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転生女子会の黒一点  作者: ケー/恵陽
一学年後期
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31 王子様よりも大事な単位取得

「イチゴ君、ひどくない?」

 文句を言うのは我らが王子様だ。後ろに控えているディータ―も眉間に皺を刻んでいる。

「君は勝って良かったと思うよ。だけどあのチームを放置して行くのはどうかと思う」

 どうやら私たちが逃げた後、騎士チームは暴れたらしい。他のチームに勝てたかというとそうでもないらしいが、ところ構わず喧嘩を売って回ったようだ。

 申し訳ないとは思うが、講義の内容に反してはないのだからどうしようもない。

「ぼくたちのチームもディータ―たちもおかげで作戦がめちゃくちゃだよ」

「あいつらなんて敵じゃないけど、邪魔で仕方なかった。次の講義はやり逃げ禁止だ」

 護衛の者たちはディータ―と同じチームに配されている。守る立場の者たちと離されて、少々やりにくそうだ。

「ぼくたちはね、ディータ―たちを叩きのめそうと思っていたんだよ。それなのに……!」

「ライ、お前ら……そんなこと考えてたのか」

 口惜しそうな主の文句にぎょっとする護衛が居る。もしかして講義だからの言い訳で戦おうとしていたのか。それは見てみたいけど、護衛側からしたら、たまったものではないな。

「倒すなら今でしょ! ですわ」

「ローザ! お前もか!」

「今なら心置きなく相手してもらえるのよ。倒すなら今でしょ!」

「そうそう、その通りだよ。だからディーターたちもしっかり準備してないと、ぼくたちに負けちゃうよ」

 いつの間にか沸いてきたローザリンデ嬢が王子と一緒になってディーターを責める。どうにも身分の高いチームは皆して護衛達に勝ちたいようだ。

 私はただ仲間が居てうらやましい、と眺めていた。



「怒られた」

 爺先生の教官室でカールと会っている。

 どうやら爺先生にやり過ぎと言われたらしい。しかもすぐに逃げたせいで、消化不良な騎士チームが暴れたので教師らしく考えなさいと叱られたようだ。

「オレはまだ助手なんだがなあ」

 その爺先生に今日は私も呼ばれた。カールと同じように講義のことかと思ったが、長期休暇で提出したレポートを渡された。

「土いじりをしていたら色々出来るようになった、というのはレポートとしては不足じゃな」

「はあ……」

 気の抜けた返事になってしまったのは勘弁してほしい。地面に手をついてこういう気持ちを考えていました、とは確かに書いた。だがそれ以外言い様がなかった。

「正直よくわからぬので、お前さんに場所をやろう」

「は?」

「校舎裏の花壇をひと区画をやるから、これを育ててみろ」

 そう言っていくつかの種をくれた。見たことがない。ただカールは知っているらしい。

「それが育てられるようになるならいいですね」

「そうだろう。ということで、その種の成長の記録を提出しなさい」

 何故か喜ぶ二人に私は置いてけぼりだ。しかもちゃんと芽吹くかわからないものを安請け合いはしたくないのだが。

「ちゃんと育たなかったら、それはそれで記録として提出してくれたら構わぬ。やってみなさい」

 何故か楽しそうな二人に送り出されてしまった。

 校舎裏のという場所はわざわざ爺先生の名前の杭とロープで囲われていた。両手を広げたくらいの広さしかなく、これなら暇を見て手をやるくらいは出来るだろう。

 種はどこにでもありそうな見た目だ。黒くて小さい。何の種なのか教えてもらえなかったので、全部一気に植えるのはやめておこう。ダメになっても構わないと言うからにはまだ種を持っているのだろう。

 だが植える前に土を調べよう。

 地面に手を触れようとして靴の魔方陣を思い出す。靴裏の陣はまだ使用可能だ。ひとまず綺麗にしようと魔力を流すと、土の中に何か他の植物が残っていたらしい。芽がでてきた。

「これは抜いてもいいやつかな」

 見たことのない植物だ。連なった小さな花、そして蔓植物。蔓植物はピーピーマメみたいな植物かな。特に抜いても問題なさそうな気がする。

「それは抜いたらダメなもんだと思うぞ」

「えっ!」

 引っこ抜こうかと触っていたら背後からカールが現れた。さっきまで誰も居なかったのに。

「わざわざ魔法を使って土を綺麗にするの珍しいと思って、見に来たんだ」

 魔法の気配に寄ってきたらしい。故郷では時々していた。他の植物があっても問題ない場合がほとんどだが、稀に相性が悪い植物があると成長を阻害されることがあった。問題なければ肥料にするし、問題があれば抜けばいいだけだから、出来るだけ土を調べてから新たな植物を植えていた。

「それな、明日にでも教官に教えてやって。きっとすごく喜ぶ」

 なんでかカールが嬉しそうに笑って言った。


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