2020年4月6日 北極到達の日
2020年4月6日
西香「今日は、北極に、初めて、人が、到達した日。だそうですわ」
真凛「棒読みですねぇ~」
西香「興味なさすぎて読む力が衰えていました。なんですのこれ」
留音「そりゃあ文字通り北の果てに人が行ったって日だろ。すごいじゃん。全然ピンとこないけど」
衣玖「(懐かしいな……)」
留音「衣玖、どうすごいのか解説してくれよ」
衣玖「(人智と技術が正しく理解されなければ『極点への到達』は認められない。この北極の話は私の話にも等しい……)」
留音「……あれ? 衣玖? 固まっちゃってる」
西香「なになに……北極への、到達後、認められるまで、80年近く、かかった……まぁ大変ですわね。で、この話おしまい?」
衣玖「(あれはいつのことだったかしらね……)」
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そこはとある大きな学会にて、衣玖は数名の博士達を相手に話をしている。
博士A「しかし衣玖博士、それはあまりにも信じがたいですぞ。宇宙の果てはどこまで行っても宇宙。そもそも、膨張を続ける事がやっとわかった宇宙に果てなどあるものですか」
衣玖「いいえ、あったの。膨張よりも早く進める超重力圧縮加速装置でその向こう側を見てきたんだから」
博士B「確かにね、衣玖博士。あなたは天才の中の大天才だ。私達もそれは認めるところだよ。でも宇宙の向こう側に到達したなどという話は、あまりにも私達をバカにしているというものだろう」
博士C「うむ……なんせね。証拠となるものがまずこの写真と……」
博士Cは端末を操作し、プロジェクターから出力した画像を示す。そこにはアップルパイとスパゲティが描かれている。
博士D「そしてこの動画ファイル……」
博士Dは更に端末を操作し、その動画を再生した。そこには名状しがたい青と黒の波が空間を一定の速度で寄せて返すような映像の中に、太陽のような形の顔で、への字にひらいた口をしながら間抜けな顔で翼をパタパタさせて飛んでいると思われる謎の生物が収められている。
衣玖はその謎の生物に対して「ヌケサク鳥」と命名して提出している。
博士A「これはあまりにもバカバカしすぎるというものだよ、衣玖博士」
衣玖「でも……本当にいたのよ。宇宙の果てに到達した私は膨らみ続ける膜の向こうに出た……そうしたらこのヌケサク鳥が『ぺにょ~、ぺにょ~』って言いながら飛んでたの」
学会は大きなため息をもって押し黙った。動画からもかすかにそんな鳴き声が聞こえてくる。
博士B「こんなもの、出来の悪い特殊効果にしか見えないがね。それになんだ、あの写真は。宇宙の果にアップルパイとスパゲティ? ヤケにでもなったのかね?」
衣玖「なってない。本当に宇宙の向こうにはアップルパイとスパゲティがいたの! 会話もしてきたわ」
博士E「会話? これが動いて話すと?」
衣玖「そうよ。このスパゲティには目があるの。それでうにょうにょ動いて、私に問いかけをしてきたわ」
博士F「どんなだね」
衣玖「電話の通話料ってちょっと高いんじゃないかって話よ。でも私は、今はネット通話が出来るからそこは大した問題にならないと言った。そうしたらスパゲティは『アップルパイ君にも同じこと言えるの?』って怒ったわ。それで私はごめんなさいと謝った。すると次はアップルパイが言った『梨ってすごく甘いよね。スパゲティにも使ったら美味しくなるのに』と。私はそうは思わないと言ったら、二人は消えていったわ」
博士G「どんな会話だねそれは。しかし宇宙の果てだぞ。我々の言語が通じているのもおかしな話じゃないか」
衣玖「私はIQ3億だからその場で学んで……」
博士B「だからそういう話が信じられないのだ。こんな馬鹿な事があるわけがないだろう。宇宙の果てはブラックホールとダークエネルギーに決まっている。スパゲティと話すことなどあるものかね」
衣玖「アップルパイもです」
博士A「馬鹿らしい! 衣玖博士、しかしこれはありにもおそまつな話だ。君の功績に免じて集まったが、とんだ無駄足だったようだよ」
衣玖「本当のことなのに……」
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衣玖「(なんて事もあったわね……結局信じられていないけど、本当に宇宙の果てのそのまた向こうに大きな世界があった。そこにはスパゲティやアップルパイが問いかけをしてきて、変な鳥が飛んでいる、以前の私達じゃ考えられない空間が広がっているというのに……)」
西香「今日お城の日ですって。城でも作りますか? わたくし城主役やりますわよ」
衣玖「(でも北極という短い距離ですら到達が認められるまで約80年。私の功績が認められるには数万年じゃ足りなそうね)」
留音「それより卓球しない? 卓球の日ってのがあるぞ」
衣玖「(まぁいいのよ。認められなくても、理解されなくても。私は確かに見た。到達した。それが真実。スパゲティとアップルパイは今も外から世界を見ている)」
真凛「あ! コンビーフの日ですって! 缶詰ってあんまり使わないですけどぉ、コンビーフ料理でもやってみましょうか~っ」
衣玖「(コンビーフ……そうだ、コンビーフのあの変な形の缶詰……あれも宇宙の果には置かれてた。アップルパイがどうしてこの形なのか悩み始めて数年経ったって……この話提出するの忘れてた……)」
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ミニーズ劇場 白の日
三人で街を歩くミニーズ。
聖美「それで本当にすごかったんだ~! キュイーンってなった時に、こう形が見えたっていうか……」
イリス「全く、何を見てるのよ聖美は」
やれやれ、なんてイリスは聖美の話を聞いている。アンジーは一緒に歩きながらもキョロキョロしていて、ふと曲がり角を曲がった瞬間の事だった。
ドスン。アンジーの華奢な身体が誰かに当たってしまい、「うわっ」と尻もちをついたのだ。
アンジー「あいたた……」
尻もちをついたアンジーに、相手は手を差し出して「すみません」と謝る。一般男性だった。その男性はアンジーを見るなり、すぐに顔を背けながら、それでもアンジーが手を取るまで手を差し出し続けた。
白くて柔らかい、アンジーの小さな手が男性に触れて、ゴツゴツとした男の手がアンジーを引っ張り立ち上げた。
アンジー「ありがとうございます」
「い、いえ。大丈夫でしたか?」
アンジー「あはい、全然」
イリス「アンジー、大丈夫?」
イリスと聖美も心配してアンジーの服に汚れがないかなどを見ていた。しかし聖美は男性の目線が泳いで、アンジーを直視していないのに気づく。
アンジーはその男性に気を使わせるのも悪いと、なんでもないようにすぐに離れていった。
それから男性は一人で歩き立ち去る中「白……」と今日のラッキーカラーを回想していた。
聖美「アンジーちゃん、スカート大丈夫だった?」
アンジー「えっ? うん、全然汚れてないよ」
聖美「そうじゃなくて……あの男の人、アンジーちゃんの下着見えちゃったんじゃないかなって……」
イリス「そ、そうなの?! あの人の記憶消しとこうか?!」
アンジー「えっ。うーん、でも別に大丈夫だよ、今日は見られても大丈夫なやつだし♡」
聖美「そうなの? ど、どんなの履いてきたの……?」
イリス「ちょっと、そんなの聞かないでも……」
アンジー「リボンつきのフリフリ♡」
白の日。




