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ネクロマンサーの存在理由

今日はもう一話投稿します!

「準備が整っている霊魂は全て送り出せたな。」


「うん!まだ浄化が完全に進んでいない霊魂はあと何体?」


「今いる霊魂はほんの数十体だな。だが、冥土の扉を潜るにはまだ自然に浄化するのに半年から1年はかかるだろう。」


「死者のほうはどうかな?」


「クロリア地に眠る死者は残り約5000体おりますが、こちらに関しても霊魂になるまで半年から1年はかかりそうです。」


「さっすがイル!そんなことまで分かるんだね!」


「秘書の役割もどうぞお任せ下さい。死者の存在は感知できますゆえ。」


「死者が5000体ぐらいなら霊魂も一緒に魔力袋に入れて、移動できるんじゃない?」


「今までと比べたら1ヶ月は余裕で動けるな。結界を張らないで済む分、かなり楽になる。だが途中で死者を解放しないと何かあった時に魔法の発動が難しいな。あと2000体は減らしたい。」


「移動するのには約3000体がベストってとこなのね。分かったわ、次の国に行くまでの間、出来る限り減らしていこう。」


「そうだな。」


「私も出来る限りのことをお手伝いいたします。」


「イルもありがとうね!でも、送り出しって不思議ね。これを行うのは人族だけなの?」


「そうだ、死者になるのは人族だけだ。そもそも、他の種族は輪廻していないと考えられている。魂の浄化云々以前に、命が尽きると魔族は灰になる。その灰はそのまま空気中を漂って無くなる。獣人族は動かなくなった体を焼き払って、海に捨てる風習がある。妖精族は遺体をそのまま土に埋めるが、死者のように襲ったり動き回ることはなく、大地に朽ちていくと聞いている。」


「あの祝詞にも意味があるのかな?あれはレイズ特有の言い回しなの?」


「いや、違う。中には決まった文言でしか発動しない魔法がある。例えば人族の使う魔術もその一つだ。だから結界を張るときは決まった文言がある。王族だけに伝承される魔法や公爵家だけの魔法も存在する。冥土の扉を開けるのにもそれと同じで、決まった文言を言わなければ発動しないんだ。」


「あの扉も不思議ね?あの扉は魔法陣なのかしら?」


「あの扉は代々ネクロマンサーに受け継がれて行くもので、適性を持つ者がいない場合王族が保管している。詳しい事は何も分かっていない代物なんだ。個数も限られていて、扉は5つしか存在しない。」


「壊れたら大変じゃない!スペアもあるんじゃないの?」


「それも王族の管轄で、こっちは何も知らされていないんだ。実際には扉はもっとあるのかもしれない。」


「ふーん?やっぱりあの祝詞がなんかの鍵を握っていると思う。あれなんだっけ?」


「偉大なる創造神のカイルスよ、人族の罪を許したまえ。大地を司る素晴らしきサートゥルよ、人族をこの地から解放し、再び輪廻の輪に加え救い出したまえ。力と光は永遠に汝のものなればなり。だな。」


「私が言ったらどうなるの?」


「ネクロマンサーの適性がないから何も起こらない。ネクロマンサーは貴族の人族にしか生まれず、その上世襲制ではないから、貴族院で力が開眼した者が現れると丁重に扱われる。」


リタは移動用にもっと簡易な扉があればいいのに、複製できないのだろうか、と考えたが、たとえ複製できなくても移動できる人数まで死者を減らせれば問題ないか、とその考えを保留にした。


「でもなんで人族だけ送り出さないといけないんだろうね?不思議だわ。」


リタは納得がいかないようで、うーんと頭を捻った。


「教会ではサートゥルが人族に課した試練だと言われている。なんでもサートゥルの配偶者、ヘハーデスが人族に恋をしてしまい、サートゥルが嫉妬に狂ったことが発端らしい。サートゥルの怒りを鎮めるため創造神のカイルスがヘハーデスの力を分散させて、たまにしか人族に発現しないよう罰を与えたんだ。人族が死んだら自然にヘハーデスの力が作用して輪廻の輪に加えられていたのに、それがなくなったことで人は自然に死ぬことができなくなった、というのが概要だ。」


「詳しいことは何も分かっていないのね。レイズが他の国に折角行ける準備も整ったのに、ただ挨拶に同行するだけじゃ、王族への理由も不十分だし、魔力は皆平等に本当は持っているという仮説を元に、ネクロマンサーについても掘り下げてみるのもありじゃないかな?」


「掘り下げる、か。」


「レイズはネクロマンサーの仕事に疑問があるんでしょう?私は王族との挨拶や今騎士団で起きている調査を各国で行うわ。レイズはレイズが疑問に思うことを調べたらいいじゃない!それを理由にしたら同行も簡単に出来るんじゃない?人族の王様を通して、他の国に掛け合ってみたらどうかな?」


「一理あるな。確かに今のままでは俺がこの地を不在にしてまで同行する理由が弱いように思う。他種族の埋葬について調べてみるか。」


「上手く今回のことはボカして、人族の王がレイズに研究させるための休暇を与えるのに見合うような、今回の研究成果を交えつつ論文を王族宛に提出してみたら?魔力譲渡が可能とか皆平等に魔力を持っているとか言ったら平民の反乱とか気にしそうだからもっと違う言い方でさ。」


「うーん、何があるかな……」


レイズは思い当たる節がない。リタも一緒になってしばらく唸っていたが、あ、と閃いた。

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