2020年4月15日 よいこの日
2020年4月15日
さぁ、今日のよいこちゃんコーナーは、どんなよいこが登場するかな~!?
ここはとある民家の一角。ほらほら、見えてきましたよ~っ、可愛い女の子ですっ!
この子のお名前は衣玖ちゃん、5歳。今日はよいこになれるかな? さぁ衣玖ちゃん、今は何をしているんでしょう。
衣玖「よいちょ、おいちょ」
おやおやー? ハサミを使って紙を切って……一体何をしているんだろう? 切った紙は黄色のお星さま。それにノリを付けて、ぺたぺたぺたと、何かの機械に張っているね?
衣玖「でちたー!」
ううーん? 一体何が出来たのかなぁ?
衣玖「やったーっ。これで廃棄品量子化と再構築による食料再生成装置が完成したぁ」
うっわー! すごいよ衣玖ちゃん! 御年5歳にして世界中の食糧危機を救う百、いや千世紀に一つの大発明をしちゃった!!
衣玖「これを量産して各国に配ったら、きっとみんな幸せに暮らせるんだー」
わぁ、とってもよいこ! でももうみんなは知ってるよね! 食に困らなくなった人間は、今度は土地を求めて争いを始めるということを! だからこの機械の登場によって人間が最終戦争に突入していっちゃうって! だから衣玖ちゃーん? あんまり便利な道具を出しちゃうとー……めっ。
でもそうはならなかったんだよね! そう、今日の二人目のよいこちゃん、ほらほら出てきたよ! 西香ちゃん5歳!
西香「あらーっ! わたくちにぴったりな機械!! この利権を抑えることでわたくちいっぱーいおかねを貰いましゅわー!」
本当は独り占めにして悪い子かもしれないけど、それは時と場合によるよね! 西香ちゃんがこうして人間にはまだ早すぎるオーバーテクノロジーを抑えてくれたことで、人間のほとんどはその機械の存在を知ること無く、だから戦争も回避されたんだー! すごいぞー西香ちゃん!
とはいえ人の世の中、秘密はいつかばれるもの。その機械の存在が各大国の諜報機関に伝わっちゃった! それに西香ちゃん、簡単に買収されちゃうんだよね。それもその機械と引き換えに国が貰えるなんて聞いたら……もう西香ちゃん? せっかく地球の守護者になれていたのに、めっ、だぞ。
でもそうなる前に止めてくれたのがー? はい、今日のよいこの三人目! 留音ちゃん3歳! こんなにちっちゃい子なのに、すごいことをしてくれたんだー!
留音「あははははははははははははははははは!」
うわっ! 留音ちゃん元気だね! すごーい走り回ってる!
留音「あははははははははははは!」
壁を破壊して、人型の抜け跡を残して走り回ってるねー。とっても元気な留音ちゃん! 大好きなあのお姉ちゃんに止められるまで、ずーっと走ってるんです。元気だねぇ。
でも、元気が有り余って、留音ちゃん転んじゃった! あぶなーい!
衣玖「アァッ!! 私の作った量子再構築食料生成マシンがーーー!!」
西香「アァッ!!! わたくしのお金のなる箱がーー!!」
留音「あははははははははははは!!!!はッ!!!」
壊しちゃったー! こらこら。ずっこけて怪我がなかったから良いけど、危ないことだし反省もしないで、めっ、よ留音ちゃん。
でもでも、よく考えたら……これで良かったのかもしれないね。少なくても誰かが強大な権利を手にして独裁を初めて、それで人類に最大の分岐を迫るよりは。
だから装置を破壊した留音ちゃん、結果的にとってもよいこ!
うーん、でもそうやって何があっても争い合う人間たちってどうなんだろう? もっとみんなで手を取り合って、ニコニコ暮せばいいよねー?
さぁ、やってきました、真凛お姉ちゃん! 13歳の女の子です。
真凛「うーんうーん。どうして戦争が起こったり、皆楽しく暮らせないんだろう、うーん」
真凛ちゃんは頭をチクタク時計みたいに動かしていーっぱい考えました。
真凛「あそっかー! そもそもそれが出来ない種類の生物なんだー!」
さぁっ! 真凛ちゃん何か思いついたぞ~? どうするのかなっ?
真凛「うんうん。このまま人類が進歩して宇宙へ進出しても、きっと他の先輩たちにも食って掛かるだろうし……地球は良い星だけど、汚してばっかりだし! 消しちゃえばいいんだー!^^」
わぁっ、真凛ちゃん、ひょひょいと腕を動かして、ぴょーんとジャンプしたよ。それから地面を足で一突き! うわわわ~! すっごい揺れだー!
そうだね! 確かに悪いことと言う概念は人の心にしか無いものだもんね! それを全て消してしまえるのはまさによいこ!
真凛「はいっ、どっかーん!」
――――
地球上から人は消えた。最早ここに良い、悪いという概念は消え、ただ動物的な本能だけが地上を闊歩している、極めて"自然"な光景が見られるようになった。
真凛「うんうん、よかったよかった」
もうこの星に、誰かの善意と悪意が入り乱れる混乱は起こらない。これはそもそもあってもなくても良いものだった。宇宙という大局から見れば本当に些細な物。
ただ観測されたときに、それは胸糞の悪い物であるという理由で淘汰されたのである。
しかし本当に悪いことばかりだったのだろうか。
真凛「あなたは……」
「確かに悪いことはいっぱいあるかもしれないけど……みんな間違えてばっかりだけど……」
真凛「……?」
「『それでも』って言う人を、私は応援してあげたいんだ」
真凛「それも結局、広い場所から見れば何の意味もないことかもしれませんよ?」
「うーん、じゃあ……」
真凛「うんん?」
「私が、大好きなみんなと一緒にいたいよ」
真凛「ふむー。なるほど!」
よいこ? わるいこ? ただ好きなだけ。




