【音声ドラマあり】2020年4月10日 社長の日 日めくり商社会議
あとがきに音声ドラマがあります
2020年4月10日
都内某所、タワーズファイブの一室。ちょび髭をつけた衣玖が四角に組んだ机の上座に座っている。
衣玖「えー、それじゃあ日めくり定例会議始めます。起立、礼」
厳粛なる雰囲気の中、それぞれの席につく社員たち。
社長、衣玖。最も上座となる席の一つ下に座っている。その上座には超相談役であるあの子。
そして営業部長の西香、総務部長の真凛、平社員OLの留音。
更に下には最近派遣として登用されている三人、イリスと聖美とアンジーも席を連ねている。
衣玖「えー、では早速始めていきます」
下座に当たる席に座らせている留音は派遣社員のアンジーにコソコソと喋りかけた。
留音「(なぁ、なんの話か知ってる?)」
アンジー「(知らないけど……ちゃんと社長の話聞かないと怒られちゃうよ!)」
留音「(なんかうちの会社の経営やばいらしいよ。さっき部長二人が話してたんだけど)」
衣玖「んっん! えー、今日の会議はね、みんなもわかっているかもしれませんが……日めくりね。我社の『日めくり』。これの業績があまり上がっていません」
留音「(ほらな!)」
アンジー「(しー!)」
衣玖「総務の真凛さん、最近の推移について説明してもらえる?」
真凛「はい。総務の真凛です。えー……それではこちらのポイントの方を御覧ください」
ポイントが表示される。現在245ポイント。その横に今日の目標270ポイントと書かれている。
真凛「えー、わたしたちの『日めくり』は、知っての通りまずは一年間。この計画で走っていますね。それで当初の目標だった三億万ポイントを大幅に下方修正し、現在は1年着地、来る7月20日までに365、ないし366ポイントを最終目標としています」
衣玖「うん。1年物だからね。1日1契約はとるつもりでやってきてるけど、ちょっと厳しい」
真凛「はい。それに対して現在245ポイント。これは目標から大きく下回っている数値になっていますね。今日であれば本当は270ポイントほしかったところです」
留音「(うちの会社やばくね!w)」
イリス「(ちょっと留音、社長が見てるでしょ! 派遣は評価貰うんだから巻き込まないでよ!)」
衣玖「んっん。株主の方はどうなの?」
真凛「ええと……まれに売却がされていますね。でも大きく下がることはありません。大株主は特に援助が多く、我社はそこに支えられている部分が多いです」
衣玖「ん~……なるほどね。でももっと多くの人に株主になっていただきたいところね……せっかく新しい事業も始めようというところだし。それで、営業部門の西香、契約数はどうなってるの? 今は20契約も行ってないみたいだけど」
西香「はい。営業の方から報告させていただきますわ。そうですわね、売り込みはそれなりに順調と言ったところで、我社の先月オープンした新しい『記念美術館』によって、一日250話以上を一気読みしてくださる方が増えたことは事実ですわね」
留音「250話!? うっそ!」
衣玖「もうちょっと留音さん、静かにしてーさっきからー」
留音「あっ、すんませ」
西香「記念美術館のオープンから目に見えて増加してますわね、一気読み読者の方は。あるときには一気読みの方が1日に5人も訪れまして」
留音「5000アクセスいったの!?」
衣玖「1000アクセスでしょ。いったの?」
西香「行きましたわ。一日だけですけれどね。日めくり始まって以来の大賑わいとなりました」
衣玖「それで、その時に契約は? ちゃんと契約取れた? 株は流石に動いたでしょ?」
西香「それが……一気読みのある日に契約が取れたことがほとんどないんですの。株式の方も全然」
留音「やっば!www」
衣玖「ん~……なんででしょうね。一気読みするくらいだったらその次の話が更新されるのも待ってくれればいいのにね……契約には繋がらないのか……営業部の見解は?」
西香「それが見当もつかないのですよ。お客様評価は文章、ストーリー共にかなり良い評価を頂いていますから、契約に繋がってもいいとは思うのですが……お客様はなかなか契約となると渋ってしまうようでして」
衣玖「対抗戦略は何か取っているの?」
