2020年4月7日 プリン体と戦う日
2020年4月7日
またも戦い。今日もミニーズたちに戦いを挑まれている五人少女たちである。
留音「くらえ! 鳩尾砕き!!」
留音の重みのあるハイキックが、対象に炸裂した。しかし……!
留音「うわああああー!」
衝撃を返されたのは留音である。
イリス「ふははは! どう!? あたしの新たなる下僕・プリンくんは!!」
プリンくん。見上げるほどに大きなその身体はぷよんぷよんと動く度に揺れ、スプーンで出来た眉毛と、プッチンするところみたいな目、そしてカラメルソースの垂れる甘いヘアスタイルで相対している。
真凛「おいしそぉ~っ」
留音「くっ……あまりにもぷっるんぷるんで、あたしの打撃が効かない……!」
そう。スーパーゼラチンぷるぷるボディを持つプリンくんはあまりにも柔らかく、全ての打撃を無効化するのだ。
イリス「どうよ……! 今日の記念日『プリン体と戦う日』から編み出した召喚魔法!! 留音、あんたに特効の召喚獣よ!」
アンジー「すごい! 今日はイリスちゃん、勝っちゃうかも……!」
衣玖「でもちょっと待って。イリスは勘違いしてる。今日はプリンな身体を持つ何かと戦う日ってわけじゃなくて、プリン体というのは痛風とかの原因にもな……」
イリス「あーあーあー」
イリスは両耳を手でパタパタしながら塞ぎ、衣玖の言葉を遮った。
イリス「だまりなさい、衣玖。いつもそう。いつもあんたの正論にあたしの魔法のやる気を削がれて負けてきた。だから今日はあんたの話聞かない。プリン体と戦う日はプリンの身体を持つ戦士が戦う日なの」
衣玖「そう……まぁいっか……」
留音「まぁいい、面白いじゃないか。あたしも拳法殺しの身体を持つ敵との戦いは初めてだ。存分にやらせてもらう!」
プリンくんの物理攻撃は柔らかくて甘い香りで、叩かれるとほんのり幸せな気持ちになる。
その後も一進一退、互角の戦いを見せるプリンくんに苦戦する留音、といってもお互いにダメージが全く無いだけである。衣玖はもう飽きていたのか一度家に戻っていたが、どこから「衣玖、出ます!」という声を響かせて飛び出してきたのだ。それもモビルスーツに乗って。
イリス「あれは! 巨大ガーディアン!?」
アンジー「あ! ガン○ム!!」
衣玖「そうよガンダムよ! 今日はガンダムの放送が始まった日だったから! 私もこれでルーを援護する!」
アンジーの伏せ字を無効化する衣玖。どうやらノリノリで巨大なプリンくんとの戦いに参戦するべく作ってきたらしい。本当はジオンのモビルスーツに乗りたかったが、一応番組名的に主人公機で参戦である。
ガションガションと疾駆させる白い巨体は背中からサーベルを抜き、その熱線を留めた剣でプリンくんを切り裂いた!
イリス「ふっ……」
余裕の表情を見せるイリス。それはそのはず。切られたプリンくんは真っ二つになったところで、再結合すれば元通り。切られた部分が焼きプリンになる程度である。
留音「くそっ! 香ばしい香りが辺りに漂う……なんて美味しそうなんだ……!」
アンジー「ちなみにイリスちゃん、プリンくんは食べられるの?」
イリス「もちろん。プリンは食べられてこそプリン。しっかり美味しいわよ」
真凛「ならばっ! ここはわたしも参戦します!!」
そこで、後ろで見ていた真凛が前に出る。手にはスプーンを持ち「とぉりゃー」とプリンくんの足元へと駆けていき、そのスプーンをその見に突き刺した。そして。
真凛「あーんむ! ぱくぱく! おいしい!」
プリンくんを食べ始めたのである。これによりプリンくんの総体積をどんどん減らしていく。
イリス「くっ、まさかプリンくんを食べて攻撃するなんて思いもよらなかった……!」
衣玖「そうか! 食べればよかったのね! 私は天才、糖分摂取は人生の命題……私も食べるわ!!」
衣玖もガンダムのコックピットを飛び降りてプリンくんを食べ始める。そこにさっきまで静かだった聖美が口を開いた。
聖美「待って!!!」
場は一時固まった。そして聖美は言う。
聖美「衣玖ちゃんが食べたら反則だよ。留音ちゃんと真凛ちゃんは戦ってもいいと思うし、ガンダ○はまだ記念日的にセーフだとしても、衣玖ちゃん自身が参戦するのはダメだと思う」
衣玖「な、なんで?」
一同、突然出来たルールに首を傾げている。聖美は高らかに言った。
聖美「だって衣玖ちゃんはプリン体じゃないもん。ちゃんとプリン体とプリン体が戦うべきでしょ? どうしても食べたいならプリン体の要素があるのかチェックしなきゃダメ。私は今日審査員だから、どうしてもって言うならチェックするよ。チェックしていい? チェックする?」
顔を見合わせるそれぞれのチーム。プリン体じゃないとは。痛風の可能性が無いか、とかそういうことだろうか。というか、いつの間に審査員の立場があったのかも誰一人ピンときていない。
衣玖「ちょっとよくわからないんだけど……チェックしてくれたら食べても良くなるの?」
聖美「うん。チェックする? チェックさせてもらっていい?」
聖美はそう言いながらもずんずんと衣玖の方へ迫っていく。アンジーは「聖美ちゃん……?」と小さく呟き、なんらかの恐怖感を覚えていた。イリスは勝負の公正さを遵守しようとする聖美が誇らしいのか黙って見守っている。
衣玖「ルー達はチェックしないでいいのに?」
聖美「うん。目に見えてプリンプリンだから。でも衣玖ちゃんはちゃんと触、チェックしてみないとわからないもん。じゃあちょっとあっちの影に行こっか。衣玖ちゃんがいいって言ったからね。これは衣玖ちゃんの意思だからね」
衣玖「……?? まぁ、わかったわ」
プリンくん美味しかったし、もっと食べたいし。衣玖は聖美に手を引かれ、暗がりへと連れて行かれるのだった。
アンジー「聖美ちゃん……?」
イリス「さすが聖美ね。本当は審査員の立場を利用して私達に有利な状態を作ってもいいのに。でもダメよね。正々堂々。あの真っ直ぐなところが聖美のいいところ」
留音「プリンって……」
真凛「なんだろぉ……?」
わからない。しかし鼻血を出した聖美の温情により出場可能となった衣玖はプリンを食べられて満足したので悪いことはあまりなかった。衣玖の心も特に傷ついていないので色々大丈夫である。
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1820年 ギリシャ領にて発行された新聞の切り抜き
先日、エーゲ海より発見された美しき女性像、通称ミロのヴィーナス像について、専門家による解析が進み新たな事実が浮かび上がった。
製作年は紀元前100年と推測され。制作場所はジパング。製作者は不明、高さは台座を含めて160センチほど。材質は大理石である。
このモデルについて、その慈悲深い表情と美しい身体から神話の女神、アフロディーテなのではないかとされてきた。しかし専門家が調べたところ、これは愛と美の化身であることには間違いないが、これのある部分に「SAIKA」という文字が掘られていたことが発覚したのである。
この寡黙な美しき女神「SAIKA」は街一番の美術館に保管、展示され、今後も管理され続けていくだろう。美しき女神の発見に世間は今日をヴィーナスの日として、このSAIKA像の記念日を制定する。
【ヴィーナスの日 4月8日】




