プロローグ3
『なお、今回のイベントには、新技術の思考加速システムが実験的に導入されるため、
現実では時間がほとんどかかりませんので、時間のない方でも参加することが出来るようになっております。
ぜひぜひ、皆さんお誘いの上ご参加ください』
そう言い、僕は指を鳴らした……
------------------------------
「此処はどこ?」
うっすらとだが風を感じてあたし…花梨は目を開けた。
そこは、病院だった。
『病・・院?』
あたしの呟きが隣にいた洸太の呟きと重なった。
お互い顔を見合わせる。
そうすると、病院の中から人が出て来た。
そうだ今日はお姉ちゃんの退院の日だ!
数週間前に偶然、お姉ちゃんの病気を治せる新薬が見つかって、病気が良くなったから今日退院なんだった。
あたしは、洸太と顔を見合わせて、
『うん』
と頷くと、お姉ちゃんのほうへと駆け出した。
「ほう、これもまた心暖まるいい光景ですね」
(誰だ!)
あたしはその声を聞いた瞬間体が強張るのを感じ思わず怒鳴ってしまった。
「おっと、これはすいません
僕の名前は、ジャック・ラビッツと申します」
(それってあのNPCの名前じゃ…)
「そうです、そのNPCです」
(なんでNPCが、此処に……)
「それは此処が、僕が作り出した、あなた方の夢の世界だからですよ」
(そっか、夢なのか……)
「そう、これはまだ、あなた達の叶えたい夢…でも、もしもこの夢が現実にする方法があるとしたら、あなたはどうしますか?」
(そんな方法あるの!?)
「ええ、僕は魔法使いですからね、僕のゲームをクリアした方の願いなら叶えてあげますよ」
(ゲーム?)
「ええ、あなた達も今プレイしているはずですよ」
(それって、《Expect Dream Online》のこと?)
「そう、その通りです」
(本当に、本当に、叶えてくれるの?信じていいの?)
「そうですね、この夢が現実に思えるのなら」
そういい残して、ジャックは、消えて行った。
(現実かどうかは、分からないけど、お姉ちゃんが救えるのなら、クリアだってなんだってしてみせる!)
あたしがそう心に決めると、意識は戻って行った……
------------------------------
「ここは何処だ…」
そう言いながら、俺・・・城汰龍は思考をジョウに切り換え、相手の攻撃をかわす。
「ったく、こんな知らねぇばしょ…で…」
いや、俺は此処を知っている、
そうだ、あの野郎が、
・・・・・・・・・
「うん、君にはまだ本当に強い相手…神々達には勝てない、だから君より少し強い相手のところに送ってあげるね、
あ、心配しなくても良いよ今のままの君じゃ絶対勝てないから)
・・・・・・・・・
とか言いやがって、あの野郎・・・今度あったらぶっ飛ばす!
そう思い出したところで、イライラとしてきたので目の前の奴をぶっ潰そうと思ったのだが、
「あれ?いない……」
そこに敵の姿はなかった。
「そりゃ、此処はまだ君の夢だからね、本気で戦えるわけないじゃない」
(まだ、夢だと?
あと、テメエ誰だ)
「僕は、ジャック・ラビッツ。
それで、君はさっきの敵と(戦いてえ、それで何をすればいい?)…ふむ、理解が早いようだねえ、それなら結論から言おう、イベントをクリアしたら、君の夢は叶う」
(イベント…さっき言っていた、ボス討伐か…)
「そう、その通り。
と、言っても倒すのはラスボスだけどね〜」
(ラスボスだと?そんなのいたのか…)
「一応居るんだよ〜と、言っても実装されるの今日だけど)
(まだ実装されてねえのかよ…)
「まあそんなことは置いといて、
この夢が、現実に思えたのなら参加するといい」
(ああ、参加してやるよ
そのラスボスとも戦ってみたいしな)
「それは楽しみにしているといいよ、じゃ、またね」
そう言ってジャックは消え俺の意識は戻って行った。
------------------------------
「はあっ…はあっ…」
自分は、落ち着きのある白い色の廊下・・・病院の廊下を走って行く。
(なんで走っているんだっけ…?)
