黒猫 最終話
一人の物書きが書いたつたない物語ですが、どうぞ。
「少し悲しい」をテーマに書いたつもりです。
最終話になります。
「君のせいではない。オーナーは僕のせいで死んでしまったんだよ。」
違うと言いたかった。お前のせいじゃないと言いたかった。なのに、口から漏れるのは嗚咽だけで。私が言葉を話せるようになった頃には、もう猫はいなくなっていた。
家に帰り、看護士さんに受け取った紙袋を開けた。中にはハードカバーの本が一冊だけ入っていた。普段いつも文庫本を読んでいた印象のため、ハードカバーは珍しく思えた。読む気も起きず、ただ何の気なしに本を開くと丁度真ん中くらいのページに手紙が挟まっていた。手紙というよりも、ただの紙切れと言った方がいいかもしれない。そんな紙に、順子さんからのメッセージは書かれていた。
みなみさん。お見舞いありがとう。もし、あの黒猫さんがまだ近くにいるのなら仲良くしてあげて下さい。あの子は意地っ張りだから。
黒猫はね縁起が悪いと言われているけれど、幸せを運んでくるとも言われているのよ。私はあの猫さんにたくさんの幸せをもらったわ。きっと、あなたの元にも幸せを運んでくれるはず。
ふたりとも、素敵なプレゼントをどうもありがとう。
「またその本読んでんのか。」
もう何十回も読み返し、手汗で表紙がよれてしまったハードカバーの本。一匹の黒猫が女の人と人形達が作り上げる物語を見届ける。そして、その話をとある海賊に話して聞かせる話。何度読んでも面白いのだ。
「クロも読んでみなよ。面白いよ?」
「気が向いたらな。」
残念だなぁ。とても面白い本なのに。私は再び本の世界に戻り、クロはぼくとひなたぼっこをしている。
今日も平和で、幸せだ。
ここまで長々と読んで頂きありがとうございました。いまいち、いい話にできなかったのが心残りですが、今の私にはこのつたない話が精いっぱいでした。
最後にみなみが読んでいる本は一応実在する本でして、『黒猫が海賊船に乗るまでの話』という古市卓也さんが書かれた小説になります。とても面白い話でして、私は何度も読み返しました。皆様も機会がありましたら是非手に取ってみてください。
小説内に実在する小説を登場させること、あとがき内でその小説に触れることに問題がありましたらすぐに書き換え、削除をしますのでお手数ですがご連絡ください。




