2020年2月16日 似合う色の日
2020年2月16日
今日は似合う色の日。そして美少女ものといえばイメージカラーがあるものだ。例えば元気な子は赤やオレンジが似合ったり、クールな子は青系を背負う。
五人少女ならどうだろう。
真凛「ふんふーん♪ トントントンと……」
例えば真凛。今も鼻歌など歌いながら料理中の、家庭的で可愛らしい様子や、普段から好むパステルなカラーからも、彼女はピンクがイメージされやすいところである。
そして次は留音だ。今はジョギングに出ているところだが……。
留音「ただいまー。ふぅー走った走った」
普段から精力的に運動を行い、活発な彼女は赤やオレンジ色というところだろうか。
西香「毎日毎日、普段からそんなに運動してよくもまぁ飽きませんわね」
そんな留音に、紅茶のカップをコトンと机に戻しながら指摘する西香は、高貴な様子から紫色こそふさわしい。
そこに来て衣玖だ。彼女はそんなみんなの様子を静かに流している。我関せずというか、自分のことに没頭して知識を深めているようだ。静かで聡明な彼女は紺色などの落ち着いた青系のカラーが合うだろう。
もう一人、あの子は説明の必要もない。純白である。
五人少女。それは色彩豊かな美少女たちの物語……。
―――――――
西香「真凛さーん、お茶がなくなりました~」
真凛「知りませんよぉ、自分で注いでくださいー」
西香はぶぅ。と立ち上がりキッチンへ向かう。そこで真凛の料理を見て「だわぁ!」と声をあげた。なぜなら。
真凛「もー、そんな声あげないでもいいじゃないですかぁ。ちょっと捌いてるだけですよぉ」
真凛はケラケラ笑いながら対応しているが、只今ノリノリで魚を捌いている真っ最中である。
西香「びっくりしますわよ! うっぅ! やっぱり料理は調理済みのものに限りますわね……」
魚の腹に包丁を入れ、手を真っ赤に染めて内臓をこそぎ落としている。魚だからまだ血の量は少ないのだが、真凛は精肉店から肉を買ってきたときなど、たまに血抜きが甘い商品を見ると嬉々として血抜きを行っている光景をまれに見ることが出来る。
真凛「内臓取って~美味しくなぁれ~☆」
鮮血の真凛。血や内蔵になど怯えもしない彼女の真に纏うカラーはブラッドレッドなのかもしれない。頬などに血が飛び散っていても、その笑顔に全く違和感がない。
そんな時、リビングにタオル一枚の留音が顔をのぞかせる。
留音「ねぇー! さっきから呼んでんだけどー! お風呂のお湯がでない! どうなってんの!? 衣玖直してくれー!」
どうやらお風呂に入ろうと服を脱いだものの、シャワーが水のままでどうしようもないらしい。
先程から静かだった衣玖はキュイイと音を立てて立ち上がり、ガションガションと足音を立てて留音の元へ向かう。
留音「あれ……? なんかお前おかしくね……? なんかロボットみたいな……」
衣玖『今更気づいたの? 私は今安全なシェルターに籠もって遠隔操作で生活を送るシミュレーションをしているの』
見れば顔部分がモニターであった。テレビ電話で通信しているような状態だ。
留音「なんでそんな事してんだ?」
衣玖『いずれ人間がどこかに籠もって生活しなきゃいけなくなった時に使えるようにね。それにかっこいいでしょ、機械の体。ほら、中はこんな感じなの』
衣玖は服をペラっとめくり、鉄板とネジの内部装甲を見せてアピールした。機械の体……これこそ衣玖の理想の一つである。彼女には灰色の体もよく似合っている。
留音「まぁなんでもいいんだけどさ……お湯が……」
西香「留音さん、みっともない格好で歩き回らないでくださいな、鬱陶しい。見てるこっちが寒いですわ」
部屋の暖房が効いているなら冬でもタオル一枚で歩き回ってしまう留音。寒さに強いということは氷・水属性。その手の水系列のモンスターは往々にして青系のカラーが似合うものだ。
留音「衣玖~」
衣玖『はいはい、今直すから』
ガシャコンと音を立ててお風呂場の方へ行く衣玖と留音らをツンと見送った西香。彼女は内心ホッとしていた。
西香「(良かったですわ。さっきわたくしが壊したかもしれない温かい方のお湯が出るボタン。これで何事もなく直りそうですわね。上手いこと留音さんが能天気に衣玖さんに直させてくれましたわ)」
西香は腹積もりが黒いので、その黒という色は西香のイメージにもピッタリ合っているというものである。
真凛キッチンの中で魚をさばきながら、そう言えばなんで一部の虫は捻り潰すと黄色い汁が出てきたり緑色だったりするんだろうという疑問を思い浮かべていた。
このように、一見すればこういう色だろうという括りは五人少女たちには通用しないのだ。
今日は似合う色の日。イメージカラーも素敵だが、変身すれば毎回色が違うような、そんなグループがあってもいいのではないだろうか。




