2020年4月13日 決闘の日
2020年4月13日
決闘……そのワードから連想されるのは日めくり的に言えばやはり留音とイリスの物理対魔法の一騎打ちだろう。
しかし今日の記念日において、その戦いは見られそうにない。
何故なら今対決に望んでいるのは西香。ちなみに、ゲーム中である。ゲームは本格格闘ゲーム、というわけではなく、みんなでワイワイ遊べるパーティゲームだ。
西香「さてさてさて。さぁてさてさて。皆さんわたくしの鍛え抜いたマリオパーチーの腕をとくとご覧あれ、ですわ」
それぞれがキャラを決める。西香は緑の可愛い恐竜を選び、それぞれがキャラを選んだ。赤いつなぎの配管工は真凛。悪のっぽは留音、チビきのこは衣玖である。
このゲームはすごろく形式で、止まったマスによって発生するミニゲームの勝敗が自分のコイン取得数を左右し、同時にそのコインを一定数持った状態で購入出来る星をどれだけ多く集められるか、が勝敗を分けるのだ。
ゲーム開始。西香はサイコロを振り、一人だけ青いマスに止まる。止まったマスの色によってミニゲーム時にチーム分けが変わる。今回は西香が一人対、他の三人。
選ばれたゲームは一人側のプレイヤーが逃げ惑う三人側を叩き潰す、という内容だった。
西香「おーっほっほ! さぁさぁお逃げなさい!! まるでカトンボみたい! はいドーン! 留音さん残念でした! 運動はできてもわたくしには勝てませんわね! っと、真凛さんも油断しているとこうですわ! はいついでに衣玖さんもべしっとぉ!」
蹂躙する西香。コインは西香にのみ大量に配られ、その他のプレイヤーには0枚である。
その後ゲームが進み、真っ先にスターを取ったのは真凛だった。しかし、実は西香は道中で「横取りアイテム」を持っていたのだ。
西香「はい残念でした! それはわたくしのスターです!」
こうすることでコインを払わずに、なおかつせっかく星までたどり着いた他プレイヤーから星を横取り入手出来るのである。なかなかにいやらしいプレイングだ。
西香「ふっふーん。文句なんて聞きませんわよ。勝者こそ正義、悔しかったら取り戻してみなさいな」
続いて自分でもためていたコインを使って星を買うことで大差をつけていく西香。
何故か基本的にミニゲームで一人チームになることが多いのは単なる偶然だろうが、しかし逆にそれがよく作用した。
西香「ふっふーん! わたくし一人を倒すことも出来ないなんて、皆さん本当によわよわですわね!」
西香は相手チームを一網打尽にすれば普通より多くのコインが手に入るのだ。
その流れで進んでいくすごろくゲーム。衣玖のちびきのこだけは手強かったが、それでも西香が負けることはなかった。
西香「は~っ、皆さんよっわ~いっ! そんなんでゲーム好きなんて、はぁ~、わたくし呆れちゃいますわぁ~」
リザルトに入り、それまでのプレイングが評価される。西香は当然のように1位となり、評価ポイントによるボーナスの星も付与され、圧倒的大差を持って最終順位1位となった。
西香「はー楽しかった。わたくし1位でした」
留音「……お前さぁ」
西香「はい?」
留音「よく一人でパーティゲーム、そこまで盛り上がれるよなぁ」
衣玖「私達が後ろにいても構わずに私達とやってる風で遊べるメンタルが怖い」
実は最初は一人で遊んでいた西香。リビングに一人だったので仕方がない。ある程度盛り上がってきたところで衣玖や留音が現れ、西香の一人パーティゲーム(のパーティモード)を遊んでいるのを見物していたのである。
西香「わたくし、イマジナリフレンズとの遊びを通して習得しましたの、一人でもパーティゲームをしっかり楽しむ方法を。さて、空想上の皆さんには余裕で勝利しました。さぁさぁ! お次は本物です! みなさん! わたくしと勝負!」
衣玖「……遠慮しとく」
留音「お前のプレイまじで性格悪いんだもん。友達なくすよ絶対」
西香「大丈夫! いませんから! それにこの程度で離れていく人間などお友達などと呼べませんわ」
ちなみに、横取りはもちろん、弱いもの狙いから死に体のキャラを狙って再起不能にするなど、普通に「パーティのゲーム」で遊ぶなら避けるべきポイントをことごとく抑えたプレイであった。
西香「……仕方ありませんわね。来たるべき決闘のときに備え、わたくしはまた一人でこのパーティゲームを遊ぶことにしましょう」
こうしてまた着々と友達をなくす程の腕前に成長していく西香だった。せめて忖度するためにつける実力ならば良かったのだが。




