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2019年10月30日 宇宙戦争の日

2019年10月30日


 突如宇宙より飛来したそれは、地球への侵攻を開始した。


 飛翔体は緩やかな流線型に通常では浮くことすら出来ないような構造を持ちながら、地球上のものではない銀色の装甲。上部分は薄緑色の半円形が乗っかっていて、ここがコックピットにでもなっているのだろうか。


真凛(まりん)「愚かな地球よ……滅ぼしてくれよー!……自分でやったほうが早いけど、演出のためにこのUFO的な何かでこれからじわじわ滅ぼしてやるぞー!はー、はっは、はー!(満足気)」


 この飛翔体は超未来的技術で作られており、地球の現代技術では傷一つ付けられない。


真凛(まりん)「まずは手始めにこの家から侵略してくれようぞ……ふ、はっは(楽しげ)」


 飛翔体はその一軒家にマニピュレーターを伸ばすと、その家の屋根を引き剥がした。そこにいたのは……。



留音(るね)ちゃん料理してた~


留音(るね)「うっわぁびっくりしたぁ!屋根ぶっ飛ん……うわぁ!UFOだ!なんだこれ!!UFOだ!」


真凛(まりん)「騒がしい人間よ……まずはお前からお掃除してくれましょう!!」


 飛翔体は再びマニピュレーターを伸ばし、留音(るね)をつかもうとすると。


留音(るね)「おいまてぇ!あたしは今料理してるところなんだ!!邪魔すんな!ぶっ飛ばすぞ!」


真凛(まりん)「……お料理?」


 マニピュレーターはピク、と動きを止めコックピットの方が留音(るね)の手元をよく見るために少し前傾姿勢を取った。真凛(まりん)はカメラをズームして留音(るね)に注目した。


留音(るね)「……よし……ここが一番大事なんだ……殻が入っちゃうとアレだから……」


 コツンコツン!留音(るね)は卵をキッチンの角で2回叩いて亀裂を入れ、身長に卵の殻を割って小皿に卵を落とした。


留音(るね)「ふぅ……なぁお前」


 留音(るね)はひと仕事終えたような息をついてから飛翔体の方を向いた。


留音(るね)「お前が何者かは知らない。だがあたしはやめておけ、そんな1953年に公開されたSF映画みたいなUFO、あたしは一撃で粉々に破壊出来る……そんなことよりも一緒にこの料理を食って仲良くやるってのはどうだ?」


真凛(まりん)「なんか格好つけてる……」


留音(るね)「まぁ見てな。この卵を……この白飯の上を少し谷っぽくしたやつに……乗せる!!そして醤油を適量垂らせば……卵かけご飯の完成だ」


真凛(まりん)「えっ……料理……?」


 ちなみに真凛(まりん)の声は外には聞こえていない。


留音(るね)「ほら、受け取れよ宇宙人。これがあたし渾身の卵かけご飯だ……運が良かったな、今日が卵かけご飯の日で。他の日だったらカップラーメンだったかもしれないんだ」


真凛(まりん)「そんな……これがこの星の料理水準だと言うんですか……!?わたしは多少技術がすすんで粋がり始めてきた人間たちに灸を据えるために来たのに……生物がいかにちっぽけな存在であるかをわからせるために来たのに!」


留音(るね)「なんだ?恥ずかしいのか?あ、どうやって食べればいいのかわからないのか……ほら見てろ、こうやって卵を混ぜて……あぁっこの黄色最高ッ……とろっとしたのがご飯に絡まって醤油の香りがほのかに香る……あたしの作る料理で最高の料理だぜっ……」


真凛(まりん)「こんなのがお料理の水準だとしたら……この人達、超絶おバカじゃないですか!!あーん、早とちりした―!まだ地球侵攻は早かったみたいですぅ―!」


 UFOは逃げ帰っていった。こうして地球は救われた。



衣玖(いく)ちゃん片付けしない~


衣玖(いく)「……(ズンズンズンギンギン!!)」


 衣玖(いく)は目をつぶりながら爆音のヘヴィメタルをヘッドオンで聴いており、周りの状況の認識が出来ていなかった。


真凛(まりん)「何をしてるんだろう……ってうわ!!この部屋汚い!!!」


 着替えが床にもベッドにも散乱し、ベッドの脇には足の踏み場しか残らないくらいに本だの携帯ゲームだの電子機器だのが散乱し、近くにゴミ箱があるにも関わらず、飴の包み紙が机の上に放り捨てられている。一応ひとまとめにしておくつもりはあるようだったが、一言で汚い部屋だった。


真凛(まりん)「こ、こんな汚いお部屋……えーい!ぶっ飛ばしてくれますよぉー!!」


 真凛(まりん)は搭載機のビーム砲塔をその部屋に向けトリガーを押し込む。すると安っぽいビーム音を響かせ、緑色のビロビロビームが衣玖(いく)の部屋に直撃した。……はずだった。だがビームは宙空で弾かれると宇宙に向かって飛び上がり、やがて霧散した。


真凛(まりん)「えぇっ!?な、な、なんで?!」


 それは衣玖(いく)の作ったATIフィールドというバリア装置の機能が働いたためである。衣玖(いく)の部屋は無限エネルギーと超空間技術によってどんな実弾兵器、ビーム兵器も影響しない絶対空間となっているのだ。


真凛(まりん)「な、ならば……えーい!」


 真凛(まりん)は飛翔体ごと突撃したのだが、そのバリアフィールドに完璧に阻まれてしまった。真凛(まりん)の飛翔体にも高度なバリアは搭載されていたが、それでも相殺出来ずに一方的に破られるほどに衣玖(いく)の開発したバリアは強かった。


真凛(まりん)「くっ……仕方ありません。ここは残して他の地区を先に制圧しましょう……そしてこの人間が家の外に出てきた時に改めてサクッと……そうですよ、わざわざこの場所に拘る必要は……」


 そう独り言を言いながら飛翔体はゆっくりと街の方へ向かっていくのだが、真凛(まりん)の頭の中には衣玖(いく)の部屋の惨状が既にこびりついている……。真凛(まりん)はそれを思い出すにつれストレスから過呼吸が始まってしまった。


真凛(まりん)「はぁっ、はぁっ……やだ……ダメです……あんな部屋放っておけない……お掃除したい……お掃除……うっ、おえっ……綺麗にしたい……おえっ……でも出来ない、あんな強固なバリア見たこと無い……!だったらいっそ早く忘れたい……こんなの耐えられない……あんな部屋があるって知ったあとで集中して侵略なんて出来ない!!うわぁーん!もうお家帰るぅ~っ!!」


 UFOは逃げ帰っていった。こうして地球は救われた。



~詰まってきたので短縮された西香(さいか)ちゃん編~


西香(さいか)「わたくしのお友達―!!そっちの方にいるんですのー!!?」


 友達ができない西香(さいか)は気が触れて宇宙に向かってそう叫んだ。


真凛(まりん)「(あっ、なんか面倒くさそう。ここはやめておきましょう)」


 UFOは地球を回避した。こうして地球は救われた。



~あの子のいる世界線編~


UFOは地球に降り立ち、なんやかんやあって仲良く過ごすことになった。こうして地球は救われた。

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