真凛「あ、それでしたらまずは人手を増やすために、そちらの派遣さんに来ていただいて、手は増えたんです」
イリス「毎日なのでなかなか大変ですけどね」
西香「あとは美少女感ですわね。中毒になってしまうような美少女感を表現するために『不眠の日』などもはじめていますわ。前回はアンジーさんに担当していただきました」
アンジー「はい。結構頑張ったんですけど……契約には繋がらなくて……」
衣玖「おかしいわね……美少女戦略は間違っていないと思うのに……」
西香「プラスで、音声ドラマという展開も作り始めましたが、今の所大した成果は上がっていませんわね」
留音「まだ1個じゃん、しかも内輪ネタじゃん。無理無理w」
衣玖「辛いわね。続きはどうなってるの?」
真凛「はい、新たなドラマは既に着手されていて、もう今日中には新しい物を提供出来るかと思います」
衣玖「そう……いいわね。でも予算の方は?」
西香「なかなかかかりますわね。元手のかからないストーリー業の方とは違ってドラマは演者さんにお支払いするギャラが発生しますから」
衣玖「前回のドラマで公開で反響は? 予算に見合った成果はあがったの?」
真凛「そうですね……一応契約は一つほど増えました。でも続きはもっと楽しんで貰える内容になるはずですので、今後じわじわと反響があるかもしれません」
衣玖「なるほどね。まぁ楽しんでもらうのが一番ね。わかった、予算は追々考えていくことにしましょう。とりあえず続けてみて。でも連動してストーリー業の方でも契約を取っていきたいところだけど……」
聖美「あの、もしかしたらなんですけど……あ、派遣社員なんですけど、意見しても……?」
衣玖「あーどうぞどうぞ、なんであれ意見は大歓迎です」
聖美「もしかすると、ほら、皆さんの日めくりって1日で基本的に完結してしまうじゃないですか。それが良くないのかも。だってほら、やっぱり続きが気になるという方が契約して定期購読しようという気になりますし……ただでさえコメディだと立ち読みで十分っていうか」
留音「あーわかる。あたしも立ち読み派だわ。一気に読んじゃうのに買わないんだよなぁ」
衣玖「なるほどね……立ち読み客……なるほどね~……鋭い意見だと思う。ありがとう」
真凛「そうなると……もっとロングに続く、という感じが必要になるんですかねぇ」
西香「でも気軽にパッと1日ずつ読めるというお手軽さはわたくしたちのアイデンティティでもありますから、難しいところですわね」
衣玖「今のトレンドは異世界ね……私達もここで取り入れていく……?」
イリス「あ、あたし、前の派遣先、異世界の職場でした」
衣玖「あぁホント! ちょっとどういう感じなのか教えてくれる?」
イリス「うーん、いやでも、多分日めくりとはコミットしないですし……」
こうして日めくり会議は小一時間続き、しかしまずは走りきろうという流れでとどまった。
しかし契約が取れることで五人少女たちは潤い、派遣社員の評価にもつながる。株が売れればそれだけ大きな会社として認知されるのだ。まだまだ彼女たちの上場は遠い。しかしとりあえず日めくり完走を頑張ろうと、彼女たちは今日もどこかで働いているのである。応援してあげよう。
なんせか弱く儚い、麗しの美少女たちなのだから。
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日めくり豆知識
今日は100の日という記念日が制定されている。1月1日からちょうど100日目の日だ。でも今年は閏年。今年に限れば101の日なのだが。
なんと明日から1日目と数えて行くと、日めくり開始の直前の日、7月20日でちょうと101日目を迎えるのだ。
少しこじつけが苦しいのだが、今日は前にも後ろにも101日なのである。すごい!
「社長、音声ドラマの新しいものが完成しました」
衣玖「よろしい。早速公開して」
と、いうわけで今回は前回とは一味違います。
音声ドラマの話をした活動報告はこちら
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1017894/blogkey/2539478/
以下はYoutubeのドラマへのリンクです
https://youtu.be/2_CEOko7SjI




