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435 スライムさんと防犯ライト

「さいきんは、ぼうはんいしきは、どうですか?」

 スライムさんは、薬草を食べながらいった。


「防犯?」

「ぼうはん、ようひんを、しいれたので! なにか、いみありげに、してみました!」

「防犯用品って、どんな?」

「これがあると、ひかって、くらいみちでも、あんしんなんです!」


 私は、輪っかを手にとってみた。

 

「これは、ベルト?」

 それにしてはちょっと短いけれども……。

 切れ目もない。

「あたまにつけるんです!」

「頭に」


 ちょうど、おでこに、はまった。


「こう?」

「はいそうです! これをつけて、だれかがちかづいてくると、ひかるんです!」

「なるほど?」

 私はそのまま外に出てみた。


 スライムさんが近づいてくる。

「わっ」

 頭の上で輪っかが光り始めた。

 すぐにとてもまぶしくなって、目が開けていられなくなる。

 私は思わず輪っかを外して、草の上に置いて離れてしまった。


「まぶしい!」

「はい!」


 私たちは遠巻きに輪っかを見た。

 そして気づいた。


 近づいて取りにいこうとすると、輪っかがとてつもなく光ることに。


「どうやって、取りにいこうか」

「……よそみ、はどうですか?」

「よそ見?」

「われわれは、あやしいものではない、ふりです!」

「なるほどね!」

 私は、すーすー、とへたな口笛を吹きながら、輪っかに近づいてみた。

 すぐに激しい光を放つ。


「だめだね」

「はい……」

「でも、さっきより、ちょっと光が小さくなってた気がしない?」

「そうですか?」


 私たちはまた、知らんふりをして、ちょっと近づく。

 光は激しいけれど、最初ほどではないように感じる。


「ね?」

「たしかに」

「……うーん。じゃあ、どうすればいいんだろう」

「うーん」

 私たちは考えた。


「かんぜんに、かんけいない、ふりができれば、いいんですよねえ」

「そうだね」

「もっと、みてないふりを、すればいいですかね?」

 よそ見をしていた、ということについて、スライムさんは注目しているようだけれど……。


「あっ!」

「どうしたんですか!」

「これはどうかな!?」



「もうちょっと、まえです!」

 私は、ゆっくり足を前に出す。

 目はタオルをしっかり縛って、視界を隠していた。

 そう、他人のふりをするのではない。

 まぶしいなら、見ないで近づけばいいのだ。


「もうちょっと、みぎです!」

「右ね」

「あっ! いきすぎです!」

 私は半歩もどす。


「そうです! そこから、さんぽ、まえにいってください!」

「わかった」

 私は3歩前に出た。

 3歩と散歩って似てるな、とちょっと思って、ひとりでくすくす笑った。スライムさんからは私の背中しか見えていないだろうな、と考えながら。


「そこです!」

「はい!」

 私は足を止めて、ゆっくりしゃがんだ。

 こつん、と指先が冷たいものにあたった。さっきは冷たいなんて思わなかったのに、なんだかふしぎだ。


 持ってきたかばんに入れて、口を閉じた。

 それからゆっくりタオルをはずす。


 かばんのすき間が光っている。

「できましたね!」

「うん。でもこれ、どうやったら光らなくなるのかな?」

「そうですねえ。ずっと、ひかってたら、つかえませんねえ」

 なんて言いながら、私たちはかばんに入ったままのそれを、お店にかたづけた。


 他の商品を見ながら私は、こんなものが他にいくつもあるのだろうか、とちょっと思った。

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