポッキーゲームをしたら確実に勝てると思うの。安心して、イリスちゃんやアンジーちゃんには手間を掛けないよ。私がすべて倒すから」
イリス「聖美……わかった。そのゲームの事は全く知らないけど、とにかく聖美にすべて任せる。でもね、一人では戦わせないわよ」
五人少女宅へ向かう道すがら、イリスはこう提案した。
イリス「私もルールくらい覚えたい。ほら、私もポッキー買ってきたから、これでルールを教えてほしいの」
聖美「え゛っ」
イリスはそれから、呪文を唱えることで空間を変え、2人だけの超常空間へと移動した。時間の流れが別の空間のようだ。ここならひと目もなくたっぷり練習出来るらしい。
イリス「こうして……咥えて、どうしたらいいの?」
イリスはポッキーを浅く咥えながら尋ねた。
聖美「お、お互いに端から食べていって……く、唇がついたら……負け……」
イリス「なるほど、チキンレースというやつね。こんな簡単なルールで度胸を比べることが出来る、というわけね……よしわかった、あたしは留音を倒すわ。聖美、練習よ」
聖美「えぇ゛っ……」
イリス「ほら、アンジーがあいつらを引き止めてる間に練習して行くわよ。そっち咥えて」
聖美「は、はむ……(パク)」
イリス「ほら、スタートっ、(パクパク)」
聖美「はむ……はむ……」
イリス「どうしたの? 聖美、顔が真っ赤だけど……」
聖美「だ、だってぇっ……衣玖ちゃんや留音ちゃんとかなら……ガンガン行けるけど……」
イリス「るっ……るっ?!」
聖美「(い、イリスちゃんにはキスできないっ!)」
そこから一つのポッキーが半分ほど食べられるまでに長い時間を要し、2人とも顔を真赤にして中断することにした。
こうしてポッキーゲーム計画は頓挫したという。