そう思った瞬間、思い出した。
(そうだ、あいつが、あいつが目を開けたっておばさんから連絡があって、すぐに駆け付けるために今走ってるんだった)
そして、あいつの病室の扉を開けたら、記憶にあるより成長した笑顔がみえた。
なんて声を掛けようか考えながら近づいた時、闇が広がった。
(なっ?!)
「っと、ごめんねこれはまだ君の夢なんだ」
(なんだ、夢だったのか……)
自分の全身に入っていた力が抜けるのが分かる。
「おおっと、そんなに悲観しないでくれ、一応夢を叶える方法も持って来たんだから」
(夢を叶える方法?なーに言っちゃってるのさ、夢物語でもあるまいに、現実はそう甘くはないんだよ)
「…毒あるね〜まあ、僕が言えるのは、僕は魔法使いだから、イベントをクリアしたら夢を叶えてあげるよぐらいかな」
少し困惑した声でそう言って来たので
(はあ?魔法使い?あの30歳になったらなる奴か?)
そうかえしてやった
「うーん、名前はあっているんだけど……」
どんどん困惑して行く、いいきみだ。
「まあ、いいや言う事は言ったし、取り合えずはいいや、あと聞きたいことあったらイベントの中でね〜」
あ、逃げる気だこいつ
「僕の名前はジャック・ラビッツ
君がこの夢を現実だと思えたのならくるといいよ」
奴は、そう言い残して消えて行った。
(チッ、さっきのが現実に思えるのならだって、あいつの笑顔は本物にしか見えなかったよ、畜生)
そう言ってあとに自分の意識は戻って行った…
------------------------------
「ん…ふう」
俺は体を起こして息をはく、
(よし、体も動くようだ)
少し体を動かし、体の様子を見たが、普通に動くようだ。
(今度は、知識だ。)
「俺の名前は、キース、
キース・ガンダブルだ。」
「そして、〜〜〜〜〜此処は生誕の間、俺達NPCが生まれる場所」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
普通の知識は大丈夫そうだ。
戦闘の知識も・・・ある。
スキルの使い方も分かる
後は…
「武器とアイテムの確認か」
そう言いながら俺は部屋の机に近づき、その上にある革袋・・・アイテムボックスを取り、服の横にあるベルトに取り付ける。
(よし、これでアイテムウィンドウがひらけるはずだ)
俺はアイテムボックスを触りながら、
「アイテムボックスオープン」
と言った。
(成功だ、ちゃんと開けるようだな)
俺の前にはしっかりと、アイテムウィンドウが表示されている。
(さてと、取り合えずは武器だな)
そう思い、アイテムウィンドウから魔導銃スカーレットと実銃ワルサーを選択して装備する。
そして、装備されたことで具現化された銃をホルスターから引き抜き、撃つ真似をする。
よし、ちゃんと戦闘も出来そうだ。
(本当は試し撃ちとかもしたいんだが、此処は攻撃不可能フィールドだからな……)
俺は、仕方なくアイテムウィンドウに表示されているアイテムを一つ一つチェックしていく事にした。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「ふぅ」
俺は、アイテムをすべてチェックし終えて、息を吐いた。
暇なので使い方や、細かい設定まで読み込んだので少し疲れたようだ。
時間をチェックしてみると、午後11時55分と12時まで後5分だった。
(12時のイベント開始まで此処を出られないのが、こんなに暇だとは・・・)
俺は仕方ないのでもう一度装備を確認して残りの時間を潰す事にした。
・・・4分後・・・
「ようやく時間だ・・・・・・」
俺は扉にの前に立ち思考を落ち着けながら最後の1分を待つ。
(ようやく、出られる・・・・・・
でも、出たら何すっかな〜
プレイヤーの一人として生きる事は決まってるんだがな・・・・・・
まあいい、取り合えずは生きるだけだ、それに生きていたらそのうちにやりたいことが見つかるだろ)
そう、思考を打ち切るとちょうど12時になった。
(いっちょ頑張りますか・・・・・・)
俺はそう決め生誕の間を出て行った。
最初の病院は、本当は、お姉ちゃん視点、弟視点も書こうかと思ったのですが、同じ描写になると思ったのでカットしました
モンスターネーム、スキルネーム、キャラクターネーム、銃名は適当です。
何か矛盾していたり間違っていたら、教えてもらえるとありがたいです。
その他の指摘や、ご感想もいただけるとうれしいです。